「日本沈没」ネタバレ感想と考察【パニック映画の金字塔】

本記事では、
前半で、映画紹介&見どころレビュー
後半で、ネタバレ解説&徹底考察を行います。

日本沈没

1973年、森谷司郎監督により制作された日本映画。

原作となる小説があり、

小松左京により同年の1973年に同名小説として発表されている。

当時「パニック映画」というジャンルに

精通していなかった日本が、

そのジャンルに切り込むきっかけとなった金字塔的作品。

上映時間は143分。

 

あらすじ

1970年代、小笠原諸島の北にある無名の小島が、

一夜にして海底に沈んだ。

地球物理学者の「田所雄介」は、

ただちに現地調査に赴く。

深海調査艇「わだつみ」の操艇者「小野寺俊夫」

海洋地質学者の「幸長」と共に日本海溝に潜った田所は、

海底を走る奇妙な亀裂と乱泥流を発見する。

これはゆくゆく、日本本土が海に沈没してしまう

ことを物語るだった。

 

出演役者

今作の主人公、

わだつみの操縦者「小野寺俊夫」を演じるのは

「藤岡弘」

 

地球物理学者の「田所雄介」を演じる

「小林桂樹」

 

日本の総理大臣「山本」を演じる

「丹波哲郎」

 

見どころ「日本が『災害映画』に切り込むきっかけとなった作品」

1973年当時、日本には「パニック映画」

というジャンルが確立できていなかった。

 

そんな最中、発表された今作だったが、

タイトル通りの「日本沈没」という

衝撃の出来事を描くと共に、

特殊撮影を用いて日本の災害を描いた

衝撃の作品となった。

 

1970年という時代背景で描かれる

日本を代表するパニック映画、

その圧巻の完成度が今作最大の見どころだろう。

 

配信コンテンツ

「日本沈没」は今現在、

Amazonプライム、等で配信されている。

Amazonプライム

ネタバレあらすじ

1970年代、小笠原諸島の北にある無名の小島が、

一夜にして海底に沈んだ。

地球物理学者の「田所雄介」は、

ただちに現地調査に赴く。

深海調査艇「わだつみ」操艇者の「小野寺俊夫」

海洋地質学者の「幸長」と共に日本海溝に潜った田所は、

海底を走る奇妙な亀裂と乱泥流を発見する。

これはゆくゆく、日本本土が海に沈没してしまう

ことを物語るだった。

この観測結果を日本の総理である「山本」の知らせるも、

事の重大さを受け止めているのは田所一派だけであった。

 

大半の人間が嘲笑する中、

政財界の黒幕である渡老人は田所の説に興味を抱き、

その説を検証するため、首相を呼びつけ、

極秘裏に「D-1計画」を計画し、資金調達をする。

 

そしてその計画により導き出された答えは、

「日本列島は最悪の場合2年以内に、

地殻変動で陸地のほとんどが海面下に沈没する」

というものだった。

 

小野寺はそんな矢先、

最愛の女性である「阿部玲子」と出会うことになる。

二人で海岸に居る最中、

今までに無いくらいの大規模地震が

日本を襲うのだった。

 

その地震での被害者は360万人にものぼり、

事の重大さに気が付いた日本は、

田所たちを信じ始めることとなる。

日本沈没は10か月以内に迫っていることが判明し、

ついに首相は、

日本沈没の危機が迫っていることを国会演説で発表するのだった。




日本は世界に助けを求め、

国連では「日本救済特別委員会」が設立され、

各国の首脳がそれに準じ、日本に手を差し伸べる。

各国との交渉が成立し「D-2計画」という

「日本人を全て国外に退避させる」という計画に着手する。

 

小野寺と玲子は仲を深めつつあったが、

玲子のいる地域が地震に見舞われ、

「スイスのジュネーヴで会う」という約束をすることとなった。

懸命に活動をする日本政府だったが、

その中でも、一個人として人々を助ける小野寺の働きは、

海外の雑誌に載るほどだった。

 

沈没が目前に迫った時、

渡老人と田所は

「日本で心中すること」を決意するのだった。

 

地球のどこか、

スイスのジュネーブに向かうため、

列車に揺られる玲子の姿があった。

そしてもう一方で、

ケガを負いながらも、

ジュネーブに向かうため、

列車に乗る小野崎の姿もあったのだった。

 

ネタバレ考察

日本に新風を巻き起こしたパニック映画

今でこそ数多く存在する

「災害」をモチーフにした映画であるが、

1970年当時、

まだ世界ではこうした作品は少なかった。

 

そんな最中発表された今作であったが、

日本のみならず、世界に衝撃を与える作品となった。

描かれるのは「崩壊」そのものであり、

これから先の「パニック映画」すべての

先駆けとなる作品だっただろう。

 

またTVドラマ、ラジオドラマ、

漫画にもなっていて、

2006年に映画リメイクされ、

2020年にもwebアニメとして公開されている。

CGが使われない時代に制作された映画

今作が制作されたのは1970年、

今から50年も前の映画である。

当時まだCGが使われておらず、

全ての災害シーンが「特殊撮影」が使われた。

 

ジオラマを使って撮影された災害シーンが数多く登場したが、

その完成度の高さには正直に驚く自分が居た。

 

CGを使わなくてもここまでの臨場感を再現でき、

危機感を覚えるような演出ができる、

日本の撮影技術の高さには本当に驚かされる。




「人情」よりも「災害」

昨今の「パニック映画」の全てで描かれる、

「ヒューマンストーリー」、

主人公が隕石と共に砕け散ったり、

仲間が主人公を守るために犠牲になったり、

あらゆるパニック映画で感動の描写が登場する。

 

しかし、こと今作に関して、

描写された内容は「災害」に注力した作品に感じた。

簡単な人物相関図は浮かび上がっても、

あまり「感動を誘う演出」としては利用されない脚本となった。

 

ここまでの「災害」に対しての想いと熱意、

脚本や金のかけ方を見せられると、

今作独特の臨場感やリアリティにも

頷くことができる完成度となっただろう。

 

今作の総制作費は5億円にも上り、

1973年に公開されたにも関わらず、

「作中の設定が1970年代」という、

危機感を煽る時代設定も

臨場感やリアル感に一役買って出た要因だろう。