「何者」ネタバレ感想と考察【就活を生き抜く5人の大学生】

本記事では、
前半で、映画紹介&見どころレビュー
後半で、ネタバレ解説&徹底考察を行います。

何者

2016年、三浦大輔監督により制作された日本映画。

朝井リョウの同名小説が原作となる。

これから社会に出ていく5人の大学生が、

「就活」を通して成長していくストーリー。

上映時間は97分。

あらすじ

舞台は日本、東京。

御山大学に通う「二宮拓人」は演劇サークルで、

大学生活を謳歌していたが、

「就活」を機に、サークルを引退する。

拓人の同居人である「神谷光太郎」

そして「田名部瑞月」と共に、

就活に励むこととなる。

 

ある日、拓人のマンションの上階に住む

「小早川理香」「宮本隆良」のカップルに出会う。

彼らも就活をする大学生であった。

5人の大学生は理香の部屋を「就活対策本部」とし、

「就活」の波にのまれていく。

出演役者

今作の主人公「二宮拓人」を演じるのが、

「佐藤健」

 

拓人の同居人でバンドマンの「神谷光太郎」を演じる

「菅田将暉」

 

二人の友達で光太郎の彼女である「田名部瑞月」を演じる

「有村架純」

 

拓人の部屋の上階に住む「小早川理香」を演じるのが

「二階堂ふみ」

 

 

理香の彼氏で、同棲している「宮本隆良」を演じるのが

「岡田将生」

 

拓人のサークルの先輩である「サワ先輩」を演じる

「山田孝之」

 

見どころ「就活やSNSにスポットライトを当てた現代的作品」

今作の映画、

「桐島、部活辞めるってよ」などの小説でもお馴染みの

「朝井リョウ」が原作となる映画である。

彼独特の世界観は、今作でも存分に発揮され、

今回スポットライトを浴びたのは、

大学生の「就活」そして「SNS」だった。

 

大学生の誰もがぶち当たる大きな山場が

現代的に描かれた作品であり、

今までとは一風変わった、新しい青春映画として

観衆を引き付ける作品だった。

 

「就活」の渦中にいる、5人の大学生の

人情物語こそが最大の見どころだろう。

 

また、今作では主役となる役者の全てが、

実力派の名役者であることも期待ができる作品だった。

 

配信コンテンツ

「何者」は今現在、

Amazonプライム、NETFLIX、U-NEXT、Hulu、等で配信されている。

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ネタバレあらすじ

舞台は日本、東京。

御山大学に通う「二宮拓人」は演劇サークルで、

大学生活を謳歌していたが、

「就活」を機に、サークルを引退する。

同じ演劇サークルの仲間であった「烏丸ギンジ」は、

サークル内で拓人と意気投合するも、

ギンジは就職はしなかった。

ギンジは「演劇で食べていく」ことを決意し、

大学を去るが、

独特の観察眼を持ち、何事にも「分析」が得意な

拓人はこれを、「上手くいかない」と冷笑するのだった。

 

そして拓人の同居人である「神谷光太郎」

彼もまた軽音楽サークルで大学生活を謳歌していたが、

卒業ライブを機に引退し、就活をすることとなった。

二人の友達であり、光太郎の彼女である「田名部瑞月」

三人で情報交換をしながら「就活」を始めることとなる。

 

また拓人は瑞月に対して恋心を抱いていたが、

光太郎の彼女でありながらも、

諦めきれない自分が居たのだった。

 

ある日、拓人のマンションの上階に住む

「小早川理香」「宮本隆良」のカップルに出会う。

理香は留学も経験し、意識の高い就職活動をするも

その成果は出せずにいた。

一方の隆良は、就職活動に批判的な意見を持っていた。

就職活動をしないと謳うも、

その焦りから、隠れて就職活動していたのだった。

 

5人の大学生は理香の部屋を「就活対策本部」とし、

情報交換などのメリットを考え、

これから活動していくこととなったのだった。

 

各々が悩みながら就職活動をする中、

拓人は夢を捨てきれず「演劇」に関係する職場での就職を望んでいた。

就活に対して熱心な理香の姿や、

逆に就職に対して無関心な隆良の姿を見て、

何かを考える拓人であった。

 

ある日拓人は面接会場で、たまたま瑞月と出会う。

そこで二人はこっそり面接を受ける隆良を目撃し、

面接に遅刻しそうになる理香の姿も目撃する。

 

瑞月は拓人に「なぜ光太郎は出版社ばかりを受けているのか」

という疑問を投げかけるが、

拓人もその答えを知らなかった。

 

ある日、5人はいつものように理香の部屋に集まる。

理香の部屋のプリンターを使わせてもらおうとするも、

「不採用」の通知が届くデスクトップを見せることを

嫌がった理香は、使うまでに時間を置かせるのだった。

 

