最強のふたり【ネタバレありなし徹底考察】

本記事では、
前半で、映画紹介&見どころレビュー
後半で、ネタバレ解説&徹底考察を行います。

最強のふたり


2011年、エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ両監督により制作されたフランス映画
フランスでは歴代観客動員数で3位となる大ヒット作となったヒューマンドラマ。
上映時間は112分。

あらすじ

パリに住む富豪のフィリップ頸髄損傷で首から下の感覚が無く、
体を動かすことができない。
フィリップと秘書のマガリーは、住み込みの新しい介護人を雇うため、
候補者の面接を行う。
今まで数々の介護人を雇ってきたが、長続きする者は居なかった。

そこにスラムの黒人青年であるドリスが面接を受けに来る。
しかしドリスは職に就く気はなく、
給付期間が終了間際となった失業保険を引き続き貰えるようにするため面接を受け、
不合格になったことを証明する書類にサインが欲しいだけだった。

しかしフィリップの出した答えは「採用」だった。
かくして介護や看護の資格も経験もないドリスの新しい仕事が始まる。

出演役者

本作の主人公、頸髄損傷の富豪のフィリップを演じるのが、
「フランソワ・クリュゼ」

 

もう一人の主人公、スラム街出身の黒人青年ドリスを演じるのが、
「オマール・シー」

フィリップの秘書のマガリーを演じる「オドレイ・フルーロ」

見どころ①「二人の関係性にこそ感じる、友情に壁は無い」

今作の作品では二人の主人公が中心となり物語を進める。
一人は年老いた体の動かない不自由な大富豪。
そしてもう一人は、若いスラム出身の黒人青年。
全く違うタイプの二人
そんな二人が織りなす物語で芽生える友情にこそ本作の見どころがある。
友情に壁は無い。

見どころ②「これを知ったうえで観るべき、実話を元にした物語」

本作の脚本、監督も務めたエリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュの、
二人の脚本による作品で、実話を元に制作された作品である。
実在する体の不自由な富豪、フィリップ・ポゾ・ディ・ボルゴと、
その介護を担当したアブデル・ヤスミン・セローをモデルとし、
フィリップがアブデルとの出会いを描いた本から着想を得て制作されているのだ。

2020年現在、69歳でも生き続け、仲の良い友達でもある二人を思うと、
映画への思いもより強く持てる感謝うができるだろう。

配信コンテンツ

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※ここからネタバレあらすじ

舞台はフランスのパリ。
ここに一人の富豪が住んでいた。
彼の名前は「フィリップ」
頸髄損傷を患うフィリップは、首から下が完全に麻痺してしまった障害を抱えていた。
日常から付きっ切りの看護が必要なフィリップは過去にも数々の介護者を雇うも、
その頑固な性格から、介護者が長続きせずに辞めてしまう生活を送っていた。

そして今回も、新たな介護役の面接を行う。
そこに一人の男が面接に来た。彼の名前は「ドリス」
色々な人の面接を受けたが、どの人物もぱっとしない中、
彼だけは違っていた。
ドリスは面接経験が欲しいだけだったのだ。
3件集めるとで失業保険が下りると彼は言い、サインだけを求めていた。
ドリスは翌朝にサインを貰う約束をして家に帰る。

彼の家は大家族だった。
貧乏ながらも必死で家系をやりくりする母親が帰り、
口論になり、家を追い出されるドリスであった。
翌朝、サインをもらいにフィリップの豪邸へ赴くと、まさかの結果が知らされる。

「採用」

試用期間として一週間という機関の元働き始めるが、
「一週間持つまい」と啖呵をきられるドリスであった。
まるで高級ホテルのような個室を与えられ、24時間体制で介護に臨むこととなる。
個室に最初はテンションが上がっていたが、食事、洗髪、ありとあらゆる介護を任され、

最初は心身共に苦痛となっていた。
それでもドリスはストレスを溜めずに自由に仕事をこなしていった。
フィリップの秘書であるマガリーを口説こうとしたり、
煙草を吸ったり、「実験」と称し、フィリップの体に熱湯を垂らしたり…。
そんな「自分と同等な目線」で接するドリスをフィリップは気に入っていた。

ある日、二人は外出する。
いつもの介護車に乗ろうとするが、ドリスは気に入らない。
横に止めてあったスポーツカーにフィリップを乗せて走り出す。

出先で富豪の友達と会ったフィリップは友に忠告される。
ドリスには前科があったのだ。
「彼は君に容赦しないだろう」と語る友に、フィリップは答えた。
「容赦しないところがいい、彼だけは私に同情しない」

ある夜、ドリスはフィリップに文通相手がいることを知る。
フィリップの不調により、外の空気を吸いに夜中に外出した二人は、
フィリップにマリファナを吸わせ、カフェで語り合う。
フィリップには妻がいたこと、
その妻との子供ができなくて養子をとったこと、
妻が不治の病により亡くなってしまったこと、
そしてパラグライダーで事故をしたことを話した。
そして告げられる、いつの間にか試用期間は過ぎ、本採用となっていた。

