本記事は、映画「インセプション」の
ネタバレを含んだ、感想と考察記事です。
鑑賞したことが無い方は、
注意して読み進めてください。
インセプション
2010年、
クリストファー・ノーラン監督によって
制作された、SFアクション作品。
夢の中を舞台に繰り広げられる「アイデア」を盗む物語。
上映時間は148分。
あらすじ
一人の男「コブ」は、
大企業の社長「サイトー」と
食事をしていた。
サイトーの持つ「アイデア」を盗むために、
サイトーの夢の中に入り込み、金庫を開け、
真実を盗もうとするコブとアーサー。
「夢」の中でさらに「夢」を見せる、
「二階層」の技を駆使するも、
失敗に終わるのであった。
その後サイトーから、
逆にとある仕事を持ちかけられる。
これを請け負ったコブとアーサーは仲間を集めて、
一世一代の夢の中の夢の中の夢である
「三階層」へ挑むのだった。
出演役者
本作の主人公「ドム・コブ」を演じるのが
「レオナルド・ディカプリオ」
言わずと知れた超有名俳優。
本作では、圧巻の演技で主人公コブを演じている。
ドムの妻である「モル」を演じる
「マリオン・コティアール」
こちらも数々の有名策に出演するフランスの女優で、
「エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜」や「サンドラの週末」
「ミッドナイト・イン・パリ」など、
名だたる名画の数々にも出演している。
また、ノーラン監督の別作品、
「ダークナイト・ライジング」にも出演している。
大企業の社長「サイトー」を演じるのが
「渡辺謙」
こちらも日本人であれば知らない人はいないほどの
超有名俳優。
そして、彼もまた、
ノーラン監督の「バットマン」シリーズでも
出演している。
コブの相棒「アーサー」を演じるのが
「ジョセフ・ゴードン=レヴィット」
ユダヤの血を引くアメリカの俳優で、
ここ数年間で、
名前を聞くことが多くなった俳優である。
数々の有名作品に出演しているが、
またまた彼も、ノーラン監督の
「バットマンシリーズ」に出演している。
本作のキャストは
そのまま「バットマン」にキャストと
考えてもいいだろう。
配信コンテンツ
「インセプション」は今現在、
Amazonプライム、Netflix、U-NEXT、Hulu、等で配信されている。
ネタバレあらすじ
- ネタバレあらすじを読む
- 一人の男「コブ」は、大企業の社長「サイトー」と
食事をしていた。
サイトーの持つ「アイデア」を盗むために、
サイトーの夢の中に入り込み、
金庫を開け、真実を盗もうとするコブとアーサー。
「夢」の中でさらに「夢」を見せる、
「二階層」の技を駆使するも、
失敗に終わるのであった。
その後サイトーから、
逆にとある仕事を持ちかけられる。
標的は大企業の御曹司「ロバート」
父の会社を受け継ぐロバートに
経営破綻させ、会社を潰すことがサイトーの目的だった。
犯罪者として国外追放を余儀なくされ、
子供に会えなかったコブは、
コブの犯罪歴を抹消することを条件に
サイトーの頼みを聞き入れることとなる。
これを請け負ったコブとアーサーは仲間を集めて、
一世一代の、夢の中の夢の中の夢である
「三階層」へ挑むのだった。
「第三層」への潜入のため、
「インセプション」のための精鋭を揃えることとなる
コブとアーサー、そしてサイトー。
夢の世界の創造のため、
表現力の才能があった「アリアドネ」
夢の中の偽造師「イームス」
強力な鎮静剤の調合師「ユスフ」を仲間に引き入れ、
6人での計画を決行するのだった。
幾度となく予行演習を行ううちに、
コブの過去に興味を抱くアリアドネ。
コブの夢の中に潜入し、
そこで亡き妻のモル・コブを
閉じ込めていたことを知る
アリアドネだった。
いよいよロバートの父、
「モーリス・フィッシャー」が亡くなり、
計画が決行させる時が訪れる。
ロバートの乗る飛行機に6人も乗り込み、
5人と共にユスフの夢をベースに、
インセプションを決行する。
「一階層」は雨のロサンゼルス。
タクシーに乗り込み、
ロバートを拉致するが、
数々の邪魔を受けることとなる。
なんとロバートは
「アイデア」を奪われないために、
夢を「武装」していることを知るのだった。
計画通り二階層に落ちる5人、
一階層の夢にはユスフが残るのだった。
第二階層のアーサーの夢である
ホテルに降り立つ5人であったが、
偽造師イームスは美女に化けて
ロバートを誘惑し、
コブと接触させることに成功させる。
コブはロバートに
「ここが夢の中であること」を
あえて伝える作戦に出るのだった。
ロバートを監禁することに成功したコブは、
「アイデア」の在り処を示す金庫の
