トレインスポッティング【ネタバレありなし徹底考察】

本記事では、
前半で、映画紹介&見どころレビュー
後半で、ネタバレ解説&徹底考察を行います。

「トレインスポッティング」

ダニーボイルが監督をした1996年のイギリス映画。
原作はアーヴィンウェルシュの同名小説。

ヘロイン中毒の若者レントンと、
その仲間たちの成長と葛藤を描くストーリー。
上映時間は94分

主人公の「レントン」
演じるはユアン・マクレガー

あらすじ

舞台はスコットランド、「エディンバラ」
ヘロイン中毒である「レントン」
ヤク仲間の「スパッド」「シックボーイ」「べグビー」と共に怠惰な生活を送っていた。
クスリやナンパ、軽犯罪を繰り返し生活していたが、
ある日、スパッドがいよいよ刑務所に入ってしまう。
それを気にドラッグ克服を決意し、ロンドンで「真っ当な仕事」を始めるが…。

見どころ①「リアリティ溢れる薬物中毒者の日常」

この作品、遡ること30年近く前の映画であるが、
1996年の映画とは思えないくらい、現代にもマッチしている映画と言えるだろう。

ドラッグがやめられず、苦しむ若者達の生活がリアルに描かれているが、
どこまでがリアルでどこからがフィクションなのか?
わからない衝撃的なシーンがいくつも出てくる。

見どころ②「全員が主人公。個性あふれる登場人物」

ただでさえスリリングな映画であるが、
個性溢れる悪友達がさらにスリリングに仕立て上げてくれる。
ドラッグはもちろん、
「セックス依存性」「アルコール中毒」の症状を持つ友達すらも出てくる。

 

どこか狂気を感じるギャグのようなシーンや友人とのやり取り、
「ドラッグ中毒者」の観る幻覚、行動、考え方すらもが「映画」として絶妙な表現で描かれ、

「本来なら見ていられないようなシーン」でも、
ダニーボイル監督の手によりスタイリッシュに、スピーディに、そして手際良く描かれる。

主人公「レントン」がドラッグにハマり過ごす「墜落」の日々、
そしてドラッグをやめてちゃんとした会社で働くまでの「成長」の日々、
1時間30分間、画面に釘付けにされるだろう。

このスリリングな刺激、そしてスピード感、内容、テンポ、カメラワークやカット、BGM、
どれをとっても現代にマッチした映画であることを再度思い知る作品である。

怖いもの知らずの若さをもう一度感じてみれるだろう。

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※ここからネタバレあらすじ

スコットランド・エディンバラに住むヘロイン中毒のレントン。
四人の悪友、ヘロイン中毒のシック・ボーイ、スパッド、 アルコール中毒のベグビー、
そして他の4人と比べると「普通」なトミーと つるんでいた。

ある日レントン、シック・ボーイ、スパッドは麻薬をやめるよう試みるが、
それぞれの理由で失敗してしまう。

クラブに行ったレントンはダイアンという女性に出会い、一夜を過ごした翌朝、
彼女がまだ学生と知り、レントンは犯罪者となるのを恐れて彼女と距離をとる。

ある日、麻薬仲間アリソンの幼い子供が死んでしまい、
これ以降、レントン、シック・ボーイ、スパッドは麻薬に以前よりのめりこみ、
麻薬のためには万引きなどの犯罪も躊躇しなくなった。

そして万引きが原因でレントンとスパッドは警察に捕まり、
薬物使用に関してレントンは執行猶予付きの判決、スパッドは6カ月の実刑となった。

捕まったことを機に、レントンは自ら薬物依存の治療を試みるが、失敗し、
昏睡状態となり病院に運び込まれる。

この事態を見たレントンの両親は、
彼の自室に鍵をかけて閉じ込める強引な方法で薬物依存の治療を開始する。

禁断症状は重く過去のつらい出来事やエイズへの恐怖からの幻覚などに苦しむ。
そしてついにレントンは薬物依存を克服する。

麻薬がない生活はレントンの日常を憂鬱にするものだったが、
以前知り合ったダイアンに諭され、彼は働くことを決意する。

彼は単身ロンドンへ移住し不動産会社に勤め始め、
仕事はうまく行き、普通の生活を送る満足感を感じていたが、
ある日強盗をして指名手配の身となっているベグビー、
さらにシック・ボーイがレントンの部屋に居候を始める。

