普段から会社で働いている皆さんはあまり馴染みのない言葉だと思います。
そして、これから会社を辞める、辞めようとしている人に大きく関係する制度です。
今回は雇用保険、そして失業手当についてわかりやすく解説していきます。
◎この記事でわかること ・雇用保険、失業手当とはどのようなものか? ・失業手当が貰える条件。 ・失業手当はいつからいつまで貰える? ・失業手当はいくら貰えるの? ・雇用保険受給の知っておくべき、メリットとデメリット。 ・雇用保険完全マニュアル~失業手当を受け取るまでのすべて~
雇用保険、失業手当とはどのようなものか?
会社を辞めたけど、次の仕事がすぐに決まらない…。
お金はどうしようかな…。
「雇用保険」、またの名を「失業保険」と言います。
別物だと思われがちですが、呼び方が違うだけです。正式には「雇用保険」と言います。
◎雇用保険とは?
会社を退職した時、転職先が決まるまで国から一定の手当が支給される制度です。
金額は前職の収入に比例します。最低90日間~最高330日間まで月額で支給されます。
支給日数も勤続年数、年齢、退職理由、色々な要因で変わります。
会社に入った皆さんはもれなくこの「雇用保険」に自動的に加入することとなります。
そして…雇用保険により国から貰えるお金、これが「失業手当」と言います。
雇用保険は「お金が貰える制度の名前」 失業手当は「雇用保険により貰えるお金の名称」です。 この違いを覚えておいてくださいね。
是非とも手続きお願いします!
失業手当を受け取るには条件を満たしてからですよ。
失業手当が貰える条件。
Q.手当を貰う条件はどういう条件?
A.「会社を辞める理由」によって条件が変わってきます。
失業保険を受け取るには条件があります。
そして、その条件は「会社を辞めた理由」で変わってくるのです。
「会社を辞める理由」は大きく分けて3つあり、それぞれの「離職者の種類」に区分されます。
自己都合退社
起業したい、転職したい、仕事が面倒くさい…など、
個人的な都合で退職した場合がこれに該当します。
⇒一般離職者
会社都合退社
解雇(懲戒解雇は除く)、会社の倒産など、
自分の意志とは関係なく失業となる場合がこれに該当します。
⇒特定需給離職者
やむを得ない場合の自己都合退社
・雇用契約期間が満了し、更新されなかった。
・心身障害などにより業務ができなくなった。
・父・母の介護など、家庭事情が急変した。
・単身赴任者などでの家族との別居生活が困難になった。
・会社から出される希望退職の募集に応じた。
⇒特定理由離職者
「一般離職者」に区分されますね
「一般離職者」の失業手当が貰える条件はなんですか?
Q.離職理由はわかったけど、条件はどう違うの?
A.それぞれの「条件」に照らし合わせてみよう
自分の離職者区分がどこかわかったら、それぞれの条件に照らし合わせてみましょう。
一般離職者の条件
・離職の日以前の2年間に、雇用保険の被保険者であった期間が通算12カ月以上あったこと。
(1ヶ月とみなされるのは、働いた日数が11日以上ある月)
・就職しようとする積極的な意思があること。
特定需給離職者or特定理由離職者の条件
・離職の日以前の1年間に通算6カ月以上被保険者であったこと。
(1ヶ月とみなされるのは、働いた日数が11日以上ある月)
要するに、一般離職者に該当する場合、
月11日以上出勤する会社で、1年間働いていることが条件になります。
雇用保険の被保険者期間が1年以上あるか?ないか?です。
正社員として3年働いた僕は受給できますね!
Q.派遣社員やアルバイトの場合は雇用保険に入れるの?
A.条件を満たせば、関係なく入れます!
それでは「アルバイト」として働いても「雇用保険」に入れるのか?
答えは、正社員、派遣社員、アルバイト、関係なく「条件」を満たすことにより、
雇用保険に加入できます。
◎正社員以外の雇用保険加入条件 ・勤務開始時から最低31日間以上働く見込みがあること ・1週間あたり20時間以上働いていること ・学生ではないこと(例外あり) ※例外として定時制学校に通い昼間は働いている学生などがある。
以上の条件を満たしたうえで、「離職者の条件」も満たせば、
アルバイトでも「失業手当」は受け取ることができます。
失業手当はいつからいつまで貰える?
失業手当の受給期間も、先ほどの「会社を辞めた理由」で変わってきます。
Q.会社を辞めた後、失業手当はいつから貰える?
A.「待期期間」後に退職理由によって変わります。
退職後、失業手当の手続きをしてから、実際にお金が口座に入金されるまでの流れとして、
「待機期間」というものがあり、これは退職理由に関わらず「7日間」と決まっています。
その後、7日間の待期期間のあとも、失業手当を貰えるまでに期間が空きますが、
この期間が「会社を辞めた理由」によって変わってきます。
・それぞれの待期期間
自己都合の場合⇒待期期間7日間⇒3ヶ月の期間⇒手当給付開始
会社都合の場合⇒待期期間7日間⇒手当給付開始
7日間+3ヶ月待たなきゃお金が入らないんですね…。
Q.失業手当はいつまで貰えるの?