暗証番号を聞き出そうとするが、
「知らない」の一点張りを続けるロバート、
コブを味方と信じたロバートは、
率先して第三階層に入ることを望み、
アーサーが残って、5人は
イームスの夢の中に入る。
一方で一階層、
ユスフはロサンゼルスの夢の中で、
武装集団に追われ続けていた為、
不安定な重力が、
二階層のアーサーの夢まで届くこととなる。
無重力の中、武装集団から、
眠る5人を守り抜くアーサーだった。
第三階層は雪山の病院。
イームスは囮として武装集団を引きつけ、
その間にサイトーがロバートを伴って病院に潜入し、
コブとアリアドネが護衛する。
一階層でのユスフの運転する車は橋から飛び降り、
その衝撃で
二階層のアーサーも吹き飛ばされ、
第三階層では雪崩が起きることとなる。
負傷しているサイトーを伴って、
ロバートは金庫に入ることに成功するが、
直前でコブの夢が作り出したモルが現れ、
ロバートを殺したために、
モルを射殺するのだが
ロバートは虚無に落ちてしまう。
作戦の失敗を謝罪するコブに、
アリアドネは一緒に虚無に落ちて、
ロバートを救うことを提案する。
コブとアリアドネは
廃墟が崩れる海岸で目覚める。
そこはコブが亡き妻のモルと
愛し合っていた時に共に作った
思い出の場所が詰まった世界であった。
コブとアリアドネは、
第三階層で射殺したモルと出会う。
モルはコブに虚無に残ってほしいと頼み、
コブはアリアドネに
過去に戻りたくないと言ったモルに対して、
インセプションした過去を語る。
タイムリミットが迫る中、
コブをナイフで襲ったモルを
アリアドネは射殺し、
ロバートを見つけて
高層階から突き落とすのだった。
第二階層、
皆が三階層から戻る準備を進めるが、
一階層の無重力が影響し、
ホテルのフロアごと爆破して
衝撃で5人を起こす作戦は使えなくなった。
アーサーは5人をまとめて
エレベーターに乗せ、爆発させ、
その衝撃で一階層に送ることを
考えるのだった。
第三階層では、
サイトーが武装集団を引きつけていたが、
力尽きて亡くなってしまう。
イームスが与えた電気ショックで
蘇生に成功しロバートは生き返り、
ロバートは金庫を開けて
死ぬ間際の父モーリス・フィッシャーと
対面して、遺言を得る。
インセプションが成功したのを見届けて、
イームスは第三階層の病院ごと爆破する。
いまだモルに翻弄されるコブに
アリアドネは戻ろうと懇願するが、
コブは虚無にサイトーも落ちてくるからと、
彼を助けることを選ぶコブ。
先にアリアドネだけが
三階層の病院に戻り、
病院の爆破で第二階層のホテルに戻る。
アーサーはエレベーターに5人を乗せて
爆破し、衝撃を与える。
一階層、
車が水面に着水する衝撃で、
アーサー、アリアドネ、ブラウニングに
変装したイームス、
ロバートが目覚めて、
川に沈む車から脱出する。
冒頭のコブと、
年老いたサイトーが食事をするシーンに戻り、
虚無の世界で年月が経ったのが分かる。
コブはサイトーにアイディアについて語り、サイトーに自殺を勧め、
やがてコブ、サイトー、アーサー、
アリアドネ、イームス、ユスフ、
ロバート全員が
現実の飛行機の中で目覚めるのだった。
コブはアメリカへの入国審査を
パスすることができ、
無事にアメリカの地を踏むことができる。
コブは自宅にたどり着き、
子供たちと再会するが、
その時に「ここが夢の中かどうか?」を調べる、
トーテムのコマで現実か夢なのかを探ろうとする。
コマが止まれば、ここは現実であったが、
駒は回ったまま物語は終わるのだった。
ネタバレ感想と考察
入り組みすぎた脚本と壮大すぎるアクションに魅せられる
「メメント」や「インターステラー」でも
独自の世界観を発揮している
クリストファー・ノーラン監督の作品の一つである今作、
あの「レオナルド・ディカプリオ」を初めとする、
名役者たちのキャスティングもあり、
公開当初は多大なる期待が寄せられた
作品となったが、
その期待を裏切ることの無い、
濃厚なSFアクション作品へと仕上がった。
日常の中に「非日常」を感じさせ、
伏線を張り巡らせた壮大な脚本に定評のある
クリストファー監督の代表作の一つとして、
今も尚語り継がれる作品となっている。
今回描かれたのは「夢の中」
主人公達が他人の潜在意識の中に入り込み
「アイデア」を盗む、という、
常人では考えつくことの無い
ぶっ飛んだ脚本は、
彼の作風の得意とする、
壮大なスケールの作風に
ガッツリハマるものとなった。
「夢の中の夢の中の夢」という、
鑑賞者を思考の渦に巻き込む
入り組んだその脚本こそが
本作最大の魅力だろう。
脚本のルーツは日本のアニメ映画!?
