本記事は、映画「マリグナント 凶暴な悪夢」のネタバレを含んだ、感想と考察記事です。
鑑賞したことが無い方は、注意して読み進めてください。
「マリグナント 凶暴な悪夢」
2021年、ジェームズ・ワン監督によって制作された作品。
SAWシリーズやインシディアスを手がけるホラーの大御所監督の作品として期待された。
上映時間は111分。
あらすじ
舞台はアメリカ、シアトル。
一軒家に住まうマディソンは妊娠していながら、夫のデレクにDVを受けていた。
そんなある日、夫は何者かによって殺されてしまう事件が起こる。
それを皮切りに、次々と連続殺人事件として発展していく。
そしてその殺人の光景は、マディソンの頭の中に何故か鮮明に残っているのだった…。
出演役者
主人公のマディソンを演じるのが「アナベル・ウォーリス」
妹のシドニーを演じるのが「マディー・ハッソン」
事件を追う刑事、ケコアを演じるのが「ジョージ・ヤング」
配信コンテンツ
「マリグナント 凶暴な悪夢」は今現在、Netflix、等で配信されている。
ネタバレ感想と考察
ジェームズ・ワンの期待を裏切らない斬新ホラー!!
映画の内容に触れる前に、まずは「ジェームズ・ワン」という監督について触れていこうと思う。
彼を有名にしたのはなんと言っても「SAWシリーズ」
超名作となった初代では監督、そして2〜6作目では、見事に制作総指揮として名を連ねている。
彼の描くホラー映画は、いつもどこか独特でセンシティヴ、グロさの中にも品が感じられるようなパニックホラーが描かれている。
本作でもそのキャラクターデザインセンスは発揮され、「ガブリエル」の設定、そして動く姿は独特の不気味な描写を演出してくれた。
人間が反対に走り、そして人間を殺していくという設定は、想像もしなかった「どんでん返し」を与えてくれる。
以外にも「スッキリ」とした物語。
昨今のホラー映画は実は内容はどんどんと複雑化している。
2020年の「ミッドサマー」であったり、2022年の「呪詛」であったり、3時間近くの長さに、考察のしがいがあるような脚本が練り込まれ、鑑賞するのにも頭を使うことだろう。
しかし本作で描かれる結末は「奇形双生児」というネタ一本、全てのモヤモヤがこれで線となり繋がっていくような脚本となった。
作中にも数々の伏線が張られ、やんわりと抱く疑問をワンシーンで解決してくれる「アハ体験」は、ホラー映画からは想像することができない爽快感がある。
怖カッコイイ「ガブリエル」の存在感。
ホラー映画では100%の恐怖を与えるであろうモンスターも、本作に限ってはちょっとだけ違う。
今回の作品で核となったモンスター「ガブリエル」はちゃんとした「生きた人間である」という解釈が正しい。
頭の裏に潜み、肉体と脳を共有しながら、怖さの中にも「人間味」が感じられるようなキャラクターだった。
そして不気味さや恐怖の中に、どことなく感じる「カッコよさ」こそがキモとなってくる。
マディソンの体を操り、逆向きで戦い続けるガブリエル、「一体どこでそんな体術を!?」と思わせるほどに見事である。
刑務所の虐殺シーン、そして警官との銃撃シーンはホラー映画を凌駕した「アクション映画」としての一面も持ち合わせている。
自分と脳と肉体を共有する「ガブリエル」の存在、「自分は絶対味わいたくない」とは思いつつも、居たら安心であったり便利な面もあるのかもしれない…?
映画の展開が見事すごる!!
前項で記述したような「アクション要素」であるが、調べてみるとジェームズ・ワン監督は過去に「ワイルドスピード SKY MISSION」を手がけたこともあるようで、アクション映画を製作する能力にも長けているように感じる。
これは納得…と一人で頷いていた。
本作のOPの導入、そしてパンクな音楽、序盤で観せる不穏なホラー、そしてスピーディなアクション、そしてガブリエルの「SFモンスター」的なビジュアルまでもがマッチしたことで、「静」と「動」を切り替えた、抑揚のある作品に仕上がっていたのだろう。
映画を「起承転結」で表現した時、本作ほどに パート毎にジャンルの変わる映画作品もなかな無いだろうと思う。
本作を一言で表すならば、ホラーSFアクション映画とでも言おうか…。