「ディス/コネクト」ネタバレ感想と考察【SNSの被害者たちの物語】

本記事では、
前半で、映画紹介&見どころレビュー
後半で、ネタバレ解説&徹底考察を行います。

ディス/コネクト

2012年、ヘンリー=アレックス・ルビン監督によって

制作された作品。

「ネット社会」を題材にした、

現代的な世界観で描かれる群青ドラマ。

本作は三つの物語が同時進行で進む。

上映時間は115分。

 

あらすじ

本作は三つの物語が同時進行する。

・ベン
中学生のベンは音楽が大好きな男の子。

家や学校では居場所を見つけられなかったが、
音楽を奏でている時だけは、
自分の居場所を感じていた。

そんなベンはある日、
Facebookでとある女性からメッセージをもらう…。

 

・カイル

家族もなく、家もないカイルは、
オーナーに拾われた先で
男性ポルノのライブ配信をして寮に住んでいた。

そして違う部屋の仲間も皆、
ポルノ系ライブ配信を行う人間だった。

そんなある日、
とあるテレビ局のリポーターから、
取材をさせてほしいと連絡がある…。

 

・ハル夫妻
一軒家に住む夫婦、ハル夫妻は、
子供を亡くし、夫婦間の仲も冷えきっていた。

夫であるデレックはいつも仕事に奔走し、
残された妻のシンディは、
匿名のチャットサイトで
とある男性とメッセージを交わすのであった。

 

出演役者

本作の物語の主人公「ベン・ボイド」を演じるのが

ジョナ・ボボ

 

別の物語の主人公、ライブ配信をする「カイル」を演じるのが

マックス・シエリオット

 

もう一つの物語、ハル夫妻の妻である

「シンディ・ハル」を演じる「ポーラ・パットン

 

見どころ「ネット社会の若者のリアルを描きあげる脚本」

一本の映画の中で繰り広げられる

3つのストーリーが本作の物語になるが、

その3本、全てが

「インターネット」にまつわるストーリーとなっている。

 

課金制ライブ配信、Facebook、匿名チャット、

どれもがリアルに世界中で

事件を巻き起こすツールとなっていた。

ティーンエイジャーのみならず、

大の大人でも巻き込まれることが多いネットの問題、

本作は、現代でも非常にデリケートに

扱われるような事例に切り込んだ、

勇気ある作品だろう。

 

配信コンテンツ

「ディス/コネクト」は今現在、

Amazonプライム、U-NEXT、等で配信されている。

Amazonプライム

U-NEXT

ネタバレあらすじ

・ベン
中学生のベンは音楽が大好きな男の子。

家や学校では居場所を見つけられなかったが、
音楽を奏でている時だけは、
自分の居場所を感じていた。

そんなベンはある日、
Facebookでとある女性からメッセージをもらう…。

メッセージのやり取りを続けるうちに、
二人は親密になるが、
「ジェシカ」と名乗るその女性の正体は、
いじめっ子のクラスメイトだった。

架空の「ジェシカ」に完全に心を開き切ったベンは、
彼女からもらった露出写真のメッセージに、
自分も露出写真を載せて返信する。

後日、学校中にバラまかれたその写真に愕然とするベンだった。

ある日、学校から帰ると、
自殺未遂を起こすベンを見つける姉。
命は助かったものの、意識は戻らないのだった。

これに激高した父のリッチは、
自殺の原因を探るため、ベンの身の回りにあった人間関係を
洗いざらい調べる。

そこから導き出した「ジェシカ」の正体にたどり着くのだった。

いじめっ子の家に殴り込むリッチ、
相手の父と取っ組み合いのケンカになるが、
子供の割り込みによって冷静になるのだった。

ベンの意識はまだ戻らない。




・カイル

家族もなく、家もないカイルは、
オーナーに拾われた先で
男性ポルノのライブ配信をして寮に住んでいた。

そして違う部屋の仲間も皆、
ポルノ系ライブ配信を行う人間だった。

そんなある日、
とあるテレビ局のリポーターから、
取材をさせてほしいと連絡がある…。

レポーターに会い、話をすると、
そのレポートがヒットし、大成功を収めるのだった。

レポートを観たFBIが情報開示を求めて、テレビ局を訪れる。
カイルを助けようと考えていたレポーターであったが、
情報を受け渡してしまうレポーターであった。

後日、ガサ入れにより摘発される寮、
行き場を無くす仲間たちを見て、カイルの怒りは膨らむ。
カイルを助けようと、移動先まで追ってきたリポーターを、
冷たい言葉で追い返すカイルだった。




