「バグダッド・カフェ」のネタバレ感想と考察【映画の一時代を築いた元祖「日常系映画」】

  • 2021年10月2日
  • 映画
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本記事は、映画「バグダッド・カフェ」のネタバレを含んだ、感想と考察記事です。

鑑賞したことが無い方は、注意して読み進めてください。

バグダッド・カフェ

1987年、パーシー・アドロン監督によって制作された作品。

アメリカの砂漠地帯にあるガソリンスタンドとダイナーを兼用した「バグダッド・カフェ」の人間を描く人情物語。

上映時間は91分。

あらすじ

舞台はアメリカ、モハーヴェ砂漠、ここに一件のガソリンスタンドとカフェが存在していた。

名前は「バグダッド・カフェ」

黒人であるブレンダが中心となって切り盛りするこのカフェに、一人のドイツ人女性が迷い込む。

名前はジャスミン

旦那と大喧嘩し、一人砂漠に取り残されてしまった彼女を、ブレンダはあまり歓迎することは無かったが…

出演役者

本映画の主人公、ブレンダを演じるのが「CCH・パウンダー」

正式名称は「キャロル・クリスティン・ヒラリア・パウンダー」

黒人の女性であり、アメリカのドラマにはいくつか出演しているようだ。

 

本作のもう一人の主人公ジャスミンを演じるのが「マリアンネ・ゼーゲブレヒト」

ドイツ人の女優であり、元々は劇団を立ち上げるほどの行動力の持ち主。

本映画のブレイクをきっかけにメディアに出始めた女優である。

 

バグダッド・カフェのマスターを務めるカヘンガを演じるのが「ジョージ・アギラー」

アメリカの俳優であり、ネイティブアメリカンの血を引くような外見をしている。

寡黙で淡々と仕事をこなすが、心優しい男性マスターを演じている。

 

ネタバレ感想と考察

この映画…退屈なのに人気!?

ドラマ、アニメ、映画、様々なカルチャーにおいていつの時代でもあったのが、この「日常系」というジャンル。

日本で言うならば「釣りバカ日誌」などが有名だろう。

今作「バグダッド・カフェ」の舞台となるのが、アメリカの幹線道路。

トラックドライバーや観光客、など、様々な人間が交差する場所での人情物語を上手く描いた作品となっている。

疲れた時にはこんな一本が心に染みるが…その反面、やはりその物語の「起承転結」の浅さは退屈だと感じてしまう鑑賞者も多いだろう。

そんな今作であるが、実は1980年代に訪れたとされる「ミニシアターブーム」の火付け役となった作品でもあった。

ミニシアターブーム
1980〜1990年当時、最先端で個性的とされた映画の作り方。
「トレイン・スポッティング」「ブエノスアイレス」がこれに該当する。

数々の名作を夜に放ったミニシアターの数々の作品の中でも序盤であることから、本作は初上映から17週間のロングラン公開という異例のヒットとなった。

監督も出演者も特に有名な人はいないはずなのに、何故ここまでこの作品が売れたのか不思議ではあるが、一つ確実なことは「映画」というカルチャーがブームとして到来している東京の熱気は凄まじいものだった…ということだろう。




あの「バグダッド」とは関係ない…!!

本映画を鑑賞して初めて抱く疑問、それは「アメリカが舞台…?」というのはもはや共通認識と言ってもいい。

そう、この映画に登場する「バグダッド」はイラクの「バグダード」とはなんの関連も無いのである。

本映画のカフェが位置する場所はアメリカのカリフォルニア州であり、そこの地名である「バグダッド」を由来としてその名前が付けられたようだ。

砂漠のど真ん中に位置する立地や、そのジャケットの古びたガソリンタンクなどから、完全にイラクのカフェであるイメージだと思ってしまう鑑賞者も多いはずだ。

余談ではあるが、舞台になったカフェはアメリカのロサンゼルスとラスベガスの中間に位置していて、実在している。

時代の幕切れを象徴するようなミュージカルシーン

本映画を最後まで鑑賞した人ならばわかるだろうが、本映画には「ミュージカル要素」が含まれている。

それは映画のラストシーン、マジックで店を賑わせたジャスミンが再びバグダッド・カフェでマジックを披露するシーンである。

映画序盤でピアノをひたすらに弾いていた、ブレンダの息子、サロモの伴奏に乗ってジャスミンとブレンダのダンスが展開される。

終わり方としては確実に「ハッピーエンド」のそれであるが、1970〜80年代には「ニューシネマ」と呼ばれるブームも到来している。

「ニューシネマ」では「バッドエンド」が主となり、そんなニューシネマ時代に終わりを告げるかのような明るい最後は、当時は「ミニシアター」の時代の到来を意識させる作品となっていただろう。

今でも本映画はTSUTAYAなどで「映画通が選ぶ100本」に選出されるほどの名画となっている。

当時の時代と内容にマッチした名画であり、これからも語り継がれていく作品だろう。