レントンの所持品のテレビを勝手に売ったことがきっかけとなり、
耐えかねたレントンは勤め先が貸出している物件に二人を住まわせる。

このことが会社にばれたレントンはその会社を解雇され、
トミーがエイズで亡くなり葬式があったため、地元であるエディンバラに戻った。

トミーの葬式が終わった後に、ベグビー、シック・ボーイ、スパッドの3人が、
大量の麻薬を買い、転売するために資金を出すようにレントンを誘う。
レントンはお金を出し、3人と共にロンドンへ行き麻薬組織に麻薬を売却して大金を得る。
取引に成功した4人はパブに行き飲み明かす。

4人はホテルで眠っていたが、
朝方一人目覚めていたレントンは取引で稼いだお金を持ち逃げするが、

唯一「まとも」であった「スパッド」には大金の一部を残していく。

そして、今度こそは普通の生活をすると決意し、道を歩いていく。

ネタバレ徹底考察

タイトルの意味について

「トレインスポッティング」とはスコットランドのある特定の地域の隠語。
ある地方に廃墟となった鉄道車庫があり、その廃虚に薬物中毒者たちが集まるようになった。
そこで薬をキメることを「トレインスポッティングする」などと言うようになったらしい。

またこれには、
「電車や車両のナンバーを見分ける鉄道オタク」という意味もあり、
ひとつのことに夢中になってしまうマニアの行動力、
それを「薬物」と関連付けたという説もある。

そして映画の最後、電車の陰に写る「Trainspotting」のタイトルが写る。

映画のラストについて

主人公「レントン」が疾走する映画始まり、
最初のセリフが「人生で何を選ぶ?」

平凡な人生を嫌うレントンが、再び平凡を得るために戦う物語であるが、
主人公の「考え方」がここまでも変わってしまう作品はあまり無い。

考え方をここまで変えてしまう「薬物」というものに警笛を鳴らす、
社会派作品として送り出されたことがよくわかる作品である。

映画の最後のセリフ、
「これで終わりにして、まともになり、人生を探そう。
 ずっと探し求めていた、あんたと同じような人生を」
は、オープニングでレントンが放ったセリフと真逆のセリフで終わるのである。

また、スパッドにのみお金を残すのは、レントンの中で唯一「まとも」な存在であるのがわかり、
これまでの行いに対する「免罪符」を乞うためだったのかもしれない。

ショッキングなシーン

本作において「ヘロインの怖さ」を象徴するシーンとして、
なかなかにショッキングなシーンがいくつかある。

・座薬錠のアヘン剤を肛門に入れ、それを忘れて、「超汚いトイレ」で用を足す。
 アヘン剤を取り返そうと便器に手を突っ込み、頭を突っ込み、中に入ってしまう。

・ヘロインに夢中のあまり、赤ん坊の世話を忘れ、赤ん坊が死んでしまうが、
 現実逃避のためにその場でヘロインを打つ。

・克服に失敗し、昏睡状態に陥る前、
 カーペット隙間にすっぽり入り、吸い込まれるような、描写がある。

・ヘロイン克服中に、禁断症状として観る幻覚に、死んでしまった赤ちゃんや友達が出てくる。

トイレの中は大海原のごとく広く描かれているが、これはフィクションであり、
「クスリのためならここまでしてしまう」ほどに依存していることを伝える表現であり、

また、カーペットに埋もれてしまうシーンでは、言葉では伝わらない薬物使用時の感覚が、
一番わかりやすく伝わる描写であると考える。

撮影のための約13キロ減量

今作を撮るにあたり、主役のユアン・マクレガーは
アルコールと乳製品を2ヵ月間断って、13キロの減量をして撮影に臨んでいる。

それだけリアルを求めた撮影現場であったと同時に、
この映画が「薬物問題」に正面から向き合っている作品であることがわかる。