「SAW(ソウ)」ネタバレ感想と考察【数々の名ゲームを生みだした作品】

  • 2020年12月9日
  • 2023年8月24日
  • 映画
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本記事は、映画「SAW(ソウ)」のネタバレを含んだ、感想と考察記事です。

鑑賞したことが無い方は、注意して読み進めてください。

SAW(ソウ)

2004年、アメリカで公開されたサイコスリラー映画。

脚本、主演はリー・ワネル監督はジェームズ・ワンが務めた。

スリラーという映画のジャンルの中で、一時代を築き上げた「ソウシリーズ」の一作目。

上映時間は111分。

あらすじ

ある日、とある地下の一室にて、カメラマンであるアダム外科医であるゴードン目覚めることとなる。

2人は足を鎖で繋がれ、脱出することが不可能な状況であった。

脱出のヒントを探す中で、ゴードンに「アダムを殺せば助かる」ことが伝えられる…。

 

出演役者

本作の2人の主人公、そのうち外科医であるゴードンを演じるのが「ケイリー・エルウェス」

イギリス出身の俳優で、ジム・キャリー主演の「ライアー・ライアー」などに出演している。

 

そして本作のもう1人の主人公、カメラマンの「アダム」演じるのは本作の脚本も務める「リー・ワネル」

ソウシーリーズの立役者であり、その他でも「アップグレード」などの有名作を手がけている脚本家で、脚本家本人自らのキャスティングはなかなか新しい試み。

 

そして本作の中心人物、ジグソウ(ジョン・クレイマー)を演じるのが「トビン・ベル」

アメリカのベテラン俳優で、今となっては完全に「ソウ」のイメージ。

シリーズ8作に渡り連続出演する俳優となった。

 

ジグソウを追い続けるタップ刑事を演じるのが「ダニー・グローヴァー」

アメリカの黒人の俳優で、「リーサルウェポン」シリーズなどのアクション作品への出演が多い俳優。

今作でも銃を使うアクションキャラクターとしての位置づけとなった。

 

ジグソウの「ゲーム」から生還したアマンダ演じるのが「ショウニー・スミス」

今作ではあまり見ない、美しいアメリカ女優。

なんとあの「アルマゲドン」にも出演し、その他の作品ではホラーやサイコ作品への出演が目立つ。

配信コンテンツ

「SAW」は今現在、AmazonプライムU-NEXT、Hulu、等で配信されている。

Amazonプライム

U-NEXT

Hulu




ネタバレ感想と考察

一つの「ジャンル」を作り上げたシリーズの一作目。

現代のホラー映画好きの中で、本作を知らない人間は1人も居ないだろう断言できるほどの力を持つのがこのシリーズ、「ソウ」である。

シリーズ8作にも渡る、壮大な物語は基、いくつものパロディでも取り上げられたり、ネタにされたりなど、サイコスリラー作品の一つのジャンルを作り上げたと言っても過言ではない。

日本のアニメ「銀魂」「おそ松さん」などの有名作品でもネタとして使われ、ソウに似たB級映画も国内外問わず、数々の作品が存在する。

また、ただただグロテスクなだけではなく映画自体の抱えるテーマ軽いものではなく、演出の観点から見る、伏線の張り方も非常に面白い作品だろう。

映画における最大のテーマとは?

残酷な装置やグロテスクな描写が目立つ本作であるが、その真のテーマは、実はジグソウ本人も作中で語っている。

それは「生きるという喜び」を再び感じるとることだ。

数々の人間が虐殺されていく本作の中で、唯一生き残った「アマンダ」は、今回の「ゲーム」によって薬物中毒から解放されている。

彼女はこのゲームやジグソウに感謝すらしている描写もあるのだ。

映画内に蔓延る「狂気」の中にも賛否両論の意見があるのが、本作の面白いところの一つだ。

そしてそんな「生きる喜び」「恐怖」という形で伝え、サスペンス調に見事描き切った本作の脚本力の強さが感じられる作風となっている。

そして、ただ単に人が死んでいくわけではなく、生きるか死ぬかのギリギリのラインを攻める数々の虐殺機械こそが本作の見どころでもある。




ソウシリーズと言えばコレ!数々の残虐装置。

ソウシリーズの代名詞ともなった「生」を感じるための装置本作の初代「ソウ」でも色々なゲームや装置が登場してくる。

・バスルーム脱出ゲーム

本作のパッケージにもなっているこのゲーム、
ソウシリーズの起源にして頂点と名高いゲーム。

二人の人間が足を鎖に繋がれ、
バスルームの対角に位置している。

ゲーム内容はズバリ「相手を殺せばクリア」

いたってシンプル且つ、
ソウシリーズの中では簡単と言ってもいいゲーム。

仕掛けられたのは本作の主人公であるゴードンとアダム。

届きそうで届かない距離感と
隠されたヒントや道具に
脚本の奥深さを感じる名ゲーム。

 