A.これも「退職理由」によって変わります。
失業手当は「日給計算」になり、振り込みは月に一回ありますが、
給付期間についても「退職理由」によって大幅に違いがあります。
下の表を参考にしてください。
給付日数は90日ですね。
・失業手当はいくら貰えるの?
手当の額には「退職理由」は干渉しません。
失業手当の計算式
失業手当の額は今まで貰っていた給料に比例してきます。
失業手当の合計は、手続きをした後に貰える「雇用保険受給資格者証」の赤枠内の、
基本手当当日額×所定給付日数で求めることができます。
基本手当当日額とは一日にもらえる失業手当の金額のことです。
所定給付日数90日と書いてありました!
この36万円を90日間で貰いきる計算になります!
基本手当当日額の計算式
給料に比例して決まる部分は基本手当当日額ですが、
どのような計算式で確定するのでしょう。
計算式 1、辞める前までの6カ月間の給与(賞与を除く)÷180 =賃金日額(一日あたりの平均賃金) 2、賃金日額×給付率=基本手当日額(一日当にもらえる失業手当の金額)
(15万×6ヶ月)÷180=5000円
給付率は何パーセントですか?
給付率の計算に関してはかなりややこしいです。
表を見て該当する「%の数値」を「給付率」に当てはめて計算してください
5000×80%(0.80)=4000円でした!
また、50~80%に該当する場合、さらにややこしい計算式があり、
0.8×賃金日額-0.3×{(賃金日額-5,010)÷7,320}×賃金日額=基本手当日額
という計算で基本手当日額を求めます。
雇用保険受給の知っておくべき、メリットとデメリット
「考えておくこと」があります。
失業手当を受給するにあたって、ひとつだけ「覚悟しておくこと」があります。
Q.失業手当のたった一つのデメリットとは?
A.失業手当を受給すると、今までの「雇用保険期間」がリセットされます!
失業手当を貰う条件を覚えていますか?
一般離職者の失業手当の受給条件
・離職の日以前の2年間に、雇用保険の被保険者であった期間が通算12カ月以上あったこと。
(1ヶ月とみなされるのは、働いた日数が11日以上ある月)
と、いうものがありましたね。
会社を辞めて、失業手当を受け取る(雇用保険を抜ける)と、
12か月以上あった雇用保険の加入期間がリセットされます。
⇒これにより何が起こるのか?
再就職して、その会社を何かの理由で1年以内に辞めると、次の失業手当は受け取れません!
またすぐ辞めたら、次は失業手当は貰えないのね…。
Q.失業手当を受け取らないメリットとは?
A.次の会社を万が一すぐに辞めた時、失業手当が受給できます!
退職し、失業手当を受給しなかった場合、雇用保険の加入期間はそこでストップしています。
退職後、「すぐに再就職する意思のある方」や「金銭的に余裕のある方」は、
一度考え直してみるべきでしょう。
実はお金にも余裕があるし、少しゆっくり考えてみようかな…。
失業手当を「貰わないでおく」場合の、最大の注意点
実は失業手当が勝手にリセットされてしまうことがあります。
雇用保険は、受け取らずに放っておくと退職日から1年でリセットされます。
一年以内に「再就職」をした場合、雇用保険の加入期間がリセットされずに再開します。
そして、
失業手当を貰っている最中に1年が過ぎると、失業手当が残っていてもそこで消滅します!
例題ストーリー
Aさんは「4月」に自己都合で会社を辞め、失業手当の給付日数は90日間でした。
お金に余裕があるAさんは失業手当を取っておこうと決め、
今までの貯金で「12月」まで仕事をせず遊びました。
そろそろお金が足りないから、失業手当を貰おうかな~。
Aさんはハローワークに行き、雇用保険の手続きをします。
これから待期期間の7日間を待ち、
それから3ヶ月後の3月に給付が始まります。
「12月」に手続きをして、そこから3ヶ月後の「3月」に給付がスタートします。
Aさんの給付日数は90日間(3ヶ月)です。
「4月」で1年が経過するので、3月分の手当は貰えますが、残りの2ヶ月分(60日分)は消滅してしまうのです。
どれだけ給付日数が残っていても退職日から1年で雇用保険はリセットされます。
自己都合退職の皆さんは、待期期間7日間+3ヶ月の期間を忘れないでください。
※ちなみに「会社都合退職」の皆さんは、待期期間7日間のみとなるので、
3ヶ月の待つ期間はありません。
雇用保険完全マニュアル~失業手当を受け取るまでのすべて~
雇用保険の手続きは、
退職後、ハローワークにて受給手続きを行ってくださいね。
雇用保険の手続き
退職後、本格的に雇用保険を受給する準備ができたら、ハローワークに行きましょう。
失業手当の手続きについては離職票1と2が必要です。
退職後、セットで送られてくるので一緒に持っていきましょう!
どこへ行けばいいの?
住んでいる市町村の管轄のハローワークで手続きをしましょう。
何を持っていけばいいの?
