「見えない目撃者」ネタバレ感想と考察【盲目の目撃者サスペンス】

本記事では、
前半で、映画紹介&見どころレビュー
後半で、ネタバレ解説&徹底考察を行います。

見えない目撃者

2019年、森淳一監督によって制作された作品。

2016年に公開された韓国映画「ブラインド」

リメイク版として日本で公開された。

盲目の元警察官が、

とある轢き逃げ事件に遭遇し、

真相を究明していく作品。

上映時間は128分。

あらすじ

舞台は日本のとある町。

一人の警察官志望の女性が居た。

彼女の名前は「浜中なつめ」

弟と車で帰る際、

交通事故を起こした彼女は、

弟を亡くし、自身が失明してしまったのであった。

 

事故から3年後、

弟の墓参りに赴くが、

未だ、弟の死を受け入れられない自分が居た。

墓参りをせずに歩いて帰宅するが、

帰宅途中、交通事故のような音を聞く。

事故を起こしたと思われる車に近づくと、

ラジオの音に紛れて、

微かな声が聞こえる。

「助けて…」

しかし車は走り去ってしまう。

盲目の彼女は、匂いを頼りに

声の正体を突き止めるため、調査を始める。

出演役者

本作の主人公、盲目の元警察官「浜中なつめ」を演じるのが

「吉岡里帆」

 

轢き逃げ事件の被害者であり、

浜中と行動を共にする「国崎春馬」を演じるのが

「高杉真宙」

 

今作の事件に携わる刑事「木村友一」を演じるのが

田口トモロヲ

 

同じく事件の担当刑事「吉野直樹」を演じる

大倉孝二

 

見どころ「日本サスペンスの中でもよく練られた脚本」

本作の原作は2011年に公開された韓国映画

「ブラインド」のリメイク版に当たる、

いわゆる「邦画バージョン」である。

内容に違いはあるものの、

原作を周到した邦画らしいサスペンス作品となった。

 

公開当初は「ツッコミどころ」の多い作風が賛否両論を呼んだが、

脚本自体はとても素晴らしいもので、

キャスティングされた役者陣も

期待以上の演技をしてくれた作品だろう。

 

邦画サスペンスの中でも、

より現代的、猟奇的、

そして斬新である脚本力

息を呑んで作品を鑑賞できるところが

最大の見どころである。

 

配信コンテンツ

「見えない目撃者」は今現在、

Amazonプライム、等で配信されている。

Amazonプライム

ネタバレあらすじ

舞台は日本のとある町。

一人の警察官志望の女性が居た。

彼女の名前は「浜中なつめ」

弟と車で帰る際、

交通事故を起こした彼女は、

弟を亡くし、自身が失明してしまったのであった。

 

事故から3年後、

弟の墓参りに赴くが、

未だ、弟の死を受け入れられない自分が居た。

墓参りをせずに歩いて帰宅するが、

帰宅途中、交通事故のような音を聞く。

 

事故を起こしたと思われる車に近づくと、

ラジオの音に紛れて、

微かな声が聞こえる。

「助けて…」

しかし車は走り去ってしまう。

 

車内から聞こえた声に

引っ掛かりを感じたなつめは、警察に行くが、

行方不明届も出されず、彼女自身も盲目であることから、

「幻聴」と思われ、取り合ってもらえない。

事件現場で、轢き逃げ事故の被害者であった青年「国崎春馬」の

発言により、ようやく事件性が出てくるのだった。

 

調査を進めていくうちに、

二人は拉致された声の主が「家出少女」であることがわかる。

拉致された少女は「レイナ」と呼ばれていた。

そしてレイナは、家出少女たちが「神」と呼ぶ人間に

拾われたことを知るのだった。

 

調査の帰り、春馬は同じ犯人に、

またもや轢き逃げに遭う。

今度は故意的なものだった。

 

今回の事件の担当であった

木村友一」「吉野直樹」の両刑事は、

事件に関連性のある元土木会社社長に会いに行く。

事務所のドアを開けると、

薬物を過剰摂取した男の死体があり、

裏手の山には、

4人の女子高生の死体があるのだった。

 

4人の女子高生はそれぞれ、

耳、鼻、口、手、を切り取られており、

警察は薬物に溺れ死亡した男の犯行と断定するのだった。




犯人を捕まえた旨がなつめに知らされるが、

まだどこか引っ掛かりが残るなつめ。

ネットで調べてみると、

犯行に関連のある言い伝えがヒットするのであった。

それは「六根清浄」という言い伝えだった。

・六根清浄
人間に具わった六根を清らかにすること。
六根とは、視覚、味覚、聴覚、嗅覚、触覚、の五感と、
それに加え第六感とも言える意識の根幹のことである。

 

そして、何年も前に、

今回の事件と全く同じ事件があったことがわかったのだった。

当時の事件の犯人は逮捕され、

犯行動機がこの「六根清浄」による言い伝えだったのだった。

 

