「インターステラー」ネタバレ感想と考察【壮大すぎる!映画史に残るSF作品】

本記事は、映画「インターステラー」のネタバレを含んだ、感想と考察記事です。

鑑賞したことが無い方は、注意して読み進めてください。

インターステラー

2014年、クリストファー・ノーラン監督によって制作された作品。

地球滅亡の危機を迎えた人類が、他の惑星を求めて調査に向かう物語。

上映時間は169分。

あらすじ

舞台はアメリカ、地球規模の植物の枯死、異常気象により、人類は滅亡の危機に晒されていたが、まだ人類は気がついてはいなかった。

元宇宙飛行士である「クーパー」は、例年続く凶作に苦しみながらも自身の父である「ドナルド」息子の「トム」、娘の「マーフィー」と共に農家を続けていた。

ひょんなことから人類滅亡の真実を知り、クーパーは再び宇宙飛行士として人類の新天地を求めて宇宙へ飛び立つのだった。

出演役者

本作の主人公「ジョセフ・クーパー」を演じるのが「マシュー・マコノヒー」

 

本作のヒロイン「アメリア・ブランド」を演じるのが「アン・ハサウェイ」

 

ジョセフの娘「マーフィー・クーパー」を演じるのが「ジェシカ・チャステイン」

 

アメリアの父であるNASAの教授「ジョン・ブランド」を演じるのが、「マイケル・ケイン」

 

見どころ「SF映画の最高傑作と名高い、壮大で秀逸すぎる脚本」

過去に「メメント」「ダークナイト」などの作品を手がけた今作のクリストファー・ノーラン監督

複雑で見応えのある脚本力に絶大な支持を得ている監督であったが、今作でもその脚本力は爆発することとなった。

今回の舞台となるのは「宇宙」「アルマゲドン」「ディープインパクト」を思い出すようなSF作品として売り出されたが、鑑賞してみるとその想像を遥かに超える深く難解なストーリーとなっていた。

「宇宙」というテーマの中で、「磁場」「異次元」その概念そのものに切り込んだ、今まででは描かれることのなかったスケールの作品となった。

また、ノーラン監督の得意とする伏線回収の面白さや、フィルムを用いた映画の撮影法などが、近年を代表する名作へと瞬く間にのし上がる要因となっていただろう。

今作ほどに「考察」のやりがいがある映画はそう多くは無いだろう。

 

配信コンテンツ

「インターステラー」は今現在、Amazonプライム、Netflix、U-NEXT、Hulu、dTV、等で配信されている。

Amazonプライム

Netflix

U-NEXT

Hulu

dTV

 

ネタバレあらすじ

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舞台はアメリカ、地球規模の植物の枯死、異常気象により、人類は滅亡の危機に晒されていたが、まだ人類は気がついてはいなかった。元宇宙飛行士である「クーパー」は、例年続く凶作に苦しみながらも自身の父である「ドナルド」息子の「トム」、娘の「マーフィー」と共に農家を続けていた。

そんなある日、マーフは自分の部屋の本棚から本が勝手に落ちていることに気がつく。

この現象を幽霊のせいだと信じていたが、重力波の影響で不規則な砂の波ができたことにより、クーパーはそれが何者かによる重力波を使った二進数メッセージではないかと気が付く。

重力波の暗号を解読し記された場所へ行ってみると、そこはNASAの極秘研究所だった。

「何故ここがわかった?」と問われ、起こったことをありのまま話すジョセフ、それを聞いたブランド教授は「人類滅亡」の危機についてジョセフに暴露しジョセフを宇宙飛行士として再び迎え入れることを決意する。

土星近傍のワームホールを通り抜けて、別の銀河に人類の新天地を求めるプロジェクト「ラザロ計画」を遂行するのだった。

生きるか死ぬか?

