「オットーという男」ネタバレ感想と考察【どこにでも居る独居老人の半生を描く】

  • 2023年11月30日
  • 映画
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本記事は、映画「オットーという男」のネタバレを含んだ、感想と考察記事です。

鑑賞したことが無い方は、注意して読み進めてください。

「オットーという男」

2022年、マーク・フォースター監督によって制作された作品。

偏屈な独り身男性が地域住民と信頼関係を築いていく物語。

上映時間は126分。

あらすじ

舞台はアメリカのとある街。

独居老人として暮らす63歳のオットーは、「街の頑固者」として忌み嫌われていた。

妻を亡くし、生きる希望を失ったオットーは自殺を考えていたが、そんなある日、向かいの家に明るい家族、トミーとマルソルが引っ越してくる…。

出演役者

本作の主人公、オットーを演じるのが「トム・ハンクス」

 

オットーの妻であるソーニャを演じるのが「レイチェル・ケラー」

 

ご近所さんとして越してくるマリソルを演じるのが「マリアナ・トレビーニョ」

 

配信コンテンツ

「オットーという男」は今現在、Amazonプライム、等で配信されている。

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ネタバレ感想と考察

安定のトム・ハンクス演じるホームドラマ!

今回の作品は実はハリウッドリメイクの作品であったことは皆さんは知っているだろうか?

2015年のスウェーデン映画、「幸せなひとりぼっち」だ。

このハートフルなドラマをハリウッド版で演じきったのが安定のトム・ハンクスだ。

良くも悪くも彼が入ると、どの作品も「トム・ハンクスの映画」になってしまうのが面白い。

基本的にクセの強い初老男性を演じることが多い俳優だが、今回の脚本のキャラクターなのであれば、彼以外の人間は考えられないような作品だろう。

現代こそ必要な「ご近所付き合い」の核心

今回描かれる賃貸住宅スタイルの街並み、この手の一軒家は日本ではあまりないが、アメリカなどの海外ではポピュラーなものだ。

これ以外にも「ソーシャルアパート」と呼ばれる、賃貸アパートのコミュニティが密な賃貸もメジャーとなる。

日本よりも「ご近所付き合い」に献身的に取り組む場所での物語となる。

そして多民族国家として第一線を走るアメリカとあれば、まさにたくさんの「ご近所さん」が映画には登場する。

メキシコ人、黒人、そしてアジア系の人種、更にはトランジェスター、障害者までもが登場する物語なのだ。

そんな人間たちに感化されながら、自分のこれからを見つめ直していくオットー。

オットーの命を救っているのはまさしく、こんなご近所さん達なのは間違いない。




安心安定の設定に…一石を投じてみる。

安定のトム・ハンクスに感動するストーリー、映画としての評価もかなり高いものとなっていたが、そんな「安定」の中にも不満点は存在している。

今作のプロットを俯瞰してみると、「独居老人」を描く物語で、男性は仏頂面で頑固者…というよくあるキャラクターとなっていたが、なんとまあ「似た映画」の多いことか…。

2008年の「グラン・トリノ」、2016年の「グッド・ネイバー」など、色々な映画作品に、いつでも「独居老人」は一つのキャラクターとして組み込まれてきた。

こんな「よくあるストーリー」は確かに安定的に楽しめる作風ではあるが、「退屈である」という意見もわからなくもない筆者がいた。