「ザ・ハント」ネタバレ感想と考察【庶民に殺し合いをさせたらヤバい女連れてきちゃった…。】

  • 2021年10月6日
  • 映画
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本記事は、映画「ザ・ハント」のネタバレを含んだ、感想と考察記事です。

鑑賞したことが無い方は、注意して読み進めてください。

ザ・ハント

2020年、クレイグ・ゾベル監督によって制作された作品。

「人間狩り」を題材とした、サバイバルアクションスリラー作品。

上映時間は89分。

あらすじ

舞台はアメリカのどこかの地域…。

12人の男女が目を覚ますと、そこは広大な森の中だった。

皆が森の中で大きな木箱を開封すると…そこには無数の武器が設置してあった…。

その瞬間、何者かによるハンティングが始まることとなる…。

出演役者

本映画の主人公であるクリスタル(スノーボール)を演じるのが「ベティ・ギルピン」

アメリカの女優であり、映画作品よりもドラマ等への出演が目立つ女優である。

本映画でもそうであるように、ガンアクションを用いた立ち回りが多いようだ。

 

本作の大きな黒幕であるアシーナを演じるのが「ヒラリー・スワンク」

あの「ミリオンダラー・ベイビー」「ボーイズ・ドント・クライ」の主演女優を演じるのも彼女である。

それ以外でも数々の映画作品に出演している。

 

その他の本映画での出演役者は、アメリカの映画、テレビドラマに数多く出演する役者が多数キャスティングされている。

ネタバレ感想と考察

「え!?コイツ死ぬの!?」主人公入れ替わりシステム

世の中に「人間狩り」基、「殺し合いサバイバル」を題材とした映画作品は多数あるが、他の映画作品と全く違った描かれ方が本作ではされている。

それは「主人公が次々と入れ替わるシステム」にあるだろう。

映画が始まって最初、一人の女性が主観となり、猿轡(さるぐつわ)を外すシーンから物語は始まる。

そこで出会うのが、「物語のヒロインを守ってくれる立ち位置」に見える男性だ。

閑話休題。

原っぱの真ん中に大きな木箱を発見し、「ハンティング」が始まるわけであるが、そこで早速ヒロインと思われる女性が頭を撃ち抜かれて一瞬で消え去ってしまう。

ここで物語の主人公は、彼女の横にいた男性にシフトチェンジする。

男性はどうやら銃の扱いに慣れているようで、屈強な体でサバイバルを切り抜けていく…かのように思わせて、一瞬で地雷を踏んで爆死する。

次に主人公となるのが、原っぱからの脱出に成功した3人組。

有刺鉄線を乗り越え、とあるガソリンスタンドに逃げ込むが、ここは想像通り老人達に虐殺されてしまう。

 

さてさて、ここまでで多くの鑑賞者は「主人公予想」は裏切られたことだろう。

ここでやっと本物の主人公の登場だ。

映画の上映時間にして、なんと25分後の出来事である。

この主人公の登場までに、いくつもの騙し要素が練り込まれていることに驚きを覚え、この先の展開を期待させてくれる仕掛けとなっていた。

また、この「主人公入れ替わりシステム」には、実は映画の重要なテーマが大きく関わっている。

次項ではそれを解説していこう。

「主人公入れ替わりシステム」の本当の意味とは…?

本映画の物語、ことの発端は「富裕層が遊びで演じていたSNSのタイムライン」である。

富裕層はSNSのグループで「人間狩り」についてのやり取りを繰り返すが、それがハッキングされ、世間に流れ出てしまう。

それを見た各企業がイメージダウンを恐れ、SNSに関わった人間を解雇する。

そして、そんな解雇された富裕層の人間たちが、「本当に人間狩りをやって復讐する」という訳だ。

SNSが発達したこの時代、どんなネット上の情報でも嘘か本当かわからないことがまずはテーマとして掲げられる。

そしてそのテーマは、そのまま「主人公入れ替わりシステム」に投影されているのが面白い。

鑑賞者は第一印象によって「コイツが主人公だろ…」「コイツは絶対死なないだろ…」といった予測を、心の奥深くで感じ取っていたはずだ。

そんな「フラグ」をことごとくぶち折る演出の数々は、インターネットの情報を鵜呑みにする人間への警笛であるという見方もできるのだ。

そして、「富裕層の人間狩り」を鵜呑みにした人間が集められ、「復讐の人間狩り」が開催されるが、実は富裕層も「勘違い」を犯してしまっていたことに皆さんは気がついただろうか…?




富裕層が犯してしまった大きなミス…。

本作の大きなテーマである「情報を鵜呑みにする勘違い」についてであるが、そんな「勘違い」の被害者と思われた富裕層の人間もまた、とんでもない「勘違い」を犯していた。

それは、主人公クリスタルを連れてきてしまったことだった…。

富裕層を壊滅に追い込むクリスタルであるが、実際はクリスタルの近場に住むもう一人の同姓同名の人物が本当の書き込み主だった。

「SNSの情報」を勘違いした一般市民が集められて虐殺される中で、「クリスタルの名前」を勘違いした富裕層がクリスタルに引っ掻き回される…なんとも数奇な物語でもあるのだ…。

爽快感溢れる!?クリスタルの無双映画。

勘違いによって召喚されてしまった主人公クリスタル、物語の中盤から登場したかのように見えるが、実は最初のメンバーの中にクリスタルは紛れ込んでいる。

物語の初めの主観となった女性が目を覚まし、遠くの女性に声をかけるが、彼女こそがクリスタルである。

クリスタルが自分のネームプレートを外し、安全ピンを利用しようとしている姿も映画では確認できる。

彼女は安全ピンを利用し、独自の「方位磁石」を作り進んでいたことから、原っぱ木箱のシーンには参加していない。

老人の経営するガソリンスタンドに「丸腰」で迷い込むことからも、木箱のシーンには参加せず、一人行動を貫いていたと考えていいだろう。

また、富裕層のアジトに潜入した際には、彼女に「アフガン紛争」への兵役があることが発覚し、また「いつもはレンタカー屋の退屈な仕事だが、今日は『本当の自分』に戻れる。」とも発言している。

つくづく富裕層の人間は「とんでもない勘違い」を犯してしまったと感じる…。

本作のテーマは現代アメリカにも投影できる。

本映画のプロットとして大きなテーマとなった「勘違い」、それを生み出す元凶となったのがアメリカの「差別問題」である。

アメリカの差別問題と言えば、まず浮かび上がるのが「黒人差別」である。

本映画内にも黒人差別を匂わす表現がありはしたが、それよりも大きく描かれていたのが「貧富の差」である。

本映画は「富裕層」「貧民層」の戦いの物語であり、これを主人公のクリスタルは「ウサギとカメ」の物語に例えていた。

また本作の冒頭、富裕層のSNSのやり取りにて「deplorables(ディプロラブル)」という単語を用いたやり取りが行われているが、この単語の意味は「嘆かわしい」である。

そして、映画公開当時のアメリカ、ドナルド・トランプ政権にて、トランプ氏を支持していた人々は「deplorables」と呼ばれていたことから、この映画作品にブチ切れたトランプ氏によって一度は公開中止となっているブッ飛んだ経歴を持つ映画でもある。

この「嘆かわしい」は、映画における貧民層の人々の呼称として使われ、それらが「人間狩り」されることに腹を立てていたようだ…。