「2001年宇宙の旅」ネタバレ感想と考察【スタンリー・キューブリックが送る、謎が謎を呼ぶ本格SF】

  • 2023年11月19日
  • 映画
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本記事は、映画「2001年宇宙の旅」のネタバレを含んだ、感想と考察記事です。

鑑賞したことが無い方は、注意して読み進めてください。

「2001年宇宙の旅」

1968年、スタンリー・キューブリック監督によって制作された作品。

原作となるのは1951年にアーサー・C・クランクによって書かれた「The Sentinel(前哨)」

上映時間は142分。

あらすじ

舞台は人類が文明を築く400万年前。

類人猿が謎の黒石版「モノリス」に触れ、知恵を授かる。

それから400万年後、人類がいよいよ月に到達する時代が来ていた。

AIを駆使して月面に降り立つ人類であるが、「月では伝染病が蔓延している」というウワサが流れる…。

出演役者

本作の主人公、宇宙船ディスカバリー号の船長デヴィッド・ボーマンを演じるのが「キア・デュリア」

 

ボーマン船長の相方、フランク・プールを演じるのが「ゲイリー・ロックウッド」

 

宇宙開発に携わるフロイド博士を演じるのが「ウィリアム・シルベスター」

 

配信コンテンツ

「2001年宇宙の旅」は今現在、Amazonプライム、U-NEXT、等で配信されている。

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ネタバレ感想と考察

意味がわからない…その全貌を解説してみる。

この作品を飛ばすことなく最後まで鑑賞できた人へ、とりあえずこの言葉を送りたい「おめでとう」

起承転に繋がる事象が目まぐるしく起こる現代の映画作品に慣れてしまった人なのであれば、本作はやや退屈に感じてしまうシーンもあったことだと思う。

そんな「退屈」を感じてしまう要因は大きく2つであると筆者は考える。

一つめは序盤、中盤、終盤で展開される風景、それに準ずる加工、環境音、不協和音が入り交じる10分以上のシーン。

そして二つ目が「意味のわからない脚本やオチ」だろう。

まず一つ目の要因。

今回の作品のメガホンを取るのはあの奇才「スタンリー・キューブリック」で、本作を皮切りに映画界のスターダムへとのし上がる序章的な作品となるのがこの「2001年宇宙の旅」だ。

そんな数々の演出は、この後に作る「時計じかけのオレンジ」「シャイニング」などの猟奇的な描写でも「キューブリック節」として炸裂することとなる。

このシーン達は原作となる小説「The Sentinel(前哨)」に触発され、それをキューブリック流に映像化した演出となっていて、実のところ、アカデミー賞の「視覚効果賞」も受賞するほどの出来となっていた。

「理解できる人には理解できる芸術」のような捉え方をして構わないだろう。

映画の楽しみ方は人それぞれなのだから…。

意味のわからない脚本をわかりやすく解説してみる。

最初から最後まで難解となっていたあらすじを、自分の頭を整理するためにもネタバレ120%で簡潔に書いてみよう。

400万年前の地球、知能を持たない猿が居たが、「モノリス」と呼ばれる黒石版に触れることで「知恵」を得る。

 そして「武器」を使うようになる。

 

400万年後、人類は「月」へと飛び立つようになる。

 宇宙開発に携わるフロイド博士は「月で謎の黒石版『モノリス』が見つかった」として、月へと旅立つ。

 月のモノリスの前で記念写真を撮ろうとした際に、謎の超音波に襲われる。

 

舞台は変わり「木星」へと旅立つ宇宙船ディスカバリー号。

 ボーマン船長と船員フランクはAI「ハル」にサポートを受けながら船内業務に取り組む。

 

ハルの異常な反乱によってボーマン船長以外の乗組員が全て死亡

 ボーマン船長はハルのデータを削除し、事実的な「脳死状態」へと追い込む。

 

無事に木星にたどり着いたボーマンは、木星のモノリスとコンタクトを取る。

 「地球を監視する役割」を担うために胎児へと戻され、「スター・チャイルド」としての存在になる。

簡潔に今回の物語を簡単に述べるとこういうことになる。

ここから先はこのあらすじの中での、「2つの大きな疑問点」についてより詳しく書いていく。




モノリスとは何だったのか?

これを言っては身も蓋もない話になってしまうが、このモノリス、全てが鑑賞者の想像になってしまう。

誰が何のために作ったのか?

そして「生物」であるのか?

その全てが明かされていない。

モノリスの持つスペックを紐解いて考察してみよう。

 

・モノリスは複数存在する。

映画の中で登場するモノリスであるが、今回は三種類のモノリスが登場した。

一つめは猿が触れる「地球のモノリス」、二つ目はフロイド博士が接触する「月のモノリス」、三つ目がボーマンが入り込む「木星の超巨大モノリス」だ。

 

・モノリスは人間に知恵を与える。

モノリスに触れると猿が知恵を得る。

これは描写として描かれていたので確定事項だろう。

彼の存在意義は「知恵を与えること」なのだろうか?

 

・モノリスは強力な磁場を発している。

月のモノリスは強力な磁場を発していた。

これは全てのモノリスがそうなのかは不明。

果たして彼は生きているのか?

はたまた宇宙人が創造したモノなのだろうか?

 

なんにせよ「目的」だけはハッキリしている。

それは「人間の繁栄」を目的として動いているモノだったことだ。

モノリスは猿に知恵を与え、磁場を発し、ボーマンに「地球を監視する役割」を与えた。

それを踏まえた上で、モノリスは一体何者なのか考えてみてほしい。

ハルはなぜ暴走したのか?

物語の中盤パート、宇宙船ディスカバリー号のボーマンとフランクを描く物語であるが、AIのハルの暴走によってボーマン以外の乗組員か死んでしまう描写がある。

これはなぜ起きたのか?

わかりやすいようにいくつかの前提を述べていく。

・ハルには、自分が完全無欠のAIであるプライドと「自我」が芽生えていた。

・ハルにだけ「月のモノリスと木星の関連性を調査する」「上記ミッションは乗組員に喋ってはならない」という2つのミッションが追加されていた。

まずは船内での会話のシーンがトリガーとなる。

ボーマンが自分の書いたスケッチをハルに見せている時、ハルから「個人的な質問がある」と言われる。

その内容は「なぜ月のモノリスについて喋ってはいけないのか?」を問うものだった。

ハルは「ボーマンはモノリスの存在を知っている」と思っていた。

ハルは「私は信じていないが…」と前置きした上でこの話をするが、ボーマンはモノリスの存在自体を知らなかった。

ハルはそこで、ボーマンが「こちら側の人間」でないことに気がつき、話を変えるために緊急的に「AE-35が72時間以内に故障する」というウソをつく。

しかしAE-35は壊れていなかった。

自我が芽生えたハルはAE-35が故障していないとわかりながら、「完全無欠の私が間違えるはずがない」という自己矛盾に陥る。

結果、「この事件を知る者が居なくなれば、私は間違っていなかったことになる」という結論を導き出すわけだ。

今でこそ当たり前となったAI、この物語には他人事とは思えない重みがある。

しかし映画は1960年代、その時代とは思えないほどのAI未来が予測された作品だ。