本記事は、映画「サーチ/search」のネタバレを含んだ、感想と考察記事です。
鑑賞したことが無い方は、注意して読み進めてください。
「サーチ/search」
2018年、アニーシュ・チャガンティ監督によって制作された作品。
一人の娘が行方不明となった父親の物語。
上映時間は102分。
あらすじ
舞台はアメリカ、早くして癌で母親を亡くした娘のマーゴット、そして父親のデビッド。
それでも父親の愛情を最大限に受け、マーゴットは素直に育っていた。
そんなある日、勉強会に参加するマーゴットはその日から音信不通になってしまう。
デビッドはSNSを活用してマーゴットの情報を得ようとする…。
出演役者
本作の主人公デビッドを演じるのが「ジョン・チョー」
娘のマーゴットを演じるのが「ミシェル・ラー」
刑事のヴィックを演じるのが「デブラ・メッシング」
配信コンテンツ
「サーチ/search」は今現在、Amazonプライム、U-NEXT、等で配信されている。
ネタバレ感想と考察
こう来たか…!完全デスクトップ上の映画!!
世の中には色々な手法で撮影された映画が存在する。
ワンカットで撮影された映画、そして手持ちカメラで撮影された映画などだ…。
今回のこの「サーチ」、これは全てがデスクトップ上で繰り広げられる物語だ。
思えば、スマホの画面やデスクトップには、リアルと同じ量の情報が溢れている。
写真や動画、SNSやインターネットサイトなど、「映画」として作品を演出するのに、これだけの要素でも事欠かないのだ。
ビデオ通話の画面、その通話画面の横では別のYouTube動画が流れている様子を演出するのはとても斬新な魅せ方で、人間の感情や状況などを一つの画面で同時に伝えるやり方は今までの映画では見たことがなかった。
本作がなぜこんなにも評価されたのか?
映画サイト「filmarks(フィルマークス)」では本作の評価はなんと「3.9」となる高評価だ。
作品のランクとしてはB級ほど低くもなく、A級ほどのカネのかけ方もされていない作品だったが、そんなランクの作品でこの評価は、正直に言ってかなり高い。
まずは先ほども前述した「作品の魅せ方」が大きな要因となる。
そして「大どんでん返し」の要素があったことも大きいだろう。
サスペンスとして進展していく物語の中で、オチとなるのが「事件を一緒に捜査していた刑事が犯人である」ということだった。
この二転、三転のどんでん返し、そしてそこに至るまでの情報も、インターネットやSNS、果てはGoogleマップまでもを用いてたどり着くのが飽きさせることがない演出となっていた。
そしてこれが一番大きな要素、「ハッピーエンドで終わっていた」ということだろう。
これを言ってしまっては身も蓋もないが「ハッピーエンド」の作品は基本的に評価が高くなる傾向にある。
もしこれが「バッドエンド」だったとしたら、ここまでの評価に繋がらなかったとも思えるのだ…。
伏線の張り方の新たな形!!
サスペンス映画と言えば忘れてはならない要素が「伏線回収」という内容だ。
通常描かれるサスペンスでは、どの作品にも「コレ…絶対伏線だな…」と思えるようなシーンが数多くある。
ところが…本作はとにかくそんな情報量が多すぎる。
ネットに溢れる動画や画像、そして登場人物の多さから、「どれが伏線かわからない状況」そして「そのどれもが伏線と思える状況」が生まれている。
マーゴットのSNSの場所の写真、SNSの写真モデル、マーゴットの「ポケモン好き」というやり取り、そして画面隅に「ハッパ(マリファナ)」を映す弟…など、とにかく情報の精査ができなくなる効果を生み出す。
主人公のデビッドだけではなく、これを鑑賞者にも同じ効果をもたらしている…。
また、インターネットの「情報の深さ」もこの特殊サスペンスのキモとなっている。
インターネットを隅々まで調べることで、個人の動向までも詳細に特定できてしまうこの時代、今現在も問題となっている「ネットストーカー」や「特定班」といった存在や、「拡散」「炎上」といったカルチャーまでもが描かれた、非常に現代的な作品だった。