「グラウンド・デス」ネタバレ感想と考察【トンネル工事で生き埋めになる3人の男女…】

  • 2023年10月29日
  • 2023年10月29日
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本記事は、映画「グラウンド・デス」のタバレを含んだ、感想と考察記事です。

鑑賞したことが無い方は、注意して読み進めてください。

「グラウンド・デス」

2018年、ラスマス・クロスター・ブロ監督によって制作されたデンマークの映画。

地下トンネルに取り残された男女のシチュエーションスリラー。

上映時間は88分。

あらすじ

舞台はコペンハーゲン。

地下鉄を作る一大プロジェクトが進む中、そんな現場のPR記者として、リーは現場の人間にインタビューを行う。

地下20mで行われる過酷な現場作業を取材する中で、なんとトンネル火災に見舞われてしまう…。

出演役者

本作の主人公、リーを演じるのが「クリスティーン・ソーンデリス」

 

ベテラン現場作業員、イーヴォを演じるのが「クレシミル・ミキッチ」

 

出稼ぎ労働者のバランを演じるのが「サルヴァトーレ・ストリアノ」

 

配信コンテンツ

「グラウンド・デス」は今現在、Amazonプライム、等で配信されている。

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ネタバレ感想と考察

現場の苦労を知らないホワイトカラーの構図。

今回の作品、完全なるシチュエーションスリラーとして描かれてはいるが、実の所「思っていたよりも凝った脚本」であったのは間違いないだろう。

まずは、事故が起きるまでの人間相関図を整理してみよう。

①リーは「コペンハーゲン地下鉄プロジェクト」の広報担当であり、現場のことは全く知らない。
一人娘がいる。

②現場で働くベテラン作業員イーヴォは、家族を養うために、嫌々危険な業務に携わっていた。
家族とは年1で会える。

③出稼ぎのバランも家族に残した借金を返済するために、危険な業務に携わっていた。

そしてリーは、これらの面々にインタビューで、この労働に対してポジティブな意見を求め、ズケズケと足を踏み入れる心理描写がされている。

表向きは「地下鉄開発プロジェクト」というポジティブな一大プロジェクトが描かれているが、その裏では過酷な労働を強いられる現場作業員が居る…。

この構図はリアルの世界でも想像に容易く、そんな「光と闇」が描かれているのが、非常に特徴的であった。




スリラーパートに入っても…留まることを知らないリーの快進撃!?

上記のような心理描写が繰り広げられる中で、密室で出られなくなった3人の物語は進んでいく。

そしてそこでも「現場を知らない」リーの快進撃は止まらない。

彼女は残された貴重な水を一人ガブガブと飲み続ける。

一人パニックに陥っては、ハランに諭され落ち着きを取り戻し…小並感溢れるキャラクターとなってしまっていた…。

更には、渡された「酸素マスク」を2人に内緒にし、閉じ込め、一人脱出を試みようとさえする。

「娘には私しかいない」と豪語する彼女の生への執着は、どこか自己中心的に見えてしまう人もいただろう。

まさに「素人全開」のこのキャラクターであるが、主人公として描かれるキャラクターがこういう形なのもまた珍しい。

あまりに水を飲みすぎるリーに、ハランは自身が体験した、「水を飲み過ぎないようにガソリンを混ぜる」というエピソードをリー聞かせる。

そのセリフは本作一番のパワーワードとなっていた。

最後の最後まで「遺恨」が残るバッドエンド…!?

リーの傍若無人な「生への執着」に振り回される2人であったが、挙句イーヴォは死亡。

そしてリーとハランが、泥の中で一つの酸素マスクを奪い合うトラウマシーンがある。

ここでもリーは「ハランの借金を肩代わりすること」を条件により多くの酸素を吸引しようとする。

結果2人は生還…。

集中治療室でお互い向き合う形で目が覚める終わりとなった。

なぜリーは、瀕死のハランを助けようとしたのか?

この後2人はどのような会話を交わしたのか?

和解できたのだろうか?

全ては鑑賞者の想像の範疇に留まる。

「暗闇」「密室」「酸素欠乏」という、閉所恐怖症の人にはとんでもなく苦痛な作品となっていたが、類似作品として2010年に公開された「リミット」という映画もある。

こちらは男性が一人、土に埋められた棺桶に閉じ込められる物話である。

あなたはどっちが好みだろうか…?




 

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