本記事は、映画「壁女」のネタバレを含んだ、感想と考察記事です。
鑑賞したことが無い方は、注意して読み進めてください。
「壁女」
2015年、マイケル・メダグリア監督によって制作された作品。
あらすじ
アメリカのとある街、しがない芸術家のヘルマンは日銭を稼ぐことも出来ず、自分の才能の無さに打ちひしがれていた。
そんなある日、芸術で成功した叔父に諭され、とあるアパートの一室で作品作りに集中することとなる。
しかし、アパートの「壁の中」には得体の知れないものが潜んでいた…。
出演役者
本作の主人公、ヘルマンを演じるのが「ショーン・マクグラス」
アトリエの社長、デボラを演じるのが「アン・サース」
配信コンテンツ
「壁女」は今現在、Amazonプライム、等で配信されている。
ネタバレ感想と考察
ぶっ飛んだ脚本とどこかオシャレな世界観。
昨今、アンニュイで不思議な世界観の作品がホラー映画では多く感じられる。
過激な描写やビックリするようなシーンが少なく、それは一定数の需要を持ち続けてきた。
今回もそんな「特殊ホラー」に分類されるであろう本作、その核となるのが「壁の女性」の存在だろう。
物語の最初、「壁の中に化け物が住んでいる」ように見える脚本が展開されるが、その正体は「壁自体が生き物」というとんでもない展開となっていた。
壁の穴は「彼女の口」であり、その穴を活用して「オーラルセックス」をする描写までもが展開されていた。
一体彼女の存在とは何だったのか?
そして彼女の生み出す「謎の玉」は何だったのか?
彼女の生み出す「謎の玉」について。
今回の物語のキーアイテムとなる、「壁女が生み出す謎の玉」であるが、結果、その正体は不明となっていた。
しかしながら、そんな奇妙なアイテムを利用して、売れない芸術家であったヘルマンは崇高な芸術作品を作り上げることとなる。
その奇妙なアイテム、画面越しには伝わらないが、どうやら「性を解放する能力」があるように見える。
ヘルマンの作品を見た瞬間、その場で「乱交プレイ」を始める富裕層の人々、そして壁女自身もその効力を知っているようだった。
この「玉」は彼女の体内で生成され、口から吐き出されている。
そして彼女のモチベーションによっても完成度が変化していた…。
この謎のアイテムについては、鑑賞者の想像に任せる終わり方となっていたが、もう一つ、この作品には「重要なカラクリ」が隠されている。
「芸術家」と「オーナー」の関係性が描かれる!!
この作品をよくよく紐解いてみると、芸術のための「素材提供」を行うのが壁女、そして作品を作るのがヘルマンである。
構図としては「ヘルマンが壁女に素材を求める」という構図となっていたが、これが「デボラがヘルマンに作品提供を求める」という関係性とよく似ている。
現に、芸術家とオーナーの「人間関係」についての悩みが、ヘルマンの口から語られているのだ。
また、映画内ではデボラ自身が壁女に危害を加える描写もあった。
デボラの行為は「嫉妬」だったのだろうか?それとも…?
「芸術家とオーナーの関係性」を超えた、「男女の関係性」が構築されていくこともあり、奇妙な形のラブストーリーが展開されていく作品でもある。
少々グロテスクなシーンはあれどパッケージほどの恐怖は感じない今回の作品、不思議な雰囲気を纏ったヒューマンドラマホラーだった。