何年、何十年になるかもわからない宇宙への旅路に、娘のマーフィーは腹を立て送り出してくれない。

後ろ髪を引かれつつも、ジョセフは宇宙へ飛び立つのだった。

ジョセフ達が宇宙へ飛び出してから二年後、ジョセフを含めた4人の乗組員2体の人工知能ロボットはついに土星のワームホールまでたどり着く。

一行はワームホールを通り抜け、ラザロ計画の先駆者の一人で、ミラー飛行士が待つ水の惑星を目指す。

地球が存在する銀河ではない別の銀河に存在する水の惑星では、「時空」の概念そのものが違っていた。水の惑星の「1時間」は地球時間の「7年」にも相当する時空となっていたのだった。

乗組員の物理学者「ロミリー」船内に残り、地質学者の「ドイル」アメリア、ジョセフ、の3人が水の惑星に降り立つのだった。

一面が海面となる惑星に降り立つが、ミラー博士の乗る宇宙船が見当たらない。足元を探ると、鉄の残骸だけが残されているのだった。

残骸に残る「データ」を拾い集めようとしていると突如として、山脈をも優に超えるほどの巨大な「波」が迫り来る。

急いで宇宙船に戻るアメリアとドイルだったが、ドイルが波に飲み込まれ、死亡してしまう。

何の成果も得られないまま宇宙船に戻るジョセフとアメリアだったが、迎え入れたのは老けたロミリー、時間にして23年と4ヶ月経っているのだった。

船内にて、地球からのメッセージを受け取る二人、この数時間の間に、息子のトムは大人となり、結婚し、マーフィーはNASAに入っていた。

そして、あまりの時間の経過に、ジョセフの生存自体を諦められてしまっている現実を受け入れるのだった。

大人となったマーフィーはブランド博士の元、地球を救うための重力の方程式研究を続けていたが、老衰により死亡する間際のブランド教授に「計画」は破綻していたことを暴露される。

ブランド教授は何十年も前に重力方程式を解いており、重力制御は事実上不可能だとの結論を導いていたが、長年にわたって事実を隠蔽し続けてきたのだった。

愕然としたマーフィーは「父は人間を見捨てて飛び立った」と思い込んでしまうこととなる。

それでも研究を続けたマーフィーはブラックホールの中心のデータが必要であることに気がつくが、どうすることもできないのだった。

一方、燃料が少なくなったジョセフの宇宙船では、残り2つの惑星、どちらに行くかで悩んでいた。

「マン博士」の居る惑星か、アメリアの恋人である「エドマンズ博士」の惑星に行くか…。

私情を挟み、エドマンズの惑星を推すアメリアだったが、それを拒否し、人類のためにマン博士の惑星に行くことを決意するジョセフ一行だった。




一面が氷の大地に覆われるマン博士のいる惑星に降り立ち、冷凍睡眠からマン博士を救出する。

メンバー皆で、マーフィーからのビデオレターを見るが、計画が嘘であった真実を突きつけられるのだった。

人類滅亡回避のために、「凍結された受精卵」を残すことが計画のメインであることを知った一同は酷くショックを受けることとなる。

孤独と真実でパニックとなったマン博士基地を爆破し、ロミリーが死んでしまう。

一人でジョセフの乗ってきた宇宙船に乗り込み、地球に帰ろうとするマン博士だった。

母船との無理なドッキングに対し、警告を送るジョセフだったが、これを無視し強行したマン博士は宇宙の彼方に散るのだった。

破損した母船とのドッキングをなんとか成功させたジョセフ達だったが、損傷と燃料の不足により、地球に帰ることもできなくなる。

ジョセフの案により、ブラックホール「ガルガンチュア」軌道の力を利用し、エドマンズの惑星に飛び立つ計画を立てるのだった。

ガルガンチュアの軌道に乗り、これまでの小型宇宙船を切り離し、アメリア一人に人類の存続を託すジョセフ、小型宇宙船の中、一人でガルガンチュアに飲み込まれていくのだった。

気がつくとジョセフは、何者かが創造した「4次元超立方体テサラクト」空間に居た。

同じく生きていた人工知能ロボットにガルガンチュアの中心のデータを取り込むように命令するジョセフ。

ジョセフはそこが、マーフの部屋を通じて地球の過去、現在、未来、全ての時間と連結している空間であると気付く。

何かのメッセージを送ろうと試みるが、マーフィーには届くはずもない。ジョセフは本棚の本を落として、マーフィーにメッセージを送る。

かつて「幽霊」だと思っていたその現象は、まさに自分自身によるメッセージであるのだった。

なかなか気が付かないマーフィーに焦るジョセフだったが、ロボットが放った一言により彼は自身が過去を変えるためではなく、未来を変えるためにこの空間に送られたことに気づく。

