映画「TIME/タイム」のネタバレ感想と考察【自分の寿命で珈琲を買う世界】

  • 2020年11月30日
  • 2020年12月15日
  • 映画
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TIME/タイム

2011年、アンドリュー・ニコル監督によって

制作されたSFアクション作品。

洋題は「In Time」である。

「人生の時間」が「お金」と同じ概念で

考えられた世界の物語。

上映時間は109分。

あらすじ

舞台はパラレルワールドの地球、

人間全員は25歳から先の歳を取らなくなり、

寿命が「お金」としての

概念を持つ世界があった。

 

人々は働くことで「時間」を手に入れ、

寿命を削り珈琲を飲んだりして

過ごしていた。

 

そんな世界の中、一日の寿命で

その日暮らしを続けるスラム街に、

「ウィル」という一人の男がいた。

ある日、いつものBARで

金持ちの男を救ったウィルは

その男から100年の寿命を

授かることとなる…。

 

ネタバレ感想と考察

秀逸な脚本、今までに見たことが無いアクション作品。

「時間」を題材した作品は数知れず、

映画というエンタメにおいて

確固たる地位を確立してきたジャンルの

一つであるが、

今回描かれた作品は

これまでの「タイムリープ」等の作品とは

似て非なる作風となった。

 

それは「時間=お金」という概念。

主人公ウィルを初めとし、

その他全てのキャラクターが

25歳の容姿で登場し、

寿命を削って珈琲を飲む世界である。




「お金」として利用することもできるが、

ゼロになると死んでしまう、

絶妙なラインを生きる人々たちの行動から

目が離せない作品だった。

 

限られた時間をどう使い

人生を全うするかを、

改めて考えてしまうような作風は、

これまでの時間を題材にした映画の中でも

秀逸な脚本となっただろう。

 

「貧富の差」がここでも描かれる。

「時間=お金」として直結していない

現代社会と同じように、

本作の世界観でも「貧富の差」

描かれる事となる。

 

毎日を「残り一日の寿命」

生活する人々が描かれ、

「スラム街」として登場し、

片方では数千年単位での寿命を得る

「富裕層」が存在する。

 

既得権益が力を持ち、

貧民たちから搾取する構図は、

現代社会でも抱える問題を上手く描いた

作品だった。

 

監督のアンドリュー・ニコルの発想には

いつも驚かされる。

彼はこれまでにも「ガタカ」

「トゥルーマン・ショー」といった、

独特な世界観の作品を描いている

監督である。




脚本としては少し荒い…?

「時間」を主軸に置いた

作風となっていた本作だが、

「アクション要素」が織り込まれる

SFアクション作品であった。

 

ヒロインの「シルヴィア」と共に、

「ボニーとクライド」なみの

銀行強盗や逃走劇を繰り広げるが、

これはあまりにも上手く出来すぎている…。

 

この二人は、

「お金」以上の価値を持つ時間を、

いとも簡単に盗んでは乱用を続ける。

そしてシルヴィアも、

いとも簡単に恋に落ちる。

本作における時間の概念は

とても素晴らしい発想であっただけに、

少々雑なアクションの演出や

恋愛要素の脚本は、

勿体ないと感じてしまうだろう。

 

痛いほど心に響く、本作の貧富問題。

本作の主役の二人、

ウィルの掲げる「美学」に乗っ取り、

お金を貧しい層に次々とばら撒くが、

これが現代の社会においても、

心が痛くなるほどに

皮肉な演出に見えてしまう。

 

シルヴィアの父である「フィリップ」

お金を貧困層に流さないよう、

必死で「時間」を動かすシーンが

演出される。

 

また、貧困層と富裕層を分け隔てる

「ブロック」の壁だったりと、

本作のテーマ「時間は有限」に加え、

こんな既得権益の存在も

皮肉った作風は面白くも

心に刺さるものだった。