理香は就活の手段として、

TwitterやFacebookのアカウントを使うことを提唱し、

「メールアドレスからアカウントを検索できること」を、

皆に教える。

時を同じくして、光太郎にも面接結果の電話がかかってくるも、

「不採用」となってしまうのだった。




ある日、大学でばったり隆良と出会う。

そこに拓人の先輩である「サワ先輩」も来る。

「ギンジと隆良は同じレベルの人間」だ、とボヤく拓人に、

「おまえはもっと想像力がある奴だと思っていた」と、

幻滅され、唖然と立ち尽くしてしまう拓人であった。

 

5人で就活を続けるある日、

とうとう瑞月が大手企業「全日通信」に内定を貰う。

ところが、「就職」というものに

否定的な意見を述べる隆良に

瑞月が反発し、口論となってしまう。

 

その後、光太郎も無事に「総文書院」に内定を貰い、

お祝いパーティーを行うも、

就職が決まらない拓人は焦りを隠せなくなる。

 

ある日、理香の部屋で拓人が作業していると、

二人はお互いのPCとスマホを見ることとなる。

理香のPSには

「全日通信 ブラック」との検索履歴が、

拓人のスマホには

「総文書院 2ちゃんねる 評判」との履歴が残っていた。

 

二人の秘密をお互いに知るも、

理香は拓人のもう一つの秘密を本人に暴露する。

 

拓人はTwitterの裏アカウントを所持し、

事あるごとに仲間たちの愚痴をツイートしていた。

拓人のメールアドレスから

理香はアカウントを見つけ出したのだった。

そのアカウント名は「何者」だった。

 

その時、タイミング隆良が帰宅し、

改心し「就活をすること」を宣言する。

「拓人は就活二年目だから色々教えてほしい」と、

声をかけるも、

無視して部屋を出ていく拓人であった。

 

走って瑞月の元に向かう拓人、

 

瑞月の元にたどり着くと、

彼女は拓人の裏アカウントの

ツイートを読んでいる最中だった。

無言で佇む拓人に

「演劇の脚本を書いている拓人がキラキラしていた」

と伝える瑞月だった。

 

後日、拓人はとある企業の面接に臨む。

「一分間で自分をアピールしてください」

の問いに、

自身の過ちを懺悔するように話すも、

途中で「とても一分間では話し切れません」と答える拓人だった。

 

 

ネタバレ考察

日本の「就活」のリアルを描く、社会派作品。

今作は名だたる役者陣が勢揃いし、

活躍する青春映画だと思われがちだが、

フタを開けてみると、

本筋は想像と全く違ったものとなっていた。

 

今作で描かれるのは、

現代の大学生の就活をメインとし、

それに「SNS」を駆使し描かれた

社会派映画となったのだ。

 

就活の経験から感じる、

色々な人々の思想や考え方、人間性、

どれもがリアルに存在しているであろう人々であり、

昔の自分のことを思い浮かべた人も

多いであろう。

 

また一見まともな主人公「拓人」の

SNSでの変わりよう。

今現在、こんなアカウントを所持している人も多数居るだろう。

そんな些細であるが奥深い、

「SNSあるある」を見事にオチに持っていき、

「衝撃の結末」のストーリーを描いた

原作者、朝井リョウの才能に拍手の作品である。

全員有名、そのキャスティングセンス

今作の映画のキャスティングについて、

本作ほどに、

今が旬となる有名役者で固められた

映画はなかなか存在しないだろう。

 

名優「山田孝之」

アーティストとしても活動する

「菅田将暉」など、

メインカルチャーを愛する人、

そしてサブカルチャーを愛する人、

そのどちらにも見てもらえる

作品を描けたのは、見事だった。




「就活」というテーマは人間性の闇を引き出すツールとなった。

劇中で語られる「就活」や「SNS」

ぼくはこれらに対して、

今作の真のテーマである、

「人間のドス黒さ」を引き出すための

ツールにすぎなかったという印象を持った。

 

今作で本来伝えたいことは、

「就職の過酷さ」「SNSの闇」などではない。

本来の人間が抱えているであろう

「闇」の部分に切り込んでいるのだ。

 

主人公の拓人が、それを代弁するかのように、

冷静を装い、闇を振りまいているが、

反面、理香のような「意識高い系」を見て、

拓人の気持ちがわかってしまうような人々も多かっただろう。

 

今作はそんな「ポジティブ人間」に対しての

アンチテーゼ作品としても捉えられると同時に、

「ネガティブ人間」の闇を暴く作品としても機能している。

 

どちらが悪いわけでもない。

そんな人々の人間性を描くのに

「就活」や「SNS」、「大学生」といった、

トレンドワードを用いたことが

今作の成功の秘訣となっただろう。

秀逸なBGMと名だたる参加アーティスト

今作の主題歌は、

あの「中田ヤスタカ」そして「米津玄師」による

コラボ楽曲が起用された。

 

劇中の挿入歌も中田ヤスタカによるもので、

映画の世界観に合った、

秀逸なBGMも成功の秘訣となっただろう。

 

また、日本のロックシーンにおいても

活躍を重ねる「菅田将暉」が演じたバンドシーンは

全てリアルのもので、

楽曲は日本のロックバンド

「忘れらんねえよ」が提供した楽曲となった。