「SUSPIRIA(サスペリア)」ネタバレ感想と考察【決して一人で観ないでください】

  • 2022年3月9日
  • 映画
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本記事は、映画「SUSPIRIA(サスペリア)」のネタバレを含んだ、感想と考察記事です。

鑑賞したことが無い方は、注意して読み進めてください。

SUSPIRIA(サスペリア)

2018年、ルカ・グァダニーノ監督によって制作された作品。

アメリカ、イタリアによる合作ホラー映画。

上映時間は153分。

あらすじ

舞台はドイツのベルリン

精神科医のクレンペラーは今日も一人の少女、パトリシアの奇妙な体験談を聞かされる。

一方で、パトリシアの属する舞踏団には、アメリカの天才ダンス少女、スージーが訪れていた…。

出演役者

本作の主人公スージーを演じるのが「ダコタ・ジョンソン」

アメリカの女優でありファッションモデルで、アメリカ映画に数多く出演している。

なんと年齢は2022年現在、32歳にもなるようで、見た目からは想像もつかない美貌を持ち合わせている。

 

精神科医であるクレンペラーを演じるのが「ティルダ・スウィントン」

なんとこちら、イギリスを代表する「女優」であり、本作では一人三役を演じている。

詳しくは後半で記述していく…。

 

スージーの同期であるサラを演じるのが「ミア・ゴス」

イングランド出身の女優であり、数本の映画作品に出演している。

 

配信コンテンツ

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ネタバレ感想と考察

オリジナルの「リメイク版」だった!?

本作のSUSPIRIA(サスペリア)、公開は2018年となる作品であるが、実は1977年の同名映画のリメイク版となる作品だった。

「決して一人では観ないでください」のキャッチコピーが話題となった作品であるが、オリジナル版となるサスペリアは1977年にダリア・アルジェント監督によって制作されたホラー映画で、こちらは完全なる「ホラー映画」としての描かれ方がされていた。

一方で本作、こちらでは「ホラー要素」にも現代的な演出がなされ、時代背景も色濃く描かれているのが印象的だっただろう。

本作の監督ルカ・グァダニーノ監督「君の名前を呼んで」で一躍有名となった監督であるが、今回の映画のリメイクにあたり、オリジナル版を敬愛した上で、全く違った作風の作品を作り上げたとも語っているようだ。

お気づきの方は多いと思うが、リメイク版での舞台はなんと1977年であり、これは奇しくもオリジナル版の公開された年と合致しているのは偶然ではないだろう。

そして、本作が「現代映画」であることを象徴するかのように、実は映画のラストシーンで「スマホを使う女の子」が映るシーンがあるのも面白い演出となっていた。




脚本や演出、撮影方法の仕掛け。

どんどんとラストへ進んでいく物語の中で、この手のホラー作品を敬愛している人達なら誰もが感じる「既視感」が本作にはある。

それは物語ラスト付近の「儀式ダンス」のシーンにこそある。

…そう、まるでアリ・アスター監督の「ミッド・サマー」を想像してしまった人も多かったことだろう…。

先ほど記述した「オリジナル版との演出の違い」について言えば、このシーンが一番色濃く「リメイク版」としての本作が投影されたシーンであると言ってもいい。

「バレエダンス」をモチーフとしたオリジナル版に対し、「コンテンポラリーダンス」が主となるリメイク版のダンスシーンでは、ほぼほぼ全裸に近い状態のダンサー達のダンスが繰り広げられていた。

このシーンに至るまでにも、映像を一瞬だけ映すカット割りなど、映画としての演出の面でも本作はとても斬新に描かれていた。

ただでさえ訳の分からない狂気の渦巻く作品の中で、脚本の核心に触れていく重要なこのシーンは、色濃く鑑賞者の頭に残っているだろう…。

結局わけわからんのだけど…。

さてさて、オリジナル版を鑑賞したことがない人にとって、物語を紐解いてみるとやはり「訳が分からない」という感想が出てきてしまう作品であった。

一体これはどんな物語だったのだろう??

全ては先ほどの「ダンスシーン」でわかる仕掛けとなっているがとりあえずは、物語の主人公であった「スージー」に仕掛けがあることはわかる。

どうやら物語の中心となる舞踏団は「魔女」に支配された舞踏団であることは明らかである。

そして団員である少女のダンサー達は、舞踏会のためであると同時に、「儀式ダンス」のためにもダンスを練習させられていたわけだ。

今作のプロットは、そんな魔女率いるカルト舞踏団「魔女を宿したダンサー」が入団してしまった…という見解で間違い無いだろう。(厳密には舞踏団の魔女は「三人の魔女」ではなかった。)

結果、舞踏団の黒幕である「マルコス」「魔女サスペリオルム」ではないことがわかり、そのサスペリオルムは主人公である「スージー」に宿っていたというわけだ。

本作のタイトル「SUSPIRIA(サスペリア)」もこの魔女の名前から来ている。

音楽家「トム・ヨーク」のセンスと女優「ティルダ・スウィントン」の怪演!!

このリメイク版では、オープニングとエンディングの楽曲が、なんと「トム・ヨーク」が使われているのも面白い要素である。

UKロックの金字塔、「Radiohead」のギターボーカルを務めるこのトム・ヨークの楽曲によって、本映画は更なる狂気にオシャレな感覚を纏った作品に仕上がっている。

そんなトム・ヨークの力に加え、もう一人本作の中核を担った名女優の姿があった。

それこそが「ティルダ・スウィントン」である。

本作の闇の存在、マダム・ブランを演じた彼女であるが、それと同時に精神科医の老人であるクレンペラーを演じているのもなんと彼女なのだ。

男性と女性の「一人二役」をこなしているだけでもすごいのであるが…

そこに加え、まるでバケモノのような老婆「マルコス」もなんと彼女だ。

まさかの「一人三役」として、本作での怪演を見せてくれたティルダであるが、ここにもまた粋な仕掛けが施してある。

本作「SUSPIRIA」のホームページでは、なんと「クレンペラー」を演じた俳優として、「ルッツ・エバースドルフ」という架空の人物でクレジットされるほど手が込んだ罠が仕掛けてあるのだ…。

本作「SUSPIRIA」は、日本人画家とのイラストコラボオリジナルパーカーなども販売し、そのデザイン性からも人気コンテンツとしての姿がある作品だった。