「ロスト・アイズ」ネタバレ感想と考察【全盲の女性だけを殺すサイコパス…】

  • 2021年5月17日
  • 2023年8月24日
  • 映画
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本記事は、映画「ロスト・アイズ」のネタバレを含んだ感想と考察記事です。

鑑賞したことが無い方は、注意して読み進めてください。

ロスト・アイズ

2010年、ギエム・モラレス監督によって製作されたスペインのパニックホラー作品。

あの「パンズ・ラビリンス」でも有名なギレルモ・デル・トロ監督も政策に携わっている。

徐々に視力を失う女性を描いた作品。

上映時間は112分。

あらすじ

舞台はスペイン、ある日全盲である女性、サラが自宅で「首つり自殺」をする事件が起こる。

サラの妹であるフリアがサラの自宅を訪れるが、「これが本当に自殺なのか?」に疑念を抱くのだった。

そして、サラの血縁者であるフリアもまた、先天性の目の病気によって、視力を失う運命だった。

視力があるうちにフリアは「サラの死の真相」に近づいていく…。

出演役者

本作の主人公フリアを演じるのが「ベレン・ルエダ」

本作の主人公であり、グラマラスなボディが特徴のスペイン女優

本作を中心に、パニックホラー作品や、サイコサスペンス等の作品に出演する。

本作以外にも「ロスト」の文字が躍る作品に多数出演している…。

また、フリアの双子の姉であるサラも彼女が演じ、映画では珍しい「一人二役」を担当している。

 

フリアの夫であるイサクを演じるのが「ルイス・オマール」

スペインで活躍するベテラン俳優であり、御年64歳にもなる俳優。

(作品公開当時は50代)

 

主要でありながらも、地味な立ち回りなキャラクターであったが、作品に深い繋がりを作った俳優となった。

ネタバレ感想と考察

あの「パンズ・ラビリンス」の監督が送るサイコサスペンス作品

本作の製作に携わったギレルモ・デル・トロ監督は、言わずと知れた怪作を生み出す名監督であることは知っている鑑賞者も多いことだろう。

本作でも、そんなギルレモ・デル・トロのダークなサスペンス性が解き放たれた作品となっていた。

映画のジャケットにもなっている、「見えないフリ」をする主人公フリアの戦慄のワンシーンは、本作の中でも一番色濃く残るシーンだっただろう。

そして本作の監督であるギエム・モラレス監督に関しても、サイコサスペンス作品に関しては深い関係性を持つ監督であり、スペインを代表するホラー映画監督であると共に、現地のTV番組等でも独特な世界観を解き放っている。

監督であるギエムと、制作であるギルレモのタッグによって本作の脚本とダークな作風は作り上げられている。

「盲目である」という設定を駆使した圧巻のサイコ作品。

本作の映画、ホラー映画としての在り方の1つとして、1番大きく描かれていた要素こそ、この「盲目」という設定だろう。

冒頭の首吊りにて、椅子を蹴られる描写知らない男性に肩を叩かれるシーン、そしてラストのイバンとの対決のシーンに至るまで、殆どの演出に、この「盲目である設定」が用いられたことは斬新なサイコ作品の一面を見せていた。

鑑賞者はその真相がわかりつつも、主人公であるフリアは現状がわかっていない状況のハラハラ感こそが本作品の真骨頂と言ってもいい。

また、本作の最重要人物である犯人イバンに関してだけが、鑑賞者の置かれた立場もフリアと同じ「盲目」であったことが、何よりのサイコ要素だと感じた。

瞬間最大風速を意識したアメリカンホラーで描かれるビックリ要素よりも、どちらかと言うとジャパニーズホラーに近い、ジトジトとしたホラー演出が描かれている印象だっただろう。

物語のラスト、ナイフを目の前に突きつけられるシーンは一番の衝撃シーンであったが、それ以外でも、部屋が真っ暗な中カメラのフラッシュのみにより描かれるフリアとイバンの攻防はアメリカンホラーでは描かれなかった描写だろう。

近いもので挙げるなら、アメリカの有名サイコ作品「SAW」シリーズの1作目の脚本、監督を担当したリー・ワネルの描く演出に近く感じる描かれ方だった。

事実、1作目の「SAW」でも、全く同じ演出を駆使したシーンが登場する。




メリハリのあるスプラッター要素の効力と犯人像。

全体的にジトジトした作風として演出される本作において、何故か「刺激的な要素」においても事欠かないような満足感が得られることとなる。

その満足感の要因こそが、B級感を感じさせるほどのスプラッター描写にあるとおもっている。

映画の終盤において、冷蔵庫に閉じ込められる「本物のイバン」の死体や、胸を串刺しにされ壁に吊るされる女の子など、以外にも「見せるところは魅せる」演出を忘れていないのが面白さでもあった。

それに加えて、本作の犯人であるイバンの犯人像の在り方。

限りない「サイコパス人間」としての地位を確立した上で、盲目の女性だけをターゲットに絞り、目が見えないフリをしているフレアに対して圧力をかける姿は、鑑賞者の皆さんの脳裏にも焼き付いているだろう。

作品の雰囲気をぶち壊す威力を持つ「スプラッター描写」、そして期待を裏切らない「サイコパスな犯人像」の2つにサイコパス映画のファンの人々も満足できるような作風となっていただろう。

圧巻の一人二役!美人すぎる実力派女優「ベレン・ルエダ」に魅了される作品。

映画冒頭、グラマラスな盲目の女性の悲劇が、いの一番に描かれて走り出す物語、そして物語はフリアを主人公として進行していくが、見事に一人二役を演じていた彼女の演技力にも注目したい作品でもある。

グラマラスでヒステリックな姉であるサラとは対照的に、どこかもの静かでふつふつと湧き上がる信念を持つフリアのキャラクター、その両方をまるで別人かのように演技できる女優としての底力を感じるだろう。

そして何よりも美しすぎる容姿も魅力的な作品の一因でもある。

2021年現在、御歳56歳にもなるにも関わらず、数々の作品で主演女優を務め、加えてこの美貌、日本人なら誰もが目を惹かれてしまう存在感があるだろう。

また、サイコサスペンスにおける名監督であり、本作の脚本にも携わったオリオル・パウロの監督作品である「ロスト・ボディ」においても主演女優を務めるほどの魅惑のボディを持っている。