刑事の木村は当時の事件を担当していた

元刑事の元に赴き、事件のことについて聞き込みをする。

すると、当時の事件の第一発見者が、

ビデオカメラで解体シーンを撮り続けていたことを知るのだった。

 

第一発見者について探っていくと、

なんと、自身の務めるの警察署内

警察官として働いている者であることを知る。

彼の名前は「日下部翔」

一緒に食事を食べたことがあるほど近い人間だった。

 

本人に会うために自宅に行った木村であったが、

その場で日下部に刺殺される。

その後、日下部はなつめを殺そうとするが、

スマホのビデオ通話と、地下鉄の立地を駆使し、

間一髪で日下部から逃れるのだった。

 

もう一人の担当刑事の吉野となつめと春馬は、

昔にあった同様の事件の事件現場に行くことにするが、

そここそが日下部のアジトとなっているのだった。

まだ生きている女の子を救うため、

中に入る吉野だったが、

格闘の末、日下部に刺殺される。

 

続いてなつめと春馬が建物に入り、

建物の屋根裏部屋で一人の女の子を救出するが、

日下部に襲われ怪我をする春馬であった。

なつめは配電盤をショートさせ、

建物内全ての電気を停電させる。

なつめの頑張りによって、春馬と女の子は避難するが、

なつめは、最初に追っていた女子高生

「レイサ」を見つけるため、建物の奥深くへ進んでいく。

 

「解体場」と思われる部屋で、

無事にレイサを見つける。

音もなく忍び寄る日下部であったが、

なつめの仕掛けた罠にかかり、

なつめに銃殺される。

レイサから感謝の気持ちを述べられ、

手を取り合う二人だった。

 

次の年、再び弟の墓参りが来る。

今度の墓参りはしっかりと行うなつめだった。

 

ネタバレ考察

吉岡里帆の迫真の演技力。

今作の主演、

盲目の元警察官を演じきった吉岡。

彼女は「盲目」という立ち回りの役柄を演じる上で、

その演技力の高さを見せつけてくれた。

盲目としての「目の動き」「歩き方」「喋り方」

今までの映画では

見ることのできなかったような

新しいキャラクターを作り上げ、

浜中なつめのイメージ

そのままに演じてくれただろう。

 

そして真犯人であった浅香航大、

彼を演じた「日下部」

彼の持つ「闇」「サイコパス感」

浅香の迫真の演技に、

本作はいい意味で暗さを演出してくれただろう。

 

もちろん忘れてはいけない、

盲導犬である「パル」

盲導犬に感謝しつつ、

その利口さにも驚ける作品だ。

伏線と衝撃の犯人像。

通常の映画というものは、

あらゆる「伏線」を張っていくことで

鑑賞者を楽しませる演出があるが、

本作の映画における「犯人像」において、

伏線の張り方は絶妙なものだと感じた。

 

観返してみると、食堂でのワンシーン、

木村刑事がなつめ達のネットカフェ捜査のことを匂わせ、

直後、春馬は車に轢き殺されそうになる。

この一言のみの伏線で、

日下部が犯人と気がついた鑑賞者は

相当感がいいだろう。

 

それまで全く犯人を匂わせることのなかった日下部、

そして回答を導き出すまでの

映画の構成や演出は

とても秀逸なものだったと言っていいだろう。

 

但し、アクション要素を除いて…。




映画の後半は賛否両論

今作の前半にあたる「起」や「承」

そして中盤の「転」

それまで、

今作の映画のクライマックスにかけての盛り上がりは、

他の追随を許さないほどに上手いものとなった。

 

それだけ上がりきったハードルであったが、

結果は賛否両論

満足いかない鑑賞者も多かったようだ。

 

いわゆる「矛盾」や「違和感」が多すぎる

アクションやセリフ回しが多かった印象を持った。

良くも悪くも鑑賞者の予想通りにことは進み、

ここで本作の評価は割れるものとなっただろう。

 

想像以上の肉弾戦、

そしてオチに面食らった鑑賞者も

少なくはなかった。

しかしこういう言葉もある。

「終わりよければ全て良し。」

 

とにかく、

盲導犬の「パル」が生きていることに

安堵する終わりだった。

 

ハラハラ感を引き出させる作品。

サスペンス映画というものは、

「真相究明」というテーマ以外にも、

重要となってくる項目がある。

それは映画の「ハラハラ感」

 

洋画、邦画、全ての作品を含め、

この「ハラハラ感」を競わせた時、

本作の演出の仕方は限りなく上位に食い込む

ハラハラ感を味わえる作品だったのだ。

 

被害者となる女の子の焦燥

限られた時間の中で

犯人を導き出さなければいけない焦り

犯人との格闘

そのどれもが鑑賞者達の手に汗を握らせる

演出となっている。

 

また途中途中流される不安感を煽るBGMも、

今作の作風に大きく関わってくるものだっただろう。

 

あらゆる演出が絡み合い、

本作の雰囲気は出来上がる。

「意識されて」作られたこの雰囲気

合うか合わないかは鑑賞者によって

全く変わる評価となる。