「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」ネタバレ感想と考察【ブログが原作の物語】

本記事では、
前半で、映画紹介&見どころレビュー
後半で、ネタバレ解説&徹底考察を行います。

ぼくたちと駐在さんの700日戦争

2008年、塚本 連平監督によって制作された作品で、

原作となるのは、2006年に話題となった

一般ブログ記事のエッセイである。

昭和の時代を生きる高校生と地方警察の奮闘を描いた作品。

上映時間は110分。

あらすじ

舞台は日本、

栃木県の那須烏山市

1979年、昭和の良き時代に、

6人の悪戯高校生がいた。

田んぼに囲まれた真っ直ぐな道を、

自転車に跨り爆走する日々を送っていたが、

そんなある日、

地元交番に勤務する「駐在さん」と出会うのだった。

 

その日を境に、

ぼくたちと駐在さんの

戦いの日々が始まることとなる…。

 

出演役者

本作の主人公「ママチャリ」を演じるのが

「市原隼人」

 

交番の「駐在さん」を演じる「佐々木蔵之介」

 

仲良しメンバーの武闘派、「西条くん」を演じる

石田卓也

 

その他四人の仲良しメンバーが本作の主役となる。

 

見どころ「くだらない笑いを極めた作品」

悪ガキ高校生VS駐在という、

なんとも面白い脚本で描かれた今作、

原作はなんと「ブログ記事」だった。

 

映画の上映される2時間において、

終始、くだらないイタズラが絶えない作品であるが、

そんな「くだらない笑い」こそが

本作の最大の見どころでもある。

 

イタズラによる笑いの生み出す、

映画の「ハートフル」な雰囲気、

この土俵で本作と勝負できる作品は恐らく無いであろう。

時代を感じる描写も数多く、

老若男女、誰でも楽しむことができる

珍しい作品なのだ。

 

配信コンテンツ

「ぼくたちと駐在さんの700日戦争」は今現在

Amazonプライム、NETFLIX、等で配信されている。

Amazonプライム

 

ネタバレあらすじ

舞台は日本、

栃木県の那須烏山市

1979年、昭和の良き時代に、

6人の悪戯高校生がいた。

 

田んぼに囲まれた真っ直ぐな道を、

自転車に跨り爆走する日々を送っていたが、

そんなある日、メンバーの首謀者「ママチャリ」

地元交番に勤務する「駐在さん」と出会うのだった。

 

スピード超過の取り締まりをする駐在さんを

敵視した彼らは「自転車」でスピードを出すことで

法律が適応されず捕まらないと考え、

悪戯に暴走行為を繰り返す。

厳重注意を受けたことを皮切りに、

悪ガキ高校生と駐在さんの戦いは始まるのだった。

 

その後も、自転車で花火をしながら走行したりと、

悪戯を繰り返し、

その度に駐在さんに追いかけまわされるのだった。

 

駐在さんを困らせるため、仲間内で「作戦会議」を開く、

喫茶店で会議をしている際に、

店員であった「加奈子さん」に、

全員がメロメロとなってしまうのだった。

 

作戦会議の結果、

駐在さんの勤務する交番内の至る所にエロ本を隠す

という計画が実行されることとなる。

ママチャリは任務の遂行に当たるが、

途中で駐在さんに見つかってしまうのだった。

そして同時に、加奈子さんの旦那さんが

駐在さんであることがわかり、一同は驚愕するのだった。

 

そして、駐在さんの妹である「美奈子さん」

栃木に帰郷し、

メンバーの一人である「グレート井上」

恋をしてしまうのだった。




その後も、

駐在さんを落とし穴にかけたり、

仕返しに焼きそばに胡椒を大量に盛られたり、

交通指導教室の際に原付バイクのシートにトリモチを

仕掛けたり、激臭を放つ衣類で悪戯したり、

パトカーで山に置き去りにされたりと、戦争は続く。

 

そんなある日、仲間の「西条くん」が、

バイクで事故に遭い、入院することとなってしまう。

同じく入院していた、小学生の「ミカちゃん」

願いを叶えるために、

隣町で行われる花火大会を見せることを約束するのだった。

 

