「ナイトクローラー」ネタバレ感想と考察【サイコパスなパパラッチ】

本記事では、
前半で、映画紹介&見どころレビュー
後半で、ネタバレ解説&徹底考察を行います。

ナイトクローラー

2014年、ダン・ギルロイ監督によって制作された作品。

ギルロイの初監督作品であり、

ロスで起こる事故や犯罪のスクープ映像を撮る男の物語。

上映時間は118分。

あらすじ

舞台はアメリカ、ロサンゼルス

盗みを繰り返し、生計を立てていた

一人の男「ルイス・ブルーム」は、

一念発起し、工事現場の面接を受けるが、

現場管理者に「泥棒を雇う気は無い」と、

一蹴されてしまうのだった。

 

とある夜、

交通事故の現場に出くわした際、

事故現場を撮影するフリーのカメラマンの姿を見る。

 

TV局に映像を売りながら生計を立てている

彼らの姿に触発され、

ルイス自身も「フリーカメラマン」として

活動することを決意する…。

 

出演役者

今作の主人公「ルイス・ブルーム」を演じるのが

「ジェイク・ジレンホール」

 

TV局のディレクターを務める「ニーナ・ロミナ」

演じるのが「レネ・ルッソ」

 

ルイスの仕事仲間である「リック」を演じるのが

「リズ・アーメッド」

 

見どころ「仕事にストイックな生き方と映画のスピード感」

今作で描かれるフリーカメラマンのルイス、

きっかけは

「フリーカメラマンの働きを目の当たりにする」

という、些細なものであったが、

その仕事へののめり込み方

本作の衝撃的ポイントとなるだろう。

 

主人公でありながら、

ドライで、無感情、サイコパスな

キャラクターであり、

「スクープ」を撮るためには

手段を選ばないという、

常軌を逸した彼の働きは、

鑑賞者達を釘付けにする魅力を放っている。

 

そんな努力によって、

瞬く間にトップジャーナリストとして

上り詰めていく

作品のスピード感も本作の

真骨頂であるだろう。

 

配信コンテンツ

「ナイトクローラー」は今現在、

Amazonプライム、U-NEXT、等で配信されている。

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ネタバレあらすじ

舞台はアメリカ、ロサンゼルス

盗みを繰り返し、生計を立てていた

一人の男「ルイス・ブルーム」は、

一念発起し、工事現場の面接を受けるが、

現場管理者に「泥棒を雇う気は無い」と、

一蹴されてしまうのだった。

 

とある夜、

交通事故の現場に出くわした際、

事故現場を撮影する

フリーのカメラマンの姿を見る。

 

TV局に映像を売りながら生計を立てている

彼らの姿に触発され、

ルイス自身も「フリーカメラマン」として

活動することを決意する…。

 

得意の「盗み」によって自転車を盗難し、

質屋に持って行ったルイスは、

ハンディカメラや、

無線傍受機などの機材を揃えるのだった。

 

仕事を始めてからの一件目の仕事、

ルイスはとある「交通事故」において、

撮影を開始する。

「同業者」に先を越されるも、

血まみれの患者の映像を持ち込み、

TV局のディレクターである

「ニーナ・ロミナ」と交渉し、

報酬を得るのだった。

 

その後、一人では足りないと考えたルイスは、

ロスの地形に詳しい、フリーターの「リック」を雇う。

リックのナビの元、ダメ出しをしながらも、

最初の仕事場まで向かうのだった。

次の仕事場では「発砲事件」による通報のスクープだった。

警察も到着し、一足遅かったと思われたが、

ルイスは独断で、建屋に侵入し、

冷蔵庫に空いた無数の弾痕を収め、

手柄を挙げるのだった。

 

これを買い取る為、

交渉し評価するニーナであったが、

「不法侵入」と指摘を受けるも

「隠せばわからない」と言い放つ、

ルイスと似た思考を持つ女性だった。

 

その後から、ルイスとリックのコンビは、

車を新調し、数々のスクープを撮り、

どんどん手柄を挙げていく。

 

とある夜、交通事故のスクープの際、

自らの手で被害者を引きずり、

いい画角の映像を撮って、TV局に持ち込む。

ニーナとの交渉の際、

一夜を共にすることや、

局の上層部に紹介することまで

要求し始めるルイスだった。




評判はうなぎ上りのルイスだったが、

同業者である男が、車を二台に増やし、

機材もグレードの高いものにしたとして、

早い者勝ちのスクープを独り占めにすることを宣言し、

ルイスに一緒に仕事をすることを要求してくる。

しかし、

この要求をなんの迷いもなく拒否するルイスだった。

 

それから、同業者の言葉通り、

スクープの現場において、

先を越されるようになる。

 

撮った映像を局に売りに行っても、

先に来た同業者と取引され、

ルイスの映像は売れなかった。

プライドが高いルイスは、

これにひどく怒り、

家の鏡を叩き割ってしまうほど

怒りを露わにするのだった。

 

ある日、ルイスはその同業者の車に

とある仕掛けをする。

夜の仕事において

同業者の車が交通事故を起こし、

血まみれの同業者の映像を撮り続けるルイスだった。

 

同じ日の夜、

ルイスとリックは、

とある豪邸に強盗が侵入したとの情報を得る。

豪邸に行ってみると、警察はまだ到着していなく、

一人で豪邸に侵入したルイスは、

犯人の顔と車の映像を抑えるのだった。

 

家の中で、

銃殺された死体の山をカメラに収めたルイスは、

その映像を、今までに無いくらいの高額

ニーナと取引する。

後日、FBIに取り調べを受けたルイスだったが、

犯人の顔と車のナンバーは教えることはしなかったのだった。

 

