「メイドインアビス 深き魂の黎明」のネタバレ感想と考察【R15に引き上げられた鬱映画】

  • 2020年12月1日
  • 2021年5月7日
  • 映画
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本記事は、映画「メイドインアビス 深き魂の黎明」のネタバレを含んだ、感想と考察記事です。

鑑賞したことが無い方は、注意して読み進めてください。

メイドインアビス 深き魂の黎明

2020年1月、原作「つくしあきひと」の漫画「メイドインアビス」が映画化となった。

今回、監督をしたの「小島正幸、連載していたアニメも彼の監督によるものであった。

上映時間は105分。

あらすじ

「人類最後の秘境」と呼ばれる大穴、「アビス」が存在する町で、一人の少女「リコ」は生まれた。

数々の「探掘家」達がアビスに挑む中、彼女はある日「レゴ」と言うロボットを見つける事となる。

穴の奥に居るとされる母親「ライザ」に会うために、レゴの力を借りてアビスに挑む。

そしてとうとう、2人は新たな仲間「ナナチ」を引き連れて、深界五層「なきがらの海」へ辿り着くのだった。

ネタバレあらすじ

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新界五層「なきがらの海」へと進んだ三人は、第六層への道筋、「ラストダイヴ」を行うのに、黎明卿「ボンドルド」を避けては通れないことを知る。

ボンドルドの根城に到着した三人は、ボンドルドの娘を名乗る「プルシュカ」という女の子と出会う。

これまでに一度として外の世界に出たことが無かったプルシュカは三人と色々なことを話し、仲良くなり、旅に連れて行ってもらうことを叫ぶのだった。

最中、レゴの体に興味を持ったボンドルド一行は、レゴの体を解体し、調べる行動に出る。

改めてボンドルドの狂気を垣間見た三人はアジトの外に逃げるのだった。

三人を追ってきたボンドルドを殺そうと作戦を企て、瀕死の一撃をボンドルドに当てた三人だったが、彼が事実上死亡しており「ゾアホリック」と呼ばれる道具によって実装された、複製可能な人間であることを知る。

全てのボンドルドの消滅と、ゾアホリックの破壊を目論んだ三人によって、レゴとボンドルドの激闘が始まる。

レゴに幾度となく攻撃を受けるも、ボンドルドは「カートリッジ」と呼ばれる道具によってダメージを吸収していた。

最後の「カートリッジ」を使用した際、衝撃の事実がボンドルドの口から語られる。

カートリッジの素材は人間の脊髄や臓器を詰め込んだものであったが、「プルシュカ」がそのカートリッジとなっていたのだった。

その後「火葬砲」にてボンドルドを倒した三人だったが、プルシュカの変わり果てた姿に悲痛の声を漏らす。

「ラストダイヴ」に必要とされ、人間から作られる「白笛」にプルシュカが声なき自らの意志で精製されていく。

かくして三人はプルシュカを連れて「ラストダイヴ」に臨むのであった。

ネタバレ感想と考察

まさかの引き上げ…R12からR15

メイドインアビスシリーズを見たことがある人はわかるであろうが、本作はなかなかにグロテスクなシーンが登場する作品である。

さながら「まどかマギカ」のような可愛らしいアニメのタッチとのギャップに驚くような作品でありながら、本映画でもその「グロさ」は遺憾無く発揮されることとなる。

レゴの腕がもがれる描写や、新たなキャラクター「プルシュカ」「カートリッジ」にされてしまう描写が視覚だけではなく、とてつもなく心に響く悲惨さを感じることとなる。

公開当初、R12指定であった作品であったが、映倫(映画倫理機構)の最終審査でR15指定の作品となった。

シリーズ最凶と言ってもいい鬱展開。

メイドインアビスシリーズ、漫画でもアニメでもなかなかの鬱ストーリーが展開される作風であるが、そんな歴史の中でも一層ダークなパートが本作の映画となった。

深界は五層、前半では「ラスボス」と思わしき立ち振る舞いを見せてきた「ボンドルド」がここで登場する事となる。

一見まともに見えつつも、「サイコパス感」丸出しのキャラクターと立ち会う主人公達、そして可愛らしいキャラクターの見るも無惨な展開など、作画とのギャップをこれ程感じるストーリーは無かった。

