映画「団地」のネタバレあらすじと感想考察【奇想天外、団地コメディ】

本記事は、映画「団地」の

ネタバレを含んだ、感想と考察記事です。

鑑賞したことが無い方は、

注意して読み進めてください。




団地

2016年、阪本順治監督によって制作された作品。

団地アパートの人間関係を描いたコメディヒューマンドラマ。

上映時間は103分。

あらすじ

とある団地アパート、ここに一組の夫婦、

「山下夫妻」が引っ越してきた。

夫の「清治

そして妻の「ヒナ子」の二人であったが、

二年前に交通事故で亡くした

一人息子の「直哉」を引きずったまま日常を生きていた。

 

慣れない人間関係や、団地の掟に

悪戦苦闘しながらも二人は過ごしているのだった…。

 

出演役者

本作の主人公となる「山下夫妻」

夫の「清治」を演じるのが「岸部一徳」

日本人なら誰もが知るベテラン俳優、

彼の独特の雰囲気は本作でも

心地よく機能していた。

 

妻の「ヒナ子」を演じる「藤山直美

日本の熟年女優の一人で、

映画はもちろん、

ドラマや舞台に引っ張りだこの女優である。

本作では、時に厳しく、時に優しい

「お母さん」の姿を演じてくれた。

 

漢方薬局の常連「真城」を演じる「斎藤工」

彼も日本を代表する俳優の一人、

二枚目の要旨でありながら、

キャラクター的には「三枚目」の

役柄が多い。

 

本作でも、どこか掴みどころのない

不思議なキャラクターが

ばっちりハマっていた。

 

ネタバレあらすじ

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とある団地アパート、ここに一組の夫婦、「山下夫妻」が引っ越してきた。

夫の「清治」

そして妻の「ヒナ子」の二人であったが、

二年前に交通事故で亡くした

一人息子の「直哉」を引きずったまま日常を生きていた。

慣れない人間関係や、団地の掟に

悪戦苦闘しながらも二人は過ごしているのだった…。

 

二人の元には、以前二人で営んでいた「漢方薬局」

常連である「真城さん」が訪れていた。

引越し前は切り盛りできていた

漢方薬局の薬の効果を信じた真城さんは、

山下夫妻が団地に移ったあとも、

常連の客として通いつめているのだった。

 

ある日、団地内の理事選挙において、

清治を含めた三人での投票選挙が行われる。

この投票に負けた政治は、

団地での生活に疲れ、「自身が居なくなった」ことにして

生活を始めるのだった。

 

「清治の不在」は、瞬く間に団地のウワサ話の的となり、

挙句「殺人」と思われ、

疑念の目は妻のヒナ子に向けられるのだった。

 

ある日、いつものように真城さんが山下宅を訪れるが、

そこで、今までに聞いたことの無い依頼を受けることとなる。

それは「5000人分の漢方を製薬する事」だった。

 

最初は断ろうとした清治であったが、

清治の腕を見込んでの熱意に負け、

二人は作業に取り掛かることとなる。

 

周りの山下家への疑心暗鬼は最高潮と達し、

警察を呼ばれたある日、

真城は二人の部下を引き連れ、

山下家の部屋に入っていく。

大量の漢方を抱え、

久方ぶりに顔を出した清治に

驚愕の表情を浮かべる団地の住民だった。

 

そして空には、大きなUFOが浮かんでいる。

愕然と空を見上げる住民を尻目に、

清治たちは森の奥に入っていく。

UFOの機内にたどり着いた山下たちは、

亡くなった直哉の「へその緒」を忘れたことに気が付く。

5000人分の漢方を調薬することの見返りとして、

直哉を取り戻すことが条件だったのだった。

 

「忘れ物」を取りに行くために、

時空を歪め始める真城とUFO、

気が付くと、団地のアパートで夕食の準備をする二人。

その部屋に、元気な姿で直哉が帰宅するのだった。

ネタバレ感想と考察

のどかな雰囲気の人情ドラマと思いきや…

本作では、

ひとつの団地の中で繰り広げられる物語が、

物語の大部分である。

 

おじいさんやおばあさん、

仲睦まじい家族など、

登場キャラクターからも

のどかさが伝わるような作風で物語は進むが、

肝心のオチで、

物語はとんでもない方向へと進んでいくこととなる。

 

それまで積み上げてきた作風を

ぶち壊すようなオチの展開と演出には

油断しきった鑑賞者の心を放心状態にさせる魅力が

備わっているだろう。

 

「日常系ドラマ」というジャンルの作風に

突如紛れ込んでくる「SF要素」

「衝撃のラスト15分」の称号を

欲しいままにする「日常系作品」は、

後にも先にもこの作品だけだろう。

 

阪本監督、独特の映画の雰囲気と世界観に酔いしれる。

「映画」というものを鑑賞する時、

鑑賞者の僕達は、

どこか気合いを入れて作品を鑑賞することとなる。

それはどんな作品でも同じ気合いで見始めるわけだが、

本作の序盤、僕達の期待は裏切られたような

のどかな人情ストーリーが展開される。

 

面白くもありつつも、

どこか肩透かしを食らったような気分で作品を鑑賞することになるが、

油断しきった鑑賞者の目に飛び込んでくる

あのパンチの効いたオチには、

「してやられた」

という言葉が一番しっくりくる。

 

掴みどころがなく、どこかふわふわとした前半と、

誰もが予測不可能なオチのギャップこそが、

本作の最大の武器であると言っても

過言ではないだろう。




「団地」というコミュニティの特徴を描く。

本作の映画の舞台となる「団地」

言葉だけで色々な想像がつく鑑賞者もいるであろうが、

本作は、そんな団地のいいところ、悪いところ、

全て含めた上で特徴を描き出した面白い作品であるだろう。

 

団地で繰り広げられるリーダー選挙、

そして会議、

建物の外での井戸端会議、

家に遊びに行く文化、

いいところも悪いところも全て含めた上で、

「こんなところに住んでみたい」

と思えるような作風に仕上がった。

 

そして本作の醍醐味は、

物語に登場する、

個性溢れる団地の住人にこそあるだろう。

本作における秀逸なキャスティング

団地内の人間関係を描くにあたって、

本作で最もシビアであろう箇所こそ、

その個性的なキャラクター達。

 

彼らの持つ独特な空気感を再現するのに、

キャスティングできるキャラクターは限られるものだったが、

全てがマッチしたキャスティングで

作品を描かれていると感じたのだ。

 

本作の主人公である「岸部一徳」「藤山直美」

まるで火曜サスペンスを見ているであろう、

昼間の顔の中年男性、女性、

そして、掴みどころのない異星人として、

「斎藤工」がそれを演じきる。

 

雲のようにふわふわとした感覚で進むストーリーに、

見事にハマったキャスティング役者たちだっただろう。

 

「共生」にスポットライトが当てられてたコメディ

今作を「コメディ映画」として鑑賞した時、

作品のどこに面白さを見出すかを考えたなら、

間違いなく「団地」というコミュニティに

大部分が絡んでくる。

 

舞台は大阪であり、

典型的な「大阪のオバチャン」気質な女性や

ストイックに神経質な女性、

頑固なオヤジや、面白くもないボケをかますおじさんなど、

色々な人間が「共生」し、劇場を観ているかのような映画が、

展開されることが本作のコメディに繋がった。

 

「団地では有り得ないことが起きる」

という名言が飛び出す今作、

その言葉を現実化する伏線や、

個性的なキャラクター達の会話劇こそ、

このタイトルを見て、

この作品を鑑賞した人々のニーズに合った作品となったのだ。