ジョセフは収集したデータを、別れる前にプレゼントしたアナログ時計で秒針を使ったモールス信号で表現する。

彼女にデータの真意が理解できるか?とロボットは疑うが、クーパーは「あいつはただの女の子じゃない。俺の娘だ」とだけ答えデータを送り続ける。

一方で現在のマーフィーは本棚の異変に気が付き、ついにはアナログ時計の秒針のモールス信号にも気がつくこととなる。

ブランド教授が成し得なかった重力問題に解を見つけるのだった。

その瞬間、テサラクトが閉鎖し始め、ジョセフは土星に着いたときに入ったワームホールの中に吸い込まれる。

目を覚ますと、土星の軌道上に建造されたスペースコロニー内部の病室で目覚める。

人類は生き延びたことを意味するのだった。

英雄扱いとなっていたジョセフは、老人となったマーフィーと再開することとなる。

「私には家族がいる」静かに息を引き取るマーフィーを見て、ジョセフは「迎えに行く」ためにアメリアの降り立った別の惑星に飛び立つのだった。

ネタバレ感想と考察

物理学者のプロットを映像化した作品だった。

本作「インターステラー」、「難解な映画」としても有名になってしまったが、そんな本作のベースとなったのが実際に存在する物理学者の論文というのが原因となっているだろう。

物理学界の大物「キップ・パーソン」が、制作指揮に名前を連ねた今作では、「異次元」「相対性理論」などの現代化学におけて難易度が高く、一般の人からすれば、「言葉くらいは聞いたことがあるけど…」なんて思ってしまうようなワードが数多く登場する作品となっている。

中でも、本棚のポルターガイスト現象の原因となった「重力波」は、ノーベル物理学賞にも至ったほどの内容を取り扱っていた。

今作が「難解な映画」として評されるのも、現代における最新化学が詰まった作品だったのだから無理はない。

なぜ大衆的な映画として機能したのか?

そんな中でも今作は、難しい内容ながらもしっかり「映画」として成立している面白い作品となっていた。

その状態こそが、ノーラン監督の腕によるものだと思っていいだろう。

今作のテーマとされた「物理学」「伏線回収」のシステムを上手く組み込んだ作品となったのだ。

23年という時空の概念によるタイムラグ、そして冒頭の本棚のポルターガイストの伏線は最後の最後で回収される。

まさに「宇宙と物理」による演出だった。

もうひとつの要因が「感情」である。

マン博士が孤独からの解放に泣くシーン、そしてアメリアが「エドマンズの惑星」を推すシーン、数々の人間的感情が渦巻いて、本作をより「映画」に仕立てあげている。

「仲間」「家族」「恋人」そんな「孤独との戦い」こそが、本作のもうひとつのテーマでもあったと言っていいだろう。




物語は途中で終わっている!?

通して今作を鑑賞した時に、「ハッピーエンド」のような空気感漂わせてはいるが、実は物語は完全に完結していない。

今作で描かれた「ラザロ計画」では、人間が完全に別の惑星に移住することが目的とされていたが、まだまだ「宇宙ステーション」しか立ち上がっていないのだ。

更には、アメリアを迎えに行くような描写で物語は幕を閉じる。

彼女自身を初めとして、コロニーを築きあげている描写が描かれるが、彼女の降り立つ惑星が、どのような時空で回る世界なのかもわからないまま終わるのが特徴的な幕引きとなっている。

ノーラン監督が本当に伝えたかったテーマ

物理の要素、そしてヒューマンドラマ的要素、そのどちらもが上手く絡み合う作風となったが、結局この作品は何を伝えたかったのか?

その本当の答えはもう出ているだろう。

それは「愛」がテーマだったことだ。

今作で持ち上げられた2つのプラン、プランAとプランB、プランAでは「人類の完全移住」という、ハッピーエンドルート、一方のプランBでは「他の星に人工授精卵を残す」という、なんとも救いのない、諦めルートであることは誰の目から見ても明らかだっただろう。

しかし本作の最後は、不可能と思われた「プランA」締めくくられている。

今作において「悪者」は存在しないが、血も涙もない非情な「プランB」が、マン教授のエゴにより失敗することとなる。

結果的に仲間や親子、そして恋人の「愛」によって達成された「プランA」が成功しているのだ。

ジョセフがなぜブラックホールを抜けて過去のマーフィーの部屋にたどり着いたのか…?

これに関して言えば唐突すぎる展開にも感じるが、これも「愛」が成した奇跡であると考えられるだろう。