「ガール・イン・ザ・ボックス」のネタバレ感想と考察【胸糞注意の完全実話】

  • 2020年12月11日
  • 2021年9月8日
  • 映画
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本記事は、映画「ガール・イン・ザ・ボックス」のネタバレを含んだ、感想と考察記事です。

鑑賞したことが無い方は、注意して読み進めてください。

ガール・イン・ザ・ボックス

2016年、スティーヴン・ケンプキャスト監督によって制作されたアメリカ映画。

7年間もの間、拉致監禁された女性の事件を描いた物語。

実話を元に制作された作品である。

上映時間は87分。

また、2021年に公開された、同じ「Lifetime」配給の「ガール・イン・ザ・ベースメント」も、拉致監禁を描いたドキュメント映画である。

本作品とは違うベクトルの恐怖が描かれているので、是非ともセットで鑑賞してほしい。

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あらすじ

舞台はアメリカ、19歳になる一人の女性が、ヒッチハイクで州を跨ぐ旅に出かける。

その道中、見知らぬ男女夫婦に拾われる女性、森に連れていかれると突然後ろから襲われるのだった。

気がつくと顔には四角い木箱が被せられていた…。

出演役者

本作の主人公、コリーンを演じるのは「アディソン・ティムリン」

29歳になるアメリカの女優で、アメリカのドラマ等への出演が目立つ。

本作においては、気丈でありながら、段々と洗脳されていく圧巻の演技を見せてくれた。

 

そして今回の事件の主犯格、夫のキャメロンを演じる「ゼイン・ホルツ」

アメリカで活躍するカナダ生まれの俳優。

本作ではそのサイコパスなキャラクターを見事に演じきってくれた。

 

妻のジャニスを演じるのが、「ゼルダ・ウイリアムズ」

ニューヨークで生まれアメリカで活躍する女優である。

本作では、神経質なキリシタンの妻を演じ、恐怖と後悔の葛藤のキャラクターを見事に演じてくれた。

ちなみに、余談ではあるが、父である「ロビン・ウイリアムズ」俳優であるが、両親が任天堂の「ゼルダの伝説」好きだったことから「ゼルダ」命名された。

2011年には海外版のゼルダの伝説のTVCMにも出演している。

ネタバレ感想と考察

近年稀に見る胸糞作品、遂に発掘…!

本作の物語、あらすじを読むだけでも恐ろしいほどの脚本であるが、とにかく「胸糞悪い」作品である。

拉致監禁されてから7年以上もの時が描かれ、数々の暴力と奴隷扱いを受けることとなるが、物語の構成のほとんどが、家の中での監禁生活を描く作品であるためか、87分という中編映画であるが、120分ほどのボリュームを感じる作品である。

段々とフッカー夫妻に「洗脳」されていく、コリーンの墜落の日々は目を覆いたくなるのに見進めてしまう魔力がある。

こんなぼくも長年映画を観てきたが、ここまでの「胸糞悪さ」を感じる映画は久しぶりに観た。

「ダンサーインザダーク」で有名な、ランスフォートリアー監督描く作品のような脚本、構成、世界観に近いものとなっただろう。

ちなみにトリアー監督の作品「ドッグヴィル」も、奴隷生活を描く胸糞映画として名高く、この作品に通ずるような空気感と世界観が本作には備わっていた。

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衝撃の実話!モデルとなった事件。

そして最も衝撃なのが、この物語が、実話を元として作られていることだろう。

本作は、1953年に実際に起きた「キャメロン・フッカー事件」元として作られていた。

映画との相違がどこまであったのか?という問題となってくるが、事件はなんと、映画よりも悲惨なものとなっていた。

実際の事件では棺桶の中に入れられ、耳栓をされ鎖で繋がれ、さらに1日22時間も棺桶に入っていることを強要され監禁生活2年目にして、初めて服を着ることを許される始末であった。

また、便器を舐めて掃除をする行為や、電気ショックによるしつけなど、映画では描かれない数々の残虐行為が事件にはあったようだ。

一方でキャメロンは、コリーンに一人での外出や、ダンス・パーティの出席さえも許し、自由度も映画よりは高かったのが面白い。

細かな内容は相違があれど、大まかな脚本はほとんどが真実であり、寧ろ、映画がオブラートに包んだ表現している部分すらある…。

本作の映画では、役者による雰囲気造りにも余念が無く、段々と痩せ細っていくコリーンの姿には衝撃を受けるだろう。

ちなみにであるが、コリーンのヒッチハイク時、映画では夫婦2人に拾われるが、実際の事件では既に赤ちゃんが存在し、乗り合わせている。




「完全洗脳」に成功した珍しい事例。

世界中の拉致、監禁事件において、本作の「キャメロン・フッカー事件」他の事件と比べても常軌を逸する点が2点ある。

まず1つ目が、被害者の「完全洗脳」に成功し、心を開いた関係性を築いていたことである。

映画内でも描かれているが、最初は恐怖に苛まれたコリーンであったが、キャメロンの飴と鞭によって次第に心を開いていき、「逃げられる環境」でも、逃げないような描写がある。

生まれた赤ちゃんを抱かせてもらったり、同じベッドに寝て、セックスをしたりなど、まるで「家族」かのように生活している感覚さえ感じてしまうのだ。

こんな描写からも、コリーンが「主従関係」を完璧に受け入れ、その中で生きることを決意していたのが本作の面白さ、基、ダークな要素として成り立っていた。

家族に会わせる!?大胆すぎるアプローチ。

そして2点目は、コリーンを家族に会わせたことである。

実家に帰る際にはキャメロンも同行し、白昼堂々と家族と顔を合わせる大胆なシーンがあった。

一見「バレないか?」と不安にはなるが、コリーンとキャメロンとの間に絶大な「信頼関係」が結ばれていた何よりの証拠ともなっているのが面白い。

この信頼関係のきっかけとして、ショットガンでのロシアンルーレットのシーンが描かれたが、本作のテーマはこのシーンに全てが集約されていると言っても過言ではない。

コリーンは震えながらも見事に引き金を引き、ここで初めて、コリーンがキャメロンを信用していることが明かされるのだ。

こんな数々の要素からも、キャメロン目線での一番の不安要素こんなにも堂々と排除してしまうサイコパス感には恐れ入る…。

余談ではあるが、彼は捕まった後懲役135年という、今までに見たことのない刑期を与えられる。