外出許可が下りていなかったミカちゃんに

打ち上げ花火を見せるため、

悪ガキメンバーは協力し「花火盗人作戦」を決行するのだった。

 

作戦当日、ママチャリは今まで培ってきたイタズラ頭脳を

最大限に生かして、

花火職人たちから、花火を盗むことに成功する。

「学校新聞」の取材を理由に潜入し、花火を盗む。

駐在さんが立ちはだかるも、仲間たちの頑張りによって、

ミカちゃんと西条くんの入院する病院の前に

花火を打ち上げることができるのだった。

 

「窃盗」を犯した悪ガキたちは、

ついに「逮捕」されてしまうこととなるが、

取材費を渡した花火職人の計らいによって、

逮捕は免れるのだった。

そして、一発だけと思われた打ち上げ花火が

たくさん上がり始める。

駐在さんのポケットマネーによる花火

驚く高校生たちだった。

 

その後も、

悪ガキ高校生と駐在さんの戦いの日々は続いていく。

これはまだ、700日に及ぶ戦争

108日目までの物語なのだ。

 

ネタバレ考察

「くだらない笑い」が生み出す映画の雰囲気

まさに1から100までが

くだらない笑いで構成された今作、

ただただ笑っているだけの作品ではなく、

鑑賞者たちは今作の持つ独特の空気感

自然に引き込まれていくこととなる。

 

作風はとにかく「ハートフル」

そしてそんな映画に付き物の

「感動要素」もあり、

老若男女誰でも楽しむことができる作品であり、

圧倒的に「くだらなさ」

特化した作品だろう。

 

最初は静観しているはずなのに、

気がつけば、その世界観に引き込まれてしまう

数々の魅力が詰まった作品なのだ。

 

「昭和」の時代を描き倒す。

物語の舞台は1979年、

この時代に生きた人々は

今では「おじいちゃん」になりつつある時代であるが、

そんな昭和レトロな世界観

本作では多数描かれている。

 

途中に挿入されるBGM、

その時代に生きた芸能人、

買っている飲み物、車、

人間関係など、

当時の世界観を再現するのに余念のない、

演出を心がけている作品だった。

 

そんな「昭和」の世界観も、

本作にの魅力に引きずり込まれてしまう

ひとつの要因だっただろう。




高校生×夏×青春×悪ガキ

本作における世界観、

700日とは謳いながらも、

映画版で描かれるのは108日間のみだった。

 

2時間という限られた時間の中で、

多数に渡るブログ記事のどこを書き出すのかが

本作のキモになった部分であるが、

選ばれたのは夏の108日間だった。

 

そんな夏の季節に、

6人の高校生が遊び回る物語、

それだけで、本作の世界観に

鑑賞者を引き込むのには

充分すぎる条件だったのだ

 

数々の「季節感」や「青春」を感じさせる

テーマの選定とその脚本力こそが、

今作の世界観を作り上げる最大の要因となっただろう。

 

「学生ノリ」の面白さ

映画における「笑い」の手法として、

ダークな笑いやシニカルの笑い、

そして王道なものまで多数あるが、

タイトルやテーマから、

今作の武器となった

笑いの種類は「学生ノリ」だった。

 

仲間内でしか共有できず、

他人が見てもあまり面白くはない笑い、

逆に言えば、

「仲間内なら何をしても面白い」

とも取れる。

 

本作では、6人の高校生、

それぞれのバックボーンを掘り下げ、

より日常的な描写を増やすことで、

鑑賞者たちもこの「仲間」に引き入れ

笑いを生み出していくという

今までにはあまり無い、

笑いの取り方だっただろう。

 

本作に登場する

キャラクターを演じる役者達も、

「市原隼人」を初めとする、

「青春」を忘れさせない「悪ガキ」にピッタリな

キャスティングがなされ、

ただの「くだらない笑い」も、

しっかりとした計算された上で

作り上げられた面白さであることが

とても凄いと感じたのだ。