映画「フィッシュマンの涙」のネタバレ感想と考察【魚男を取り巻くヒューマンストーリー】

  • 2020年12月2日
  • 2020年12月15日
  • 映画
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「フィッシュマンの涙」

2016年、クォン・ウォガン監督によって

制作された作品。

とある青年が新薬治験の末「魚男」

生まれ変わってしまう物語。

上映時間は92分。

あらすじ

舞台は韓国、

記者を目指す青年「サンウォン」

面接の際、上司からとある提案をされる。

それは巷でウワサになっている「魚男」

存在について暴いてくることだった。

 

この命令を受けたサンウォンは

カメラを抱えて魚男の「恋人」の元へ

向かうのだった…。

ネタバレあらすじと考察

ぶっ飛びつつも心に刺さるコメディ作品。

本作における中心人物「魚男」

そしてその取り巻きの人物達が

右往左往するこのストーリー、

ジャンルで言えば間違いなく

「コメディ」であろう。

明るいシーンでも、

深刻なシーンであっても、

パンチの効きすぎた魚男のビジュアル一つで

一気にシュールさが滲み出てくる

作風となっている。




それに加え、韓国映画独特の

ベタな茶番演出や、

日本映画とは毛色の違う

キャラクターの絡み方など、

「陽の笑い」「陰の笑い」

上手く組み合わせたコメディ作品に

仕上がっていた。

 

しかし本作、

そんなコメディ要素だけではなく、

当時、韓国で議論されていた社会問題など、

社会的メッセージ性も兼ね備えた

作品だった。

「コメディ」と侮るなかれ!いくつもの重大なテーマ

本作の主人公「魚男」、

元は地味で大人しい青年であったが、

治験により魚男になってからは

周りの人々、及び社会全体に翻弄される

立ち回りのキャラクターとなった。

 

魚男本人の意見として、

受け取れる描写が極端に少なく、

映画のスポットライトは

終始、周りの人間に当てられた

作品だっただろう。

 

物語はキャラクター同士の「茶番」

ありつつも、

ストーリーは進行し、

世間が「魚男ブーム」を呼ぶ

脚本であったり、

一夜にしてあることないこと取り上げられ、

「控訴」するはずの立場が逆転してしまう

現象など、

当時の韓国国民の形態や、

大企業の既得権益、また政府を

皮肉るような作風に仕上げられたのは

とても面白い脚本だった。

 

また「魚男」本人でなくても、

サンウォンの「学歴問題」など、

別のキャラクターの視点から見る問題も

浮き彫りになってくる作品である。

「物語システム」がオブラートとして働いていた。

本作の物語、冒頭のシーンから察するに、

もう「こと」は済んでいる演出だろう。

それから本作のもう一人の主人公、

「サンウォン」の語りによって、

過去を振り返るように物語が進行していく

「物語システム」は、

パンチが効きすぎた

「魚男」というキャラクターの

オブラートとしても働いているような

作風に感じたのだ。

魚男のビジュアルにこそ本作のキーポイントは詰まっている。

本作で描かれる魚男の容姿、

映画のジャケットから見ても、

かなり「滑稽」だと言えるだろう。

年代から見ても「キモカワイイ」絶頂期

作品であり、

そんな魚男の容姿に目を釘付けにされる

不思議な魅力が彼にはあった。




彼が登場するだけで、

どんなに深刻なシーンでも

一気にシュールなシーンと化してしまう

不思議な魅力を併せ持ち、

彼の存在により、

映画自体に「B級感」を感じさせる

ような要素にもなっている。

 

しかし蓋を開けてみれば、

完璧とは言えないまでも、

そこそこしっかりとした脚本、

構成が組まれ、

映画自体のハードルを下げている要因にも

なっている現象も起きている。

 

事実、韓国映画にしては、

日本人からの評価は高く、

「韓国映画」は嫌いでも、

本作は楽しく鑑賞できたと述べる

鑑賞者が、何人もいる作品となった。