本記事では、
前半で、映画紹介&見どころレビュー
後半で、ネタバレ解説&徹底考察を行います。
パパはわるものチャンピオン
2018年、藤村享平監督により公開された日本映画。
今作の原作となるのは何と「絵本」で、
2014年に、作・板橋雅弘、絵・吉田尚令により発行された絵本である。
悪役レスラーとして活躍する父と息子の絆を描いた作品。
上映時間は111分。
あらすじ
家で理容室を営む「大村家」の大黒柱である「大村孝志」は、
かつては人気と実力を兼ね備えたプロレス界のエースとして活躍していたが、
怪我や世代交代の影響で、今は悪役覆面レスラー・ゴキブリマスクとして、
観客からブーイングを浴びながらリングに上がる日々を送っていた。
孝志の一人息子である「祥太」に「パパの仕事は?」と聞かれても、
なかなか打ち明けられない日々が続いていた。
そんなある日、ひょんなことから祥太はプロレス観戦をすることとなる。
そしてリングには卑怯な手を使う「ゴキブリマスク」の姿があった…。
出演役者
本作の主人公である、父の大村孝志を演じるのは、
本物のプロレスラーである「棚橋弘至」
もう一人の主人公、一人息子の祥太を演じるのが「寺田心」である。
プロレスの熱狂的なファンである、大場ミチコを演じるのは「仲里依紗」
一世を風靡するチャンピオンレスラー、ドラゴンジョージを演じるのが、
「オカダ・カズチカ」
見どころ①「親子で観てほしい、父と子の家族愛が描かれる」
この世には色々な「家族」をテーマにした映画が存在するが、
その中でも今作の映画の脚本はなかなかに面白い。
家族間の愛情が描かれるのはもちろんだが、
その描かれ方が、今までには無いような、
何とも言えないもどかしい感情を引き立てる脚本となっている。
悪役レスラーの父、孝志の気持ち、
そしてその息子、祥太の気持ち、
二人の気持ちのやり取りこそが、今作最大の見どころだろう。
見どころ②「出演役者は…なんと、ほとんどがレスラー」
今作の主演を務めるのが「棚橋弘至」、
彼は「新日本プロレス」に所属する本物のレスラーである。
そして今作のキーマンとなる「ドラゴンジョージ」、
作中でのチャンピオンレスラーとなる人物だが、
それを演じる「オカダ・カズチカ」、
彼も新日本プロレスに所属するプロのレスラーである。
そして孝志の相方であるレスラー「ギンバエマスク」を演じる、
「田口隆祐」も、他のレスラーも、
通行人でさえも、女性と子供を除く役者のほとんどがレスラーである。
そんなプロレスファンなら垂涎ものであろう配役も、本作ならではのものである。
配信コンテンツ
「パパはわるものチャンピオン」は今現在、
Amazonプライム、dTV、等で配信されている。
「パパはわるものチャンピオン」単品の配信レンタルは300円で視聴できます。
ネタバレあらすじ
家で理容室を営む「大村家」の大黒柱である「大村孝志」は、
かつては人気と実力を兼ね備えたプロレス界のエースとして活躍していたが、
怪我や世代交代の影響で、今は悪役覆面レスラー・ゴキブリマスクとして、
観客からブーイングを浴びながらリングに上がる日々を送っていた。
孝志の一人息子である「祥太」に「パパの仕事は?」と聞かれても、
なかなか打ち明けられない日々が続いていた。
授業参観でも「お父さんについて」を上手に話すことができない祥太だった。
そんなある日、祥太はこっそり、孝志の跡を尾行する。
そこは何とプロレス会場であり、
実はプロレスが好きだったクラスメイトの「マナちゃん」と偶然出会い、
人気プロレスラーの「ドラゴンジョージ」の応援をすることになる。
そして、ドラゴンジョージの今日の相手として出てきたのは、
孝志扮する「ゴキブリマスク」
そして客席に居た祥太と、リング上の孝志はお互いの存在を確認する。
試合後、一目散に祥太の元を訪れる父、孝志だったが、
「悪者のパパなんて大っ嫌いだ!」と、言われ、途方に暮れるのであった。
後日、祥太はクラスで、父がプロレスラーであることがバレてしまい、
思わず「ドラゴンジョージ」の名前を口にしてしまう。