・逆トラバサミ

これもシリーズでは非常に有名、
口に設置され、制限時間内に解除しなければ
顎が砕かれるという装置。

後にも先にも、完全なる「クリア」が成し遂げられた
装置はこれだけとなる。

鍵は麻酔で動けなくなった男の
内臓に隠れている。

仕掛けられたのは
麻薬中毒の女性「アマンダ」

彼女はこれを機に、
ジグソウの信者と化していく。

 

・カミソリワイヤーゲーム

起きると全身にカミソリの刃のような
鎖が巻き付けられていた男。

そしてそのワイヤーは
部屋中に張り巡らされていた。


制限時間内に体を切り刻みながらも
脱出できればクリアというゲーム。


挑んだのは「ポール」
自傷癖のある男性で、
結局脱出できずに力尽きる。

 

・密室パスワード探しゲーム

起きると小さな部屋で一人。
身体には遅効性の毒が回っている。

解毒剤の入った金庫を開けるためには、
蝋燭一本の明かりを頼りに、
壁にびっしり書かれたパスワードを探さなくてはならない。

足元にもびっしりガラスの破片、
そして体には可燃性の油が塗りたくられている。

挑んだのは「マーク」
放火魔であり盗み癖のある男性で、
結局火だるまになって死んでしまう。

 

・ドリルが頭を貫くゲーム

ジグソウがタップ刑事たちに追い詰められていた時に
居合わせたゲーム。

回転しながら近づくドリルから脱出するゲーム。

タップ達の急な来訪によって、
ゲームの本来のシステムは定かではなく、
無数の鍵の中から解除される鍵を探すシーンが
描かれていた。

シン刑事の発砲によって助かったような描写が描かれる。
ゲームに掛かっていたのは「ジェフ」という男性。

 

・ゴードンの妻子を殺すゲーム

ゴードンの勤める病院で
雑用係として働いていた「ゼップ」
彼もジグソウの仕掛けるゲームの被害者。

ゴードンたちの密室ゲームのゲームマスターをし、
ゴードンの妻子を殺さなければ、
遅効性の毒が回り死んでしまうというゲーム。

結果、妻子には逃げられ、
バスルームに飛び込んだ際、
アダムに撲殺されることとなる。
綿密な伏線回収の数々

シリーズの中でも、脚本的に一番の人気を誇るのがこの初代ソウ。

そんな民期の要因には、やはり綿密に練られた脚本力にあると考えている。

本作にはシリーズ最多量の見事な伏線回収が描かれていた。

・冒頭の鍵が足枷のカギだった。

映画冒頭、アダムが起きるバスタブの中に、
青く光るものが入っいていたが、
パニックとなったアダムによって、
排水溝に流れていってしまう。

そして映画の最後、ジグソウによって告げられる真実。

その青いものこそ、足枷のカギだった。

 

・中央の男性がジグソウだった。

バスルーム脱出ゲームの最初から
部屋の中央に倒れている男性、
ゲームマスターからは「彼は死んでいる」と
告げられるが、
彼の正体こそ「ジグソウ」本人。

それを匂わすキーワードとして、
刑事たちの
「彼は最前線でゲームを鑑賞するのが好きだ」
という言葉が回収されることとなる。

 

・ゴードンとアダムの関係性。

最初はお互い見ず知らずと思われた
ゴードンとアダムも、
ストーリーの進行によって、
徐々にその関係性が解き明かされていく。

ゴードンは「ジグソウ(ジョン・クレイマー)」に、
死の宣告をした医師、
そして、アダムはジョンの不倫を暴こうとした
パパラッチ。

アダムの立ち振る舞いや仕草から、
何かしらの秘密が伝わってくるが、
物語中盤で明かされることとなる。




物語の進行によって変わる映像美

物語の進行によって、段々とパニック状態に陥っていくゴードンとアダム。

中でも、物語後半~終わりにかけて映像の色味は、とても焦燥感溢れるリアルな描写となった。

ただでさえ色白い部屋でのゲームだったが、ゴードンの終盤の顔色は、とてもホラーらしい色味に仕上がり、そんな要素が鑑賞者の心を駆り立てる一因となっていた。

爆発する「ジェームズ・ワン」の才能!!

本作を製作した一人、映画監督「ジェームズ・ワン」であるが、彼は本作の後にもSAWシリーズ全体の「製作総指揮」として名乗りを上げ、そのほかにも数々の映画作品を手掛けることとなる。

2010年の「インシディアス」、2013年から始まった「死霊館シリーズ」、さらには「ワイルドスピード SKY MISSON」などのアクション映画も手掛けている。

中でも筆者がオススメしたいのは2021年の「マリグナント 凶暴な悪夢」

「ホラー×アクション×SF×どんでん返し」という、なんともセンシティヴでスタイリッシュな作品に仕上がっている。

興味がある人は、是非とも観てみてほしい。

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