・ハル夫妻
一軒家に住む夫婦、ハル夫妻は、
子供を亡くし、夫婦間の仲も冷えきっていた。

夫であるデレックはいつも仕事に奔走し、
残された妻のシンディは、
匿名のチャットサイトで
とある男性とメッセージを交わすのであった。

メッセージのやり取りを行ううちに、
夫のデレックから、クレジットカードが使えないという
電話が来る。

身に覚えのないシンディは、これを知らないと答えるが、
弁護士に相談してみると、
原因がシンディのメッセージ相手であり、
そこから情報が洩れていることがわかった。

相手の住所まで殴り込みに行き、
周辺情報を調べる二人。

拳銃を片手に、家に押し入ろうとしたその時、
「彼は犯人ではなかった」と再度電話を貰うのだった。

相手からも怪しまれていたハル夫妻は、
銃を突き付けられ、尋問を受ける。
シンディがメッセージ相手であることがわかると、
お互い、和解するのだった。

 

ネタバレ考察

三本のストーリーの纏め方。

一本の映画の中に

複数の物語が組み込まれる作品は、

決して多い方ではない。

 

今回の作品では、

全ての物語が同時進行されるという、

面白い作品となった。

 

主人公のキャラクター、

置かれた境遇、全てがそれぞれ違う問題を抱え、

結末に向かう映画の構成はとても面白かっただろう。

 

こんな映画の構成、

好きである人と嫌いな人が居るような印象を受けるが、

皆さんはどちらだろうか…?

「顔が見えない」という怖さを伝える作品。

最近では殆どの人が手を付けているであろうツール「SNS」

なかなか便利なツールであるが、

反面、恐ろしい面も持ち合わせている。

それは「顔が見えない」ということ。

 

今作の映画では三つの物語の中の二つが、

この「顔が見えない」という現象によって、

事件に巻き込まれているのだ。

 

音楽が大好きな中学生ベンは、

Facebook上で「ジェシカ」と呼ばれる女性と

友達になることになるが、

これはクラスメイトのマイクが運営する

「偽アカウント」だった。

顔が見えないという情報の少なさが

そのまま事件に繋がってしまう怖さが描かれた。

 

そしてもう一つは、

ハル夫妻のストーリー。

妻であるシンディは、悩みを吐き出す場所を探し求め、

ネットの男性とチャットを始める。

直接的に被害は無かったものの、

これをきっかけとして、

クレジットカードの怖さを知ることになる。

顔が見えない相手と話すことを

改めて怖いと思わせるような作風となっていた。




「家族」の大切さを感じる作品だった。

本作を鑑賞して、

三つの物語全てに共通していることとして、

「家族」というテーマがあったように感じた。

ベンの物語では、

最初は家族内でも浮いているようなベン、

そして息子に理解を示さない父親などが描かれ、

自殺未遂後の父の様子から、

家族の大切さが意識される作風だった。

 

そして父や息子だけでなく、

「夫婦」としての関係が描かれたハル夫妻の物語。

夫婦であるはずなのに、

最初はすれ違い気味な2人の関係であったが、

クレジットカードの謎を究明していくうちに、

仲良くなっているようなシーンに見える。

 

追い続けた男が「犯人ではない」とわかった後でも、

嫉妬の炎を振りまくデレックの姿から、

物語の最初のドライな彼の姿は想像がつかないだろう。

 

そしてカイルの物語。

彼にとっての家族は、同じ家に住む「仲間」である。

リポーターのニーナに説得され、

最初は去ろうとするも、

最後は元の居場所に戻ってしまう。

自分の居場所を汚されないために、

そして、自分の住む場所を無くさないために動いた、

彼の葛藤は痛いほど伝わってくる物語だった。

 

膨大な情報を纏める構成力。

三つの物語が組み込まれる今作、

その登場キャラクター、その境遇、関係など、

映画に入る情報はとても膨大なものとなった。

 

そんな映画を鑑賞していても、

この情報量の多さに目眩を感じることなく

鑑賞できた面白さがこの作品にはあったのだ。

 

数々の問題を詰め込みながらも、

大枠は「群青劇」として描かれていること、

そして、一つ一つの物語の切り方が、

飽きないシーンで区切られていたことに

情報を頭に残す効力があったと考えた。

 

ライブ配信、SNS、

今でこそ当たり前のカルチャーであるが、

今一度注視して、

この問題を掘り下げてみたくなるような作品だろう。