「青天の霹靂」ネタバレ感想と考察【売れないマジシャンがタイムスリップ!?】

本記事では、
前半で、映画紹介&見どころレビュー
後半で、ネタバレ解説&徹底考察を行います。

青天の霹靂

2014年、芸人である

「劇団ひとり」監督により制作され、

自身による小説が原作となる作品。

売れないマジシャンが、

生前の世界にタイムスリップする物語。

上映時間は96分。

あらすじ

舞台は東京、

売れないマジシャンとしてマジックバーに務めながらも、

17年間も貧乏生活を送る「轟晴夫」はやさぐれていた。

後輩のマジシャンには先を越され、

両親も蒸発し、生きる理由を失いつつあった。

 

そんなある日、

ホームレスである父が死亡したと、

警察からの連絡がある。

父が住んでいた河川敷に向かってみると、

晴天の日にも関わらず、

雷が晴夫を襲うのだった。

 

目が覚めるとそこは…

昭和48年の東京だった。

 

出演役者

本作の主人公、

売れないマジシャンである「轟晴夫」を演じるのが

「大泉洋」

 

春夫の父である「轟正太郎」を演じるのが

「劇団ひとり」

 

春夫の母である「花村悦子」を演じるのが

「柴咲コウ」

 

見どころ「芸人の描く脚本の面白さ」

今作で描かれるタイムスリップ、

主人公の晴夫は自分が生まれる

半年前にタイムスリップすることになる。

 

これまでには数々のタイムスリップ映画が

描かれてきたが、

「過去の身内と関係を築いていく」

という物語の脚本に対して、

あの名画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」

思い出した鑑賞者も少なくは無いだろう。

 

本作の原作は、

芸人である「劇団ひとり」のものであるが、

小説家としても才能を開花させつつある、

彼独自の世界観を充分に感じることができる

作品となっただろう。

 

配信コンテンツ

「青天の霹靂」は今現在、

Amazonプライム、dTV、等で配信されている。

Amazonプライム

ネタバレあらすじ

舞台は東京、

売れないマジシャンとしてマジックバーに務めながらも、

17年間も貧乏生活を送る「轟晴夫」はやさぐれていた。

後輩のマジシャンには先を越され、

両親も蒸発し、生きる理由を失いつつあった。

 

そんなある日、ホームレスである父が

死亡したと警察からの連絡がある。

父が住んでいた河川敷に向かってみると、

晴天の日にも関わらず、

雷が晴夫を襲うのだった。

 

目が覚めるとそこは…

昭和48年の東京だった。

 

行く当てもなく彷徨っていた春夫であったが、

浅草の町を練り歩き、小さな劇場を舞台に

住み込みのマジシャンとして活動を始めることとなる。

 

晴夫の前に在籍していたマジシャンは、

消息が途絶え、そのパートナーである

「花村悦子」とマジックショーを披露するのであった。

 

ある日、悦子の家を訪れてみると、

そこで一人の男と出会う。

彼の名前は「轟正太郎」

晴夫の実の父だった。

そして悦子こそ、紛れもない春夫の母親だった。

 

お腹に自分を宿し、

気丈に振舞う悦子であったが、

自分を残したまま蒸発してしまったことを知っていた晴夫は、

不信感を覚えるのだった。

 

悦子が妊娠したことをきっかけに、

晴夫は父の正太郎と組み、マジックパフォーマーとして

浅草のステージに立つことになる。

当時は無かった「スプーン曲げ」などの

マジックを多数知っていた晴夫のコンビは、

絶大な人気を誇るのだった。

 

そんなある日、急に悦子が倒れてしまう。

それは妊娠が原因ではなく、

「子を産むと悦子が死ぬ危険性があること」

を意味するのだった。




「蒸発した」のではなく、「自分を生んで死亡」し、

母が居なかったことを悟った晴夫は

愕然とするのだった。

やさぐれた正太郎は、

舞台から降りることとなり、

晴夫は一人で活動を再開することとなる。

 

出産も近づいてきたある日、

以前から「未来予知」

ことごとく当ててきた晴夫に、

悦子が「未来を見てほしい」と頼んでくる。

悦子が死亡する事を言えないながらも、

「悦子は子供の生きる理由になる」

と本心から語る晴夫であった。

 

そして出産日、

正太郎と悦子は病院に、

晴夫は人生を賭けた勝負のステージ上に居た。

多数のマジックを披露し、

拍手喝采を貰った直後、再び雷が晴夫に落ちる。

 

目を覚ますと時代は元に戻り、

晴夫は元の場所に戻っていたのだった。

 

そして晴夫の元に一本の電話が来る。

その電話は警察からのもので、

「遺体は父ではなかった」という内容のものだった。

 

直後、後ろから聞き覚えのある声を掛けられる晴夫。

振り返ると、老けた父が立っていたのだった。

「くたばる前に本当の母親のことを話す」と語る現代の正太郎

 

まるで二人は当時のコンビのように言葉を交わす。

そして晴夫は「ありがとう」と初めて言葉をかける。

 

ネタバレ考察

ベタであるはずなのに、感動する。

今作の物語、

脚本の大筋となるタイムスリップ。

正直に言って、

映画におけるタイムスリップモノは

とてもベタなものだろう。

 

今までに幾度となく描かれた作風であるが、

それだけ「安定感」のある作品と捉えてもいいだろう。

 

自分の両親と同じ目線で生きることで、

出生の秘密を知ることになるストーリー性はもちろん、

出演役者の人間ドラマや時代背景も、

感動し楽しめる作品に仕上がっているのが、

本作の面白いところだろう。

 

「劇団ひとり」の才能を知る

本作の原作となる同名小説、

これは芸人の「劇団ひとり」により

作られた物語であるが、

本作の映画において、監督を務め、

主人公の一人としても出演したのも、

紛れもなく彼自身である。

 

彼の芸人としての面白さを知ると共に、

彼の持つ才能も同時に知ることとなる。

 

今作の中で何よりも光っていたのは、

劇団ひとり自身の演技力でもあるのだ。




キャスティングで売れた映画である。

本作の主人公を務める「大泉洋」

どんな映画でも安定感のあるキャラクターと演技

作品を盛り上げてくれるが、

そんな大泉洋のパートナーとして、

今作を演技したのが劇団ひとり自身でもある。

 

親子でありながら、

友達のような二人のやり取りがなされ、

作品の「感動」を残したまま、

ハートフルな作品が出来上がっているのは、

間違いなく彼らの功績だろう。

 

芸人とは思えない、

しかし「芸人らしい」劇団ひとりの演技力には注目である。

過去を変えないタイムスリップ映画。

「タイムスリップ」を題材に描かれる作品として、

他の作品では描かれたことがない脚本が

今作では描かれた。

それは「過去を変えない」ということだった。

 

従来のタイムスリップを題材に描く映画では、

「現在を変えるため」に「過去を変える」

という脚本が殆どの中、

今回の作品では、

過去を変えることが無かったのも面白かっただろう。

 

今作で描かれた物語は

「過去を知って自分を変える物語」

だったのだ。