・離職票-1
・離職票-2
・マイナンバーがわかるもの(マイナンバーカード、住民票、通知書、等)
・印鑑
・証明写真(正面上半身、タテ3.0cm×ヨコ2.5cm)
・本人名義の預金通帳またはキャッシュカード(ここに失業手当が入金されます)
この3ヶ月後からは勝手にお金が入ってくるわけだね!
定期的にハローワークに「求職活動」をしに来ていただきますよ!
手続き後の流れ
自己都合退社の場合、手続きが済んでから3ヶ月の期間があると言いましたが、
3ヶ月間、家で待っていればいいわけではありません。
そして、失業手当を貰い続ける間もハローワークでの「求職活動」を行わなくてはなりません。
ハローワークには行かなきゃならないんですね…。
お気持ちはわかりますが…笑
雇用保険の手続きをしてから、失業手当を貰い終えるまでの間、
「認定日」の出席と、月2~3回の「求職活動」が必要となります。
失業手当の手続きからの流れを説明するとこうなります。
1、ハローワークで雇用保険の手続き 自己都合退職の皆さんは待期期間の7日後から約3ヶ月後、 会社都合退職の皆さんは待期期間の7日後から失業手当が振り込まれます。
↓(7日間の待期期間+数日間)
2、「雇用保険受給説明会」に出席する。 ここで「失業認定申請書」と「雇用保険受給資格者証」を受け取り、 月2回のハローワークでの「求職活動」がはじまります。 ※「雇用保険受給説明会」は1回分の求職活動としてカウントされます。
↓(手続きから4週間(28日間)後までに、もう1回「求職活動」をする。)
3、1回目の失業認定日に出席
ここで「失業認定申請書」に就活の内容を記入して提出します。
そして「2回目の失業認定日」が指定されます。
※この1回目の認定日、ハロワによって「求職活動1回分」とされる場所もあるようです。
↓(2回目の失業認定日は待期期間後から3ヶ月後。この間に、新たに3回の「就活」を行う。)
4、2回目の失業認定日に出席 ここで「失業認定申請書」に求職活動の内容を記入して提出します。 そして「3回目の失業認定日」が指定されます。
↓(5〜7日後)
5、手当の受給 2回目の認定日の5~7日後、指定の銀行口座に振り込まれます。
一体何回ハロワに行けばいいんですか?
例題で説明します!
例題ストーリー
3月いっぱいで自己都合退社をしたAさんは、
会社を辞めて4/1にハローワークに失業手当を受け取る手続きに来ました。
~4/1~(雇用保険の手続き)
雇用保険の手続きをお願いします!
ここから手続きの準備のため7日間の待期期間となります。
4/10に「雇用保険受給説明会」があるので、またいらしてください!
そして待期期間の7日間の間に就職した場合、失業手当は受け取れないので気をつけましょう。
~4/10~(雇用保険受給説明会)
「失業認定申請書」と「雇用保険受給資格者証」を配ります!
・失業認定申請書 認定日までに行ってきた求職活動の内容を記入し、提出するための書類です。 失業手当を受け取る求職者は、雇用保険受給説明会~1回目の認定日までに2回以上、 1回目の認定日~2回目の認定日までに3回以上の求職活動をすることが条件です。 その活動報告書が失業認定申請書になります。
・雇用保険受給資格者証 ハローワークで失業手当を受け取る資格を証明するものです。 この書類は失業保険の認定日には必ず必要になりますので、大切に保管してください。
求職活動はいつまでに、何回やればいいのかな?
次回の認定日は4/29になります!
それまでに2回の「求職活動」が必要ですが、
本日の説明会で1回分とカウントされます。
~4/15~(求職活動)
求職活動お疲れ様です!ハンコを押しておきますね。
~4/29~(1回目の認定日)
4/15に求職活動を行ったから、
失業認定申請書に4/15の活動内容を記入しておこう!
1回目は説明会、2回目は求職活動ですね。失業認定いたします!
4/8からの3ヶ月後なので、7/8です!
本日、この足で求職活動をしていけば残り2回になりますよ。
2回目の認定日に来ました!
5~7日後に失業手当が振り込まれます。
次回の認定日は4週間後の8/5なので、
それまでに2回以上の求職活動をしてくださいね。
次項では求職活動の内容について触れていきます。
求職活動の内容
それでは何を基準に「求職活動」扱いされるのでしょうか…?
明確に基準が決まっています。
求職活動実績として認められる活動 ・求人への応募 ・ハローワーク窓口での職業相談・職業紹介 ・許可・届出のある機関が行うセミナーの受講 ・再就職に必要な各種国家資格・検定等の受験 ・それ以外でも、「転職サイトからの応募」や「直接の電話による応募」も、 「求職活動」として認められる場合もあるようです。
主な「求職活動」に認められる活動はこの項目になります。
また、効率の良い求職活動実績作りとして、
認定日に認定を受けた後、そのまま職業相談を受けるのがオススメです。
2回のうちの1回目を初日に終わらせることができます。
「求職活動実績」として認められるに基準としては「ハンコが押されるかどうか」ですので、
必ず確認するようにしましょう。
なかなかややこしかったけど、少しは理解できたかな。
就活頑張ってくださいね!
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