映画史にも残るほどの、
複雑すぎる脚本が練られている今回の作品で、
クリストファー・ノーラン監督は
今作における構想を20年以上も練り続け
満を持して世に放たれることとなった。
そのルーツとしていくつかの作品から
着想を得ているとされる。
アルゼンチンの作家、
ホルヘ・ルイス・ボルヘスの作品「伝奇集」
映画では「マトリックス」「ダークシティ」
「13F」など、
SFに重きが置かれた作品の元となった。
また今敏監督の
日本のアニメ映画「パプリカ」も
作品に大きな影響をもたらしていることを
クリストファー監督自身が言及している。
クリストファー監督自身の着想に加え、
数々の作品を彼なりに昇華した形が、
今作の作品の綿密な脚本の
大動脈と言えるだろう。
難解な脚本で展開される数々の用語。
今回の作品では
オリジナルすぎる設定が故に、
今までは聞いたことがないような用語が
多数出てくることとなる。
まずは他人の「夢(潜在意識)」に
入り込み、「アイデアを盗むこと」
これが「エクストラクション」と呼ばれる。
そして「アイデアを植え付けること」
これが「インセプション」である。
主人公達はこれらの行為を行うために、
「ドリームマシン」と呼ばれる
機械に繋がり、
鎮静剤等を用いて夢の中に入る…
という設定であるが…
これがとにかく複雑且つ難解な設定であり、
本作を鑑賞する鑑賞者たちを惑わせる
一つの門の役割を果たしているだろう。
また、夢の中から帰ることを「キック」と
呼んだり、「ここが夢の中ではない」と、
理性を保つアイテム「トーテム」など、
他の映画では見る事の無い造語が
数々飛び出す世界観で描かれるのだ。
ラストのコマの謎について。
今作のインセプションのラストでは
コブのトーテムである「コマ」が
回り続けて終わるという結末であったが、
一見すると「もしかして…まだ夢の中なのでは?」
とも思えるような終わり方となっていた。
これに対しては、
クリストファー監督自身から
明確な答えが出ていると言われている。
監督は「コマは最後に倒れる」と
名言しているのだ。
それではなぜ、
コマが回っている描写のまま
映画の幕が降りたのか?
という問題に起因してくると思うが、
監督自身はコブが「コマ」ではなく
「子供たち」に注目していることが
重要であると述べるのだった。
夢の中であろうと無かろうと、
その場所にコブ自身の子供たちが
居ることが重要である
という演出となっているのだ。
二度目三度目が楽しい、生粋のスルメ映画。
今回の作品、上映時間は148分であり、
数ある映画の中でも
かなり長い部類の作品である。
クリストファー監督のその他の作品、
「インターステラー」や「メメント」も
同じくボリューミーな上映時間且つ、
複雑な内容の含まれた作品であるが、
彼の描く作品には二度目、三度目が
より一層面白く感じる
トリックが仕掛けてあるのだ。
その伏線の多さや、考察のしがいのある脚本、
観れば観るほどに
違う観点からの鑑賞ができ
面白い点が新たに見つかる。
「インセプション」だけではなく、
クリストファー監督自身の描く作品、
全てにおいて見所となる点であるだろう。