ある日、ドリスはフィリップの文通相手に勝手に電話をかける。
最初は拒否するフィリップだったが、彼女との話ははずみ、おしゃべりの時間を過ごしていた。
それからも二人は楽しく過ごした、
フィリップはドリスの破天荒な魅力に惹かれていった。

ある日フィリップのサプライズパーティーがある。
これをフィリップは毎年の恒例であり、退屈なものだと思っていたが、
フィリップは他の屋敷の住人を巻き込み、ダンスパーティーに仕立て上げ、
フィリップを喜ばせた。

その晩、ドリスはフィリップにとあるプレゼントをする。
それは文通相手の写真だった。
なかなかの美人でありフィリップは喜んだ。
そしてその文通相手と会う約束を取り付ける。

当日、衣装を入念に選び、文通相手に会いに行くが、
彼女は訪れることがなかった。
待ち合わせのカフェを去るフィリップとすれ違いで彼女が入店するが、
気が付くことはなく過ぎ去ってしまう。
その夜、フィリップとドリスは貸し切りの飛行機に乗り、ささやかな空旅を楽しむ。

後日、フィリップとドリスはパラグライダーを楽しみ、
その夜、珍しくドリスに来客が訪れる。それはドリスの弟だった。
フィリップはドリスの家庭について聞いてみる。
ドリスの家族は血の繋がっていない、複雑な家庭だった。
ドリスは帰る場所に帰るべきだと判断したフィリップは、
彼にクビを言い渡し、ドリスは弟と共に元の家へと帰る。

新しく介護者を雇うフィリップだったが、またつまらない日常に逆戻りしてしまう。
介護者に対し、冷たく頑固に対応してしまう。

ある夜、夜中にフィリップの体調が悪くなる。
介護者では対応できず、ドリスが呼び戻され、二人は車で遠くに外出する。

長らく剃っていなかった髭を剃り、ドリスはとあるカフェに案内する。
二人で席に座ったが、すぐに席を立つドリス。
唖然とするフィリップの前に現れたのは、会えなかった文通相手だった。

フィリップは彼女と笑顔で会話をする。そしてドリスは一人で街を歩く。

ネタバレ徹底考察

普通の友情ではなく「ギャップ」を感じる友情

今作の作品で描かれるテーマとなるワードは、
間違いなく「友情」となるだろう。
一般に友情が描かれる作品は数多くあるが、
その中でなぜこの映画に魅力を感じるのか…?
その答えは、キャラクターの「ギャップ」にあるだろう。

フィリップは全身麻痺の富豪、
そしてドリスはスラム出身の黒人青年。
この二人、見てもわかるように、全てが「逆」の境遇を持つ。
唯一の共通点は「人間であること」ぐらいのものだ。

普通の友情を描かれても作品に対して共感は生まれることが無いが、
この友情に組み合わさる「ギャップ」こそが、今作を楽しめる最大の特徴だろう。

このギャップを利用して売れた作品は日本でも多いのだ。
例えば「GTO」これは「教師×ヤンキー」という設定。
そんな「ヤンキー」であることのギャップを利用した作風に、
今回組み合わされた設定である「身体障がい者」。
なかなかに重いこのキーワードを上手に昇華できている作品だろう。
思わず、実話であることを忘れそうになるような出来栄えである。

フィリップの「行動力」について

「友情」や「信頼」ばかりが注目されがちなこの作品、
実は全く違う観点で注目してほしいところがもう一つある。

それはフィリップの「行動力」である。
全身麻痺で妻をも亡くしたフィリップであるが、
音楽や絵画、読書や食事、ミュージカルをもを楽しみ、
充実した日常を送っている。
そこにとてつもないフィリップの「生きる力」を感じたぼくがいた。

彼の生命の源である「行動力」がわかるような描写は、作中に数多く登場する。

・前科のある人間を介護者として受け入れる勇気。
・吸ったことのないマリファナを吸う勇気。
・文通相手に会う勇気。
・一度事故を起こしたパラグライダーに挑戦する勇気。

全身麻痺でも人生を楽しむ、
彼の持つ行動力に影響される作品でもあるだろう。

元になった実話も相違ない友情だった

元のストーリーとなっている、
「フィリップ」と「アブデル(本名)」は実在している。

映画化するにあたってのアレンジ要素はあるが、
実際にいた二人が題材となり、物語が作られているのは事実である。

・ドリスは作中アフリカ系黒人だが、
 実際はアルジェリア出身の青年。
・作中、フィリップの妻はすでに死亡したことになっているが、
 実際に彼女が亡くなったのは、アブデルが家にやって来てから4年後のこと。
・映画では、ドリスの弟が助けを求めに来たことをきっかけに、雇用関係を解消し、
 1年程度の出来事のような印象だが、実際には10年間にわたって面倒を見ている。

ちなみに、実際の2人はある日、モロッコへ移住するが、

アブデルが現地の女性を好きになったため、
彼の将来のことを考えて、フィリップの方から契約を解除している。
リアルでも映画以上である信頼関係で結ばれていたことがよく伝わってくる、
エピソードである。