青い春【ネタバレありなし徹底考察】

本記事では、
前半で、映画紹介&見どころレビュー
後半で、ネタバレ解説&徹底考察を行います。

「青い春」

2002年、6月に公開。

漫画家、松本大洋の作品「青い春」を原作に、
豊田利晃監督が実写化をした作品である。
上映時間は83分。

あらすじ

舞台は朝日高校というとある男子校。
校内の不良グループ内で危険な遊びが流行っていた。

「ベランダゲーム」
屋上の柵の外に立ち、一度に手を何回叩けるか?を競うゲームである。

そんなベランダゲームで8回という新記録を打ち立てた九条が、

グループのトップに立つことになるが…。

出演俳優

主演は若き日の松田龍平。松田龍平演じる「九条」が主人公。

 

今回の主演は「松田龍平」だが、
その他の出演者も若き日のビッグネーム俳優達のオンパレードである。

「青木」を演じる今話題?の「新井浩文」

「オバケ」を演じる「瑛太」などが出演する。

 

見どころ①「映画を盛り上げる、劇中BGM」

校内の不良の話を描く今作だが、

劇中のBGMとして「THEE MICHELLE GUN ELEPHANT」というバンドの楽曲が多様されている。

廊下を歩くシーン、金属バットでボコボコにするシーン屋上で佇むシーンなど、
どの情景を切り取ってもミッシェルの楽曲がしっくりきている。

これらのシーンがの映画の真骨頂であると感じる。

暴力的なシーンが多い今作だが、そんなシーンに添えられるミッシェルの楽曲。

登場人物の考えていることが、よりわかり易くなる為のガソリンとなっている音楽である。

見どころ②「荒々しく泥臭い脚本」

リーダーを背負う「九条」の苦悩。
能天気な九条が学校のトップに立つが、
無意味なゲームとどうでもいいトップの地位に頭を悩ませる。

不良高校生の青春に生きようとしない、
主人公「九条」と、

九条に絶大の信頼を寄せ、
青春を生きようとする「青木」。

その他の仲間達が織り成す、不良青春ストーリー。

決して「甘酸っぱい」ものではなく、
「泥臭い」青春を感じることができる一本であると考える。

配信コンテンツ

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※ここからネタバレ解あらすじ

高校生である「九条」はベランダゲームで8回という記録を打ち立て、トップに君臨していた。

九条の右腕として働く「青木」は幼少期からの九条の友達であったが、
トップの地位に全くの興味を示さず、
学校をシめるトップとして働かない九条に徐々に不満を抱く日々を過ごしていた。

同級生の「雪男」が校内で刺殺事件を起こし、「木村」がヤクザに道を歩みに学校を去る中、
「レオ」という後輩がベランダゲームで7回を叩くというウワサが入る。

九条VSレオのベランダゲームがスタートするが、9回叩いたところでレオが転落しそうになり、
九条の勝利となる。

レオをシめる青木だったが、興味が無さそうに立ち去る九条の姿に腹を立て、
青木はグループを抜け、九条を敵視するようになる。

モヒカンに刈り上げ、「お前には出来ないことをしてやる」と豪語した青木は、
ある晩、屋上に佇む。

朝になり、九条が登校すると、一人でベランダゲームを行う青木の姿があった。

危険を感じた九条は急いで屋上に向かうが、間に合わず、
青木は13回手を叩き、転落死してしまう。

青木の温もり残る屋上を見渡すと、
床には真っ黒なスプレーで大きな影が描かれていた。

ネタバレ徹底考察

九条の強さは欲の無さにある

九条がベランダゲームで強かった理由、それは「欲が無いから」

九条に誰一人としてベランダゲームで勝てなかったのは、
学校のトップを目指す欲にまみれた人間は、失うものの大きさにどうしても躊躇してしまうからだ。

学校でも、その後の人生も、大きな希望はなく過ごす九条の心情は、

サッカーボールを蹴るシーンなどにわかりやすく描写されている。

意味のないベランダゲームで、勝利を望む挑戦者たちに冷ややかな視線を送る九条、
松田龍平はまさに適役の配役であり、九条の心を再現するのに彼以上の役者は居なかったであろう。

青木の葛藤と決断

無欲な九条の傍らにはいつも「青木」がいた。

青木は九条を尊敬しながらも敵対していくが、
彼の本心は「九条に認められたかった」ところにあるのだと思う。

九条は退屈な毎日のあまり、「友達」の存在までも疎かにしてしまっているが、
そんな無欲な九条に青木は「俺のことなど眼中にない」と思われているような、
錯覚を起こしてしまったのだと考える。

ベランダゲームで13回を叩き、転落死する青木は、死など怖くなかった。
死ぬことよりも怖いのは、「九条に忘れられること」だったのだ。

松本大洋の演出とミッシェルガンエレファント

今作の原作は松本大洋の短編集の話の一つである「幸せなら手を叩こう」であり、
その物語に別の物語を混ぜて制作されたのが、今作の映画である。

作中も「幸せなら手を叩こう」を歌うシーンがあり、そのやる気のない鼻歌も映画を盛り上げる
算段の一つなのではと思ってしまうほどの雰囲気造りとして機能している。

どこか得体のしれない狂気を感じる演出がこの作品には多く練り込まれている。

・トイレの個室で刺し殺すシーンを個室の外側から撮るシーン。
・無表情で立ちすくむキャラクターの仕草。
・青木が描く「絵」
・屋上を通過する飛行機
...など

松本大洋独特のどこか閉鎖されたような空気感「ミッシェルガンエレファント」
音楽がBGMとしてかみ合う。

そんな狂気こそに引き寄せられてしまう作品なのではないだろうか。

某俳優も捕まってしまったが、その背景を知りつつ鑑賞することすらも、
「新しい観方」として面白いとさえ思える作品だろう。