「(r)adius ラディウス」のネタバレ感想と考察【半径15mの人間が全員死ぬ】

  • 2021年3月4日
  • 2021年3月13日
  • 映画
  • 309view

本記事は、映画「(r)adius ラディウス」の

ネタバレを含んだ、感想と考察記事です。

鑑賞したことが無い方は、

注意して読み進めてください。

(r)adius ラディウス

2018年、カロリーヌ・ラブレシュ、

スティーヴ・レオナール両監督によって

制作された作品。

SF作品「メッセージ」を制作した

スタッフが集まり作られた作品である。

 

半径15mに立ち入った者が

死んでしまう男の葛藤の物語。

上映時間は93分。

 

あらすじ

舞台はアメリカ、

とある田舎で起こる交通事故。

事故によって記憶を無くした男、リアム。

目覚めると、自分の近づく生物全てが

次々と死んでいく…。

 

最初は毒ガス等の影響かと思ったが、

段々と「自分が原因であること」

気がついていく…。

 

出演役者

本作の主人公リアムを演じるのが、

「ディエゴ・クラテンホフ」

カナダ出身の俳優で、

あの「24」シリーズ

「ブラックリスト」シリーズなどの

洋画ドラマ作品への出演が

目立つ俳優である。

 

本作では、筋骨隆々な肉体を生かした

アクション系主人公を見事に演じてくれた。

 

本作のヒロイン的立ち位置、

ジェーンを演じるのが

「ローズ・デアウッド」

日本、アメリカ共に、

知名度はあまり持たない女優であるが、

本作ではラストシーンの最後まで

迫真の演技を見せてくれた。

ネタバレ感想と考察

サスペンス?それともアクション?掴みきれないジャンルと世界観。

「半径15mに入った人間が全て死ぬ。」

本作の全てとも言ってもいいこの設定、

なかなかに面白い脚本だったのでは

ないだろうか?

 

目が白濁とし、その場で倒れ込んでしまう

数々の生き物たちに、

「ホラー感」を感じた鑑賞者も

多いはずだ。

 

本作は、

「全ての人間から逃げる」という

とんでもないアクション要素

作り上げると同時に、

そんなホラー感から

「サスペンス映画」の二面性を持つ、

特殊な作りの作品となった。

 

周りの人間がバタバタと死んでいく中で、

主人公リアムとジェーンだけが

記憶を無くし、

その真相を究明していく作風

サスペンス作品の面白い要素として

描かれていた。

 

結局、人が死んでしまう原因は何だったのか?

脚本に賛否両論の多い作品ではあるが、

そんな要因の一つとなったのが

「半径15mの真相が解き明かされなかった」

ということがあるだろう。

 

問題のリアムの持つ特性であり、

本作品のパッケージの

謳い文句にもなっているこの設定であるが、

作品を見ていると「雷」

この現象に関わっていることは

一目瞭然だろう。

 

この現実ではほぼ起こりえない現象が

本作を「SF」の世界

誘っていることもわかる。

 

物語の脚本や、

リアムとジェーンの関係性から考えて、

この「雷」が

「偶然」ではなく「必然」として

起きた現象と考えるのが

一番自然な考え方だろう。

 

そして、この「雷」が

本作を「おとぎ話」と捉え、

非現実な世界観として考察してみると

いくつかの考察が浮かんでくる。

 

まずは、

「危険な殺人犯を孤独にする為に

能力を与えた」

そして、

「危険な殺人犯の助力のために

この能力を与えた」

ということだ。

 

ここからは「神様か何か」の存在によって

故意的にリアムに「能力」

与えられたことを前提として考察していこう。




リアムとジェーンの関係性こそが本作のメインテーマ

物語の脚本的にこの現象を紐解いてみた時に

大きな繋がりを見せるのが、

やはりジェーンの存在だろう。

 

まずは「ジェーンが近くに居ると

能力が発動しない」

という現象。

映画をラストまで鑑賞した人ならわかるが

リアムはなんと「誘拐殺人犯」であった。

 

そんなシリアルキラーに

殺させる間際、雷に打たれ、

記憶を無くしたというわけだ。

 

リアムは直前まで

ジェーンを「殺したがっていた」

そしてジェーンは

リアムから「逃げたがっていた」

 

しかし、雷によって二人は記憶を無くし、

リアムは

「殺したくないのに殺してしまう」

ジェーンは

「逃げるとリアムが大量虐殺してしまう」

という、逆の現象が起きている。

 

記憶喪失前の二人の考えを

皮肉ったような現象の考えの変わり方に、

本作の大きなテーマの在り方を

感じることもできるだろう。

 

そしてラスト、

記憶を取り戻したリアムとジェーン、

 

二人の考え方は逆転現象を

見せることとなる。

リアムは「殺したことを懺悔したい」

ジェーンは「リアムを殺したい」

 

そして結果としてリアムが

「ジェーンを助ける」ことになるのも

面白い。

 

物語のラストシーン、

離れていくジェーンの前で

リアムは自死するが、

記憶喪失後のリアムが

まるで別人のように生まれ変わっていた

ことからも、

この「能力」が故意的に与えられた

「創作物語」として

鑑賞できることがわかる。

 

あれだけの「シリアルキラー」としての

一面を持っていても、

「半径15m以内の人間が死ぬ」という

望まない能力を持ってしまえば

「殺したくない」という

感情が芽生えるのだろう。

 

そして自身が「殺そうとしていた」

ジェーンという女性は、

「絶対に殺してはいけない人間」

早変わりする。

 

二人の関係性の逆転現象を

心理描写と行動で捉えた脚本

面白いものだった。

 

余談ではあるが、

二人は若いギャングと遭遇し

危うく殺されかけるが、

リアムの能力により助けられる描写も

描かれる。

本作が賛否両論となってしまった要因とは?

映画サイト

「Filmarks(フィルマークス)」では、

本作の星は「3.2」と、

決して高い評価ではない。

 

そんな本作が賛否両論となってしまった

原因として、

いくつかの要因が上げられる。

 

まずは「設定の雑さ」

前述した通り、

本作のメインテーマである

「半径15m以内の人間は死ぬ」

という点において、

具体的な謎が解明されないまま

幕を閉じることが挙げられる。

 

そして

「脚本のオチの雑さ」についても

言及された意見が多かった。

本作のラストシーンまで、

リアムが「シリアルキラー」である過去は

時折見る「夢」

そしてジェーンの「捜索願」くらいしか

伏線が貼られていなかった。

 

僅かな伏線を抱えたまま、

物語のラストで明かされるオチについては、

やはり荒削りだと感じてしまう

鑑賞者も多かったようだ。

 

また、

本作のパッケージの宣伝文句として

「半径15m以内全員即死」

書かれていてしまったのも

思わずツッコミを

入れてしまいたくなるような

ネタバレになってしまった。

これはパッケージで言及しなくても

充分に面白い要素であったと、

思えなくもない。

 

いずれにしても、

本作の脚本自体がダメである訳ではなく、

細々とした演出やシーンによって

こんな評価が多くなっていた。

 

事実、インパクト大のワンアイデアによる

キャラクター性や設定は

ワクワクしながら鑑賞させてくれたことも

事実であった。

 

物語のラストのリアムの自死に関して、

エモーショナルな感情に包まれながら

作品を見終えることができたのが

救いにもなっていただろう。