本記事は、映画「ガチ星」のネタバレを含んだ、感想と考察記事です。
鑑賞したことが無い方は、注意して読み進めてください。
「ガチ星」
2018年、江口カン監督によって制作された作品。
自堕落な窓際野球選手が「競輪選手」を志す物語。
上映時間は105分。
あらすじ
舞台は日本、北九州。
ソフトバンクホークスの窓際野球選手「濱島」は、ついに戦力外通告を受け、途方に暮れていた。
現実逃避のために酒、煙草、ギャンブル、ついには親友の妻と不倫するまでに落ちる。
そしてついに新たな道を見つけるが…。
出演役者
本作の主人公、濱島を演じるのが「安倍賢一」
濱島のライバル選手、久松を演じるのが「福山翔太」
配信コンテンツ
「ガチ星」は今現在、Netflix、等で配信されている。
ネタバレ感想と考察
チンピラ系主人公の更生物語。
昨今の映画やドラマ、特に日本のドラマで多いのがこれ、「チンピラ系主人公の更生物語」である。
特にNetflixでは2023年「サンクチュアリ-聖域-」の活躍が華々しいだろう。
本作の監督はその「サンクチュアリ」や「ザ・ファブル」などの映画を製作した江口カン監督となっている。
そんな本作「ガチ星」も内容はサンクチュアリと似た内容で、自堕落なプロ野球選手が再起を賭けて競輪選手を目指す物語となっている。
今回の主人公となる「濱島」は絵に書いたような「クズ男」の典型であり、酒、煙草、ギャンブルに溺れ、挙句の果てには親友の妻と不倫してしまう様子も描かれた。
そんな主人公濱島であるが、なんと年齢が39歳とかなり高齢なのが特徴だ。
事実、「年齢制限が無いプロスポーツ選手」というのもこの競輪選手くらいで、そんな実力主義のスポーツにスポットライトを当てた作品として、地位を確立した作品と言っていいだろう。
役者はなんと…リアルの主人公のような人生!?
本作の主人公を務めた「安倍賢一」であるが、彼が選出されることに関しても、ドラマが存在している。
元々本作の撮影自体が「崖っぷちの俳優」を探すオーディションとして開催された。
そんな中、安倍が見事オーディションを勝ち取ったわけであるが、これがあまりにも主人公「濱島」の似たような境遇であったのも面白い。
安倍は高校まで「甲子園」を目指して野球を志し、その後の進路で「競輪選手」を目指して試験を受けるが落選、その後に「役者」を目指すこととなるが、鳴かず飛ばずの役者生活を送っている最中、このオーディションの存在を知ったという…。
「おれのためにあるオーディションだ」
そう感じた安倍は、「このオーディションに落ちたら役者を辞める」という覚悟でオーディションに望み、勝ち取った…という背景がある。
ここまでに物語と本人に共通点があるとは…。
まさにハマり役中のハマり役となっただろう。
リアルの特訓!!本気で競輪に挑んだ役者たち…
「俳優たちには一ヶ月くらい競輪学校で合宿をしてもらいました。」
監督、江口カンはインタビューでもサラリと語る。
そんな軽快なセリフではあるが、映画の地獄のような訓練風景を見ていると、重みが増して聞こえてしまう。
中でも主人公の濱島を演じる安倍は、この撮影に向けて、「中年感」を出すために10キロの増量を行った。
「太らせる食事」としてRIZAPのメニューをこなし、撮影に臨んだようだ。
また、本作は日本競輪選手会、JKAの全面協力の元で撮影され、レース場や学校自体も貸し出され、「現役選手による試合の運び方」なども授業形式で学んでいたそうだ。
徹底的に「競輪」についてはリアルを追求し、本物の「スパルタ」を見せてくれたこの作品。
頭の中では今でも「もがけ!もがけ!」というセリフがリフレインしている。