「チェルノブイリ・ハート」
2003年、マリアン・デレオ監督により制作されたドキュメンタリー映画。
チェルノブイリ原発事故の被害者のリアルを切り取るドキュメント。
原因不明の心臓疾患や放射線障害を総称して「チェルノブイリハート」と呼ばれたものが、
そのままタイトルとなった。
上映時間は60分。
あらすじ
今作の監督デレオは、アイルランド人の「アディ・ロシュ」と共に、ウクライナとベラルーシを訪れ、
原発事故被害のリアルをカメラに納め、映画にすることを決意した。
アディ・ロシュはチェルノブイリ原発事故の被害を受ける子供達の為に設立された、
「CCPI (Chernobyl Children’s Project International)」を設立した人物としても有名で、
本作の内容は完全リアルドキュメントである。
見どころ①「国連総会でも上映された。原発事故被害の実態。」
本作の映画で語られることは紛れもない真実であり、ヤラセ要素は一切無い。
放射線の被害というものは、その場での肉体ダメージではなく、
被曝により後に発症する癌などの病気や、胎内に居る子供への影響に依存する。
映画で語られる「チェルノブイリ原発事故」は、
2020年現在も「世界最大の原発事故」として記録され、世界中に波紋を呼んだ事故であった。
※チェルノブイリ原発事故の影響で東京に降る雨からも放射線が検出されたほどである。
そんな被曝を受けた幼い命を撮っていくドキュメントであるが、
その悲惨な現状にあなたは戸惑いを隠せないだろう。
生まれてくる子供がみんな「五体満足ではない」という異常空間を、
まずは受け入れることからがこの映画の一歩目である。
ちなみに本作品は、2006年に国際連合総会でも上映された事がある。
見どころ②「デレオ監督の想い、日本に送られるメッセージ。」
今作の「チェルノブイリ・ハート」、
映画の冒頭で、デレオ監督からのメッセージが表記される。
それはとある詩人の遺した「詩」
この詩に詰まっている内容はこの映画で監督が伝えたいメッセージそのものであり、これは日本を中心として、世界へ放たれたメッセージでもあるのだ。
劇中の比較描写のひとつに「広島原発」が挙げられている。
チェルノブイリ原発はなんと広島原発の90倍の放射線量である。
そして物語の最後に放たれる「日本へのメッセージ」
広島原発に宛てられたメッセージであるが、
この数年後、東北大震災により、福島原発がメルトダウンすることになる。
核や原発など「放射線」に何かと関連の高い日本だからこそ、
思うところのある作品なのではないだろうか。
配信コンテンツ
そんな「チェルノブイリ・ハート」は今現在、
Amazonプライム、U-NEXT、等で配信されている。
原発というものの悲しさ、そして怖さを今一度考え直してみるにはとてもいい教材となるだろう。