重い展開に心を打たれつつも、「やはりメイドインアビスはこうでなくては」と考えてしまうような作品にも取れる。




展開の速さに少し違和感…。

本作の物語、漫画で言う「三巻分」を100分の映画に纏めている。

そのせいもあってか、キャラクターの喜怒哀楽や感情の起伏少しサバサバしすぎているような違和感は残るだろう。

本来のキャラクターの持ち味を活かしつつも長編パートを映画に纏めるのは簡単にできることではない。

しかしながら、これだけの重いテーマを抱えたストーリーを、見事100分に纏めきったのは見事であった。

脅威の作画力、是非ともBluRayで!!

物語の始まりは四層の旅を再開したところから。

不屈の花が咲き誇るシーンから、メイドインアビスの誇る脅威の作画力が爆発することとなる。

深界五層に降りてからも鬱蒼としつつも幻想的な世界観一人一人のキャラクターの動きや表情が、アニメよりも一層雰囲気のある作画に感じ取れた。

悪いことは言わない、是非ともBluRayで鑑賞したい作品だろう。

ハイセンスすぎる音楽、そしてエンディング。

相当な重いストーリー、そしてクオリティの高すぎる作画、「メイドインアビス」の持つ世界観、上がりきったハードルに組み込まれる「劇中歌」こそ本作でハズしてはならない要素であるが、それも相まって最高の作品に仕上がった。

中でも、リコ達が六層に飛び込んでからのエンディングへ展開が言葉にはできないくらい素晴らしい。

鳥肌が立つという言葉が相応しいエンディングシーンだろう。




R15指定となった直接的要因「ボンドルド」

本作の中心人物である「ボンドルド」、そして「プルシュカ」、物語的にもこの2人が中心となり進んでいく映画であったが、本作がR15指定作品の作品となった原因は120%ボンドルドによるものだろう。

言葉通りの「マッドサイエンティスト」として登場した彼は、数々の残虐な道具を利用し、鑑賞者の心を締め付けた。

中でもこの「カートリッジ」、装備するとアビスの上昇負荷の影響を受けなくなるという便利アイテムなのだが、その実態は、人間の子供から脳と脊髄と最低限の臓器以外の全てを削ぎ落として生きたまま箱詰めし、その子供が上昇負荷を肩代わりして死ぬ事で装着者は上昇負荷を受けなくなるという人道を完全無視した代物だった。

R15指定となった直接的原因がコレだろう。

「ボンドルド」のキャラクター性

しかし同時に「映画の構成」として、中でも「ボンドルド」の存在はとても面白いものだった。

昔、ボンドルドに「実験台」にされていた「ナナチ」、彼とナナチが二人で会話をするシーンがあるのだ。

本来であれば恐れおののく「敵」であるはずなのに、最後の最後まで「戦闘シーン」が一切無く、「優しさ」すら見えるボンドルドの姿こそが、本作のスパイスとして働いている。

事実、戦いの中でボンドルドは何回も三人を褒め称え、ナナチがボンドルドに感謝する場面すら見せるのが面白い。

そして、作中焦った仕草を全く見せなかったボンドルドだったが唯一焦ったのは、レグの「火葬砲」にナナチが巻き込まれかかった時だけである。

(最もこれは「実験の為」である可能性が高いが…)

彼の映画においての立ち位置は、ズバリ「緊張と緩和」

「敵」が「最凶」であるために、彼のキャラクターは凄まじく本作の世界観とマッチしていたのだ。

そして声優の声のトーンもしっかりとハマり、「ボンドルド」の声優を務めた森川 智之にも拍手を送りたい。

「どうか君達の旅路に、溢れんばかりの呪いと祝福を…。」

死ぬ間際の彼の一言には本当の愛さえ感じるのである。