「スキン〜あなたに触らせて〜」ネタバレ感想と考察【グロ?ホラー?それともアート??怪作爆誕…】

  • 2024年2月15日
  • 2024年2月18日
  • 映画
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本記事は、映画「スキン〜あなたに触らせて〜」のネタバレを含んだ、感想と考察記事です。

鑑賞したことが無い方は、注意して読み進めてください。

「スキン〜あなたに触らせて〜」

2017年、エドゥアルド・カサノバ監督によって製作された作品。

様々な身体的特徴に悩まされる人々を描いた物語。

上映時間は77分。

あらすじ

舞台はスペイン、とある街の小さな風俗店。

ここに勤務する一人の娼婦ローラは、生まれつき「目」を持たなかった。

そして口が「肛門」になっている少女サマンサ、小人症のヴァネッサの物語と交錯していく…。

出演役者

本作の主人公の一人、ローラを演じるのが「マカレナ・ゴメス」

 

口が肛門になった少女、サマンサを演じるのが「アナ・ポルボロサ」

 

その他多数の主人公が存在する。

配信コンテンツ

「スキン~あなたに触らせて~」は今現在、NETFLIX、等で配信されている。

NETFLIX




ネタバレ感想と考察

シュール?コメディ?アート?それともホラー?

これまでにこんなタイプの映画は鑑賞したことがなかった。

多様性が騒がれる現代において、人前には晒されることの無くなった奇形、所謂「フリーク」という存在。

本作はそんな人間たちの禁断の果実に触れた一作と言ってもいいだろう。

そしてオシャレでありながら、どこか不気味にも感じとれる世界観で展開されていく本作のジャンルも正解が見えない。

シュールなコメディにも観れるし、スペイン映画独特のアート作品にも思え、観る人によっては「ホラー映画」にも観えてしまうかもしれない。

そんなふわふわとした世界観でのインパクトあるキャラクターが入り交じる中、「ストーリー性」だけはしっかりと確立され、その重さは風刺映画にも引けを取らない内容となっている。

個性的すぎるキャラクターと練られた脚本力

物語の登場人物達はどれも個性的で、現実に居そうな人からファンタジーのような奇形人間まで様々だった。

物語の登場人物は大きく8人。

・生まれつき目がない娼婦。
・口に肛門があり、肛門に口が付いている少女。
・顔半分が腫瘍に潰された女性。
・顔面ケロイドの男性。
・小人症の妊婦。
・人魚を夢見る「身体完全同一性障害」の男性。
・奇形しか愛せない性癖を持つ男性。
・見た目に激しいコンプレックスを持つ太った女性。

これら全てのキャラクターが、一切手を抜かれることがなく、各々の悩みや葛藤そして濃密なストーリーが展開されていく。

物語の途中では別々のストーリーがリンクしていくようなシーンもあり、以外にもしっかりとした脚本が練られている。

そのすべてのキャラクターの人間相関図こそが本作一番の見どころであると言ってもいい。

①生まれつき目がない娼婦⇒⑧の女性に宝石を奪われ、宝石がなくても自分に自信を持たせてくれた⑧に好意を抱く。
②口に肛門があり、肛門に口が付いている少女⇒⑥の男性を車で轢き、⑦の男性と交際する。
③顔半分が腫瘍に潰された女性⇒自分を「奇形」だと思っていた⑦の男性と破局し、④の男性と浮気する。
④顔面ケロイドの男性⇒③の女性と付き合うが破局、⑤の落としたお金によって整形手術し、生まれ変わる。
⑤小人症の妊婦⇒着ぐるみバイトの対応の悪さに、お金をベランダから投げる。
⑥人魚を夢見る「身体完全同一性障害」の男性⇒足を無くすために、わざと②の車に轢かれる。
⑦奇形しか愛せない性癖を持つ男性⇒③を言葉で傷つけてしまいフラれるも、①と出会い交際。
⑧見た目に激しいコンプレックスを持つ太った女性⇒目が見えない①の女性をよく買い、愛していた。

そして、それら全ての「望みが叶う」ようなハッピーエンドとして終わる。

さながら小説の短編集を読んでいるような濃密な内容の映画作品でもある。




生々しい世界の中に見出すテーマ。

あくまでも映画作品、ファンタジーをハッピーエンドで締めたような作風ではあるものの、衝撃的でグロテスクで、残酷な描写が多いのも事実である。

始まりは「目がない少女」の物語であるが、思い返してみれば、年齢11歳にして「娼婦」として働き始めるストーリーは、なかなかに衝撃的なエピソードで始まっている…。

そして同時に女性の乳房、男性の陰部、これらも余すことなくフル露出で描写される。

更には物語の中盤、「肛門の口を持つ少女」がレイプされるシーンもある。

彼女は口に肛門が付いている代わりに、肛門部分に口が付いている。

これがどのようなことを意味するか…鑑賞していない人もわかるだろう…。

世知辛い世の中に生きていても、それぞれの幸せを求めて生きていく登場人物達は、全員が自分に自信を持って外を出歩いている。

見た目を笑われ暴力を振るわれても、外を歩き続ける。

綺麗な世界観の中で、人間の汚い部分をありのままに描写し、そんな社会で懸命に生きる彼女たちに活路を見出す。

それが本作品のメインテーマなのではと筆者は考える。