「プラットフォーム」のネタバレ感想と考察【残飯を食べなきゃ餓死する世界…】

  • 2021年7月11日
  • 2021年9月8日
  • 映画
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本記事は、映画「プラットフォーム」のネタバレを含んだ感想と考察記事です。

鑑賞したことが無い方注意して読み進めてください。

プラットフォーム

2019年、ガルダー・ガステル=ウルティア監督によって制作されたスペイン作品。

とある特殊な収容施設で巻き起こる食べ物を巡るシュチュエーションスリラー映画であり、「R15指定」の作品である。

上映時間は94分。

あらすじ

舞台はスペイン、重度のヘビースモーカーであった中年男のゴレンは、禁煙を成功させるためにカウンセリングを受け、自らの意思でとある施設に入る。

施設での生活がはじまるが、そこでは驚愕のルールが定められていた。

そのルールとは、部屋の真ん中に穴があいた階層が遥か下の方にまで伸びる塔のような建物の中で、上の階層からその穴に食物が巨大な台座に乗って運ばれてくるというものだった。

一日一回の食事で、上の階層の人々に食い荒らされた食物は、残飯同然のものであった…。

出演役者

本作の主人公、重度のニコチン中毒を患うゴレンを演じるのが「イバン・マサゲ」

スペインの俳優であるが、本作以外の作品には出演していない役者であった。

 

そしてゴレンの「同居人」となるトリマガシを演じるのが「ソリオン・エギレオール」

本作のキーキャラクターを演じているにも関わらず、「俳優」としてのソリオンすらも検索でヒットしなかった。
もちろん、他の映画作品には出演していない。

 

ゴレンの2人目の同居人となるイモギリを演じるのが「アンサント・サン・フアン」

御歳60歳にもなるスペインの女優であり、スペインでは有名な女優であるようだ。

ネタバレ感想と考察

人間の本質に切り込む斬新な作風!

本映画のあらすじについて、箇条書きで文面に表すにはいささか難解な内容であることは周知の事実だろう。

縦に伸びる階層式の収容施設で食べ物が降りてくる…??

言葉だけでは表すのが非常に難しい脚本である。

ところがどっこい本作を鑑賞してみると、物語が進むにつれて人間の理性や本質が問われるような奥深さを持った作品であることがわかってくるだろう。

人間が持つ三大欲求の一つ、「食欲」のみをプロットとして織り成される物語は残酷に鑑賞者の心をえぐっていく…。

下層に進むにつれて無くなっていく食料に、その下層に住む者には「食料が残っていない」という残酷な現実が突きつけられる。

ここから先は本作の抱える「設定」が影響する重要なテーマについて語る。

「聖書」の内容を踏襲した作風だった。

本映画の内容を紐解いてみると、人間の抱える欲求の物語に聖書の内容がリンクして物語が進んでいることがわかるだろう。

まずは主人公のゴレン、彼の見た目がキリストに似ているところからこの要素は始まっている。

そしてそのゴレンが最初に出会う男「トリマガシ」、彼の存在こそが本作を聖書にリンクさせる最大のプロットとなっていた。

彼は度々、ゴレンを「食人」という誘惑に誘う悪魔のような存在として描かれているが、これがキリストと堕天使の関係にリンクして描かれている。

さらに作中でも、実際に「ヨハネによる福音書」からの抜粋がセリフとしてある直接的な表現もある。

「人の子の肉を食べず,その血を飲まない限り,自分の内に命を持てません。
私の肉を食べ,私の血を飲む人は永遠の命を受け,私はその人を終わりの日に復活させます。
私の肉は真の食物,私の血は真の飲み物です。
私の肉を食べ,私の血を飲む人は,ずっと私と結び付いており,私もその人と結び付いています。」

そして2人目の同居人であるイモギリという女性が連れていた犬の名前が「ラムレス二世」であったこと。

ラムレス二世は実在していたとされ、エジプト各地に神を信仰した数多くの巨大建造物を築き上げたファラオとしての存在だった。

「聖書」との関連性は不明であるが、「宗教的作風」という観点から、本作の物語と何かしら関連があったであろうことは一目瞭然となっていた。

更に、3人目の同居人となるバハラット、彼自身「聖職者」という肩書きのキャラクターであり、本映画の中でも「正義のキャラクター」としての立ち位置を全うしていた。

ここで注目したいのが、ゴレンとバハラットの食事中のやり取りである。

ゴレンはバハラットに一つのリンゴを投げ、バハラットはこれを一口齧るシーンがある。

旧約聖書におけるリンゴの存在は「禁断の果実」とされ、これを食すことによってエデンの園から追放されるアダムとイブは、そのままゴレンとバハラットの姿に重ねることができる。

また、最下層で女の子を上階に送るシーンでは、女の子を「メシア」とリンクさせていたり、最下層が333層であることから666人の人間が施設内に居ることがわかったりと、物語の最初から最後まで何かしらの宗教的作品とリンクしたものだったことがわかる。




収容されている人々の正体とは…??

本作で描かれる述べ666人の人間は、それぞれ違う境遇を抱えてこの施設にやってきた。

最初の同居人となるトリマガシは「殺人」の罪によってこの施設に送られてきた人間であったり、2人目のイモギリはこの施設で働いていた元従業員であったりと、「刑務所」以外の役割も担う施設であったことがわかるだろう。

かく言う主人公も、自身の抱えるニコチン中毒を克服するための入所であったりと、犯罪者だけのための施設でなく、個人が望んでの入所も可能な施設であることがわかる。

これらの人間、いずれもがバラバラな境遇を抱えて入所しているように見えて、実はある一つの共通点がある。

それは「何かしらの背徳を抱えて入ってきていた」ということである。

殺人などの罪を犯した者はもちろんのこと、何も知らずに施設に人を送り続けていたというイモギリや、聖職者としての立場であったバハラットなどは自身に何かしらの贖罪の意味合いを持って入所していたことが考えられる。

主人公を含めた上記で挙げた人物たちも、作中において唯一「食人」に手を染めなかった人物たちであり、「聖書」を引用した本作の脚本ともマッチするところからも考察の一つとして有り得る説である。

ミハルの存在の謎とは…!?

本作に度々登場する女性「ミハル」

月に一回、上階から降りてきては数々な残虐行為を繰り返す女性であったが、本作の大きな謎として残るのが彼女の謎と存在意義の疑問である。

「自分の子供を探している」という設定の彼女であったが、2人目の同居人となったイモギリは元組織内部の人間であり、そんな彼女が「16歳以下は入所できない」旨を語っている。

それではなぜ彼女は自分の子供が居ると思っていたのか?

その答えこそが、「施設内部で子供を作った」と考えるほか無いだろう。

物語の最後、最後の333階層のにて実際に少女に会うこととなるゴレンとバハラットであるが、この少女こそがミハルの子供であると予測できる。

そしてここにこそミハルが毎月行う謎の行為の秘密が隠されている。

ミハルは毎月、最下層の娘に「食料」を届けていたと考えられる。

その食料が「食べ物」か?「人」か?言及されてはいないが、その食料を届けるために毎月、最下層にミハルは降りていたのだ。

如何せん、多くの謎が残されたまま終わっていく本作、これ以外にも行動や演出に対しての多くの矛盾や「ツッコミどころ」が残ってしまうが、そんな数々の仕掛けからここまでの考察をさせてくれる脚本の深さに、よく練り込まれたクオリティの高さを感じる作品だった。

今ではかなり有名となった「キューブ」に負けず劣らずの考察要素に、これからのシチュエーションスリラー作品を牽引していくような魅力が詰まった作品と言えるだろう。

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