ルイスは、車のナンバーから住所を割り出し

スクープを撮る為、リックと二人で張り込みをする。

「命を懸けた仕事」に対し、

報酬のアップを望んだリックの要求も飲むのだった。

 

ルイスとリックは、

飲食店にて、団欒を楽しむ犯人たちの情報

警察に伝えた後、カメラを抱え張り込みを開始する。

 

激しい銃撃戦の後、車で逃走する犯人だったが、

警察が追いかけ、ルイス達もその後を追いかける。

警察の車が次々に蹴散らされ、

犯人の車を追うのはルイス達のみになるが、

ついに横転し、動かなくなってしまう犯人の車だった。

 

ルイスの指示で、犯人の車を撮り始めるリックだったが、

生きていた犯人の発砲によって銃殺されてしまう。

虫の息であるリックを撮り続けるルイス、

そこから犯人が警察に銃殺されるまでを撮り続けるのだった。

 

映像を局に持ち込んだルイスに対し、

流石のニーナも「参った」と感情を露わにする。

仲間のリックを撮り続けたことに衝撃を覚えつつも

映像をルイスの言い値で買うのだった。

 

その後、ルイスはまたFBIに取り調べを受ける。

ルイスが映像を隠していたことを言い当て、

捜査官が詰め寄るも、

平気な顔で違和感のない嘘をつくルイスだった。

 

またその後、

ルイスは、事業を拡大する。

車を二台に増やし、従業員も雇い始める。

「指示に忠実に従うこと」を従業員に言い聞かせ、

二台の車は、今夜もロサンゼルスの街へと消えていく。

 

ネタバレ考察

「主人公なのにサイコパス」というキャラクター性

今回の主人公である「ルイス」

映画の冒頭では、

「盗み」を生業として生きていく人間であり、

「ダメ男感」が全面的に感じられる

キャラクターであっただろう。

 

しかし、物語が進むにつれて、

彼がフリーカメラマンを学び始め、

警察の静止を受けても、

ガツガツと「いい画」

追求していく辺りから、

「ダメ男」なキャラクター

印象が変わっていくのだ。

 

彼は自身の持つ「行動力」や、

「交渉術」を駆使し、

瞬く間にトップカメラマンへと

上り詰めることとなる。

 

映画冒頭のキャラクターとのギャップが

本作を彩るストーリー性の

一つとして機能していたのだ。

 

そして彼は「ドライ」であり

「サイコパス」でもあった。

人の心を信じないという、

そんな強い精神こそが、

彼をスターダムへと引き上げた

最大の要因なのかもしれない。

 

「ハッピーエンド?」という意外性。

自分の力を信じ、

ひたすらに「スクープ」を撮るために

暴走するルイスであったが、

そんなルイスを見ていて、

鑑賞者たちの「未来予想」

確実に「墜落する未来」だっただろう。

 

一人危ない場所に飛び込み、

数々の人々に嫌われ、

それでも尚、ルイスはドライに

「仕事」をし続けた。

 

確実にどこかで失敗する「フラグ」

立てながらも、

彼はどんどん成功し、

自身の会社を立ち上げ、社員を雇い、

爽快な音楽と共に物語は終わっていく。

 

そんな意外性を持ち合わせた

今回の作品、

真に伝えたいテーマは人それぞれとなるだろう。




「視聴率主義」というマスコミへの皮肉だった…?

前項で述べた、ルイスにとっての

「ハッピーエンド」であったという描写、

一見、「主人公の成功物語」という本筋を持ちつつも、

「マスコミへの皮肉」とも取れる

作品となったのだ。

 

物語の中で、

ルイスとニーナが追い求めた映像、

それは紛れもなく

「視聴率が取れる画」だった。

 

視聴率が取れる映像は

とにかく「ショッキング」である映像と、

完全に割り切り、

それだけを追い求めた結果、

今回の「成功物語」が成り立つ作風なのだ。

 

途中、あまりのルイスの暴走ぶりに、

仲間である「リック」「忠告」するが、

忠告を無視したルイスが生き残り、

リックが死んでいくという結果に終わる。

 

今作の物語の中で、

ルイスの存在自体が「神格化」され、

行き過ぎた行為に正当性を

感じてしまうような描写こそが、

「マスコミ」へのアンチテーゼとして

働いている作品でもあるだろう。

 

それでもルイスは「仕事ができる」人間だった。

物語の主人公ながらにして、

確実に「悪役」の立ち位置で

回されるルイスであったが、

それでも、

彼が「仕事ができる人間だった」

ということも、

紛れもない事実として残っているだろう。

 

彼はその「ドライな性格」を上手く活用し、

行動的、且つ合理的に仕事をこなしていき、

彼の持つ、天性の「交渉術」も、

いい意味で「ゲスく」演出されながら、

同時に感嘆すら覚えるような演技を

見せてくれていたのだ。

 

そして仕上げに、

彼は「サイコパス」だった。

顔色ひとつ変えることなく、

「同業者のライバル」の車に細工し、

事故を起こした当人を撮影し続ける精神、

また、悪いとわかった上で、仕事をこなし、

警察やFBに平気な顔で嘘をつく根性を持っていた。

 

ラストの、撃たれた仲間を撮影し続ける

シーンに至るまで、

彼のキャラクターのサイコパス感

ブレることが無かった。

 

自身の持つ、そんなサイコな精神力

プライドの高さも、

今作では、存分にプラスに働くような

演出となったのだ。

 

上手くいかないと

鏡を叩き割る程のプライドを

持ち合わせたルイスだったが、

それが「本当に仕事ができる人」

ならではの価値観なのかもしれない。