クラスの皆にサインをせがまれてしまうのだった。
一方、とある雑誌社の編集部には、プロレスオタクである「大場ミチコ」が居た。
彼女はかつてのレスラー「大村孝志」そして「ゴキブリマスク」の大ファンであり、
プロレスの記事を書くことを熱望していた。
「ドラゴンジョージ」のサインを求める祥太は、プロレスオタクの集まる飲食店で、
たまたまミチコと出会い、ミチコは祥太の父が大村孝志だと知る。
ミチコは「大村孝志」のサイン色紙と「ドラゴンジョージ」のサイン色紙を交換することを提案し、
祥太はこれを飲むのであった。
プロレス界では年に1度の大イベント「Z-1クライマックス」がやってくる。
日本一のプロレスラーを決める戦いになんと「ゴキブリマスク」がエントリーされるのだった。
クラスメイトのマナちゃん家族と「ドラゴンジョージ」の試合をに見に行くが、
同日に行われた「ゴキブリマスク」の試合に、複雑な感情を覚える祥太であった。
ゴキブリマスクは、その卑怯な戦法から、観客からの人気は低いのだった。
祥太は学校で、将来の夢を聞かれた際「普通のサラリーマンになる」と答えるほどに、
父が嫌いになっていた。
1回戦、2回戦と順調に勝ち進むゴキブリマスクであったが、
3回戦、試合中に卑怯な戦法を放棄し、おもむろにマスクを脱ぐゴキブリマスク。
マスクの中から登場する、当時のエースレスラー「大村孝志」の姿に、観客はどよめいた。
「大村孝志」時代の大技、「フライハイ」を繰り出すもあっさり敗れてしまう孝志であった。
その後、孝志はプロレスジムをクビになり、祥太は学校でイジめられるようになる。
プロレスを辞めると決意する孝志であったが、「ドラゴンジョージ」直々に戦ってみたい選手として指名される。
ミチコにも勇気づけられた祥太は、再び戦ってほしい気持ちを孝志にもぶつけ、
かくして「大村孝志VSドラゴンジョージ」のタイトルマッチが決定する。
そして試合当日、ドラゴンジョージの前に現れたのはあの「ゴキブリマスク」だった。
いつも以上に奮闘し、あの「フライハイ」も放ったゴキブリマスクだったが、
激闘の末、ゴキブリマスクは惜敗してしまう。
しかし、家に帰ると祥太の手作りのチャンピオンベルトがプレゼントされる。
そして祥太の「将来の夢」は書き換えられる。
そこには「大きくなったら、パパみたいなわるものになる」と書かれていた。
ネタバレ徹底考察
新日本プロレスのプロモーションムービーとしても機能する。
本作は映画でありながら、役者としてのキャスティングの殆どが、
「新日本プロレス」に所属するプロレスラーからキャスティングされている。
そして実際に、2019年のプロレス後楽園ホール大会では、
映画の世界観を再現したスペシャルマッチが行われるほどの盛り上がりを見せた。
新日本プロレス全面バックアップの元制作された今作、
プロレスファンは必見の作品となるだろう。
人気の秘訣は、プロレス愛×家族愛
今作の画映画ではテーマが複数存在する。
それは「プロレス愛」そして「家族愛」
「プロレス愛」では前述した通り、新日本プロレス全面バックアップの元、
制作された映画で、その点は折り紙付きであるが、
陰に隠れて、じわりじわりとほっこりさせてくれるもう一つのテーマが「家族愛」である。
このどちらのテーマもが強すぎず、上手く纏められた脚本が絶妙なバランスとなり、
映画として心地の良い演出となっただろう。
「父親」としての在り方を学ぶ。
かつてはヒーローレスラーだった男が、怪我をきっかけに「悪者」レスラーとなった。
過去の栄光や祥太の理解されない立ち位置に悩まされながらも、
最後はプロレスラーとしての誇り、一人の男としての誇り、
そして、父親としての誇りを持ってリングに立つ様はとてもかっこいい。
「プロレスは勝ち負けじゃない、生き様なんだよ!」
やはり子供は父親にかっこよくいてほしいものだということが痛いほど分かり、
同時に、父親の仕事に対する姿勢や思いも痛いほど分かる作品だった。
原作の絵本である「パパはわるものチャンピオン」も人気な作品である。