「社会保険」「国民健康保険」
普段仕事をしていれば意識できないこの仕組み、違いをわかりやすく解説していきます。
◎この記事でわかること。 ・社会保険(医療保険)とはどのようなものか? ・社会保険(医療保険)と国民健康保険の違い。 ・社会保険(医療保険)、国民健康保険の金額、計算方法。 ・国民健康保険の減免について。
そして退職時には、同時に「国民年金」への切り替えや、
「雇用保険」に手続きなども伴ってきます。
まずは「社会保険」について話していきます。
社会保険(健康保険)
ここで言う社会保険についてですが、そもそも社会保険とは、
一般論として年金や介護保険、雇用保険などの制度も含めての呼び方ですが、
今回はその中でも「健康保険」にフォーカスして話をしていきます。
社会保険(健康保険)とは?
会社に勤める人やその家族が受けることができる、各健康保険組合が運営する保険制度。
病気やケガをした時などに、金銭的なサポートを受けることができる。
病院にかかった時に、保険証を提示することで支払金額の負担を減らす使い方などが多い。
会社に勤める被保険者の扶養に入る家族も保険に加入できる。
Q.社会保険はどんなサポートが受けられるの?
A.病院の医療費負担を減らす以外にも、色々な制度があります。
社会保険(健康保険)では、一番オーソドックスなもので、「医療費の7割の組合負担」があります。
何かの病気やケガで病院にかかった時にかかる、莫大な医療費を7割も軽減することができます。
また、業務外の病気やケガで入院し、長期間働くことができない時に貰える「傷病手当金制度」や、出産するときの「出産手当金」といった制度もある。
なお、業務内の病気やケガについては、「労災」扱いになるので、100%会社側の負担となります。
Q.社会保険は毎月いくら払うの?
A.総支給に応じての計算式で決まります。
この健康保険では一人ひとりの給料により保険料が変わってきます。
具体的には「標準報酬月額(総支給)」と「等級」に応じて、保険料が決定します。
「標準報酬月額」と「等級」を照らし合わせた早見表がありますが、
都道府県ごとに早見表の内容は違うので、一人ひとりがバラバラの保険料となります。
また、毎年4~6月の給与を基準に計算され、そこから1年間定額で支払います。
Q.社会保険はどうやって払うの?
A.自動的に給料から引かれています。
会社からもらえる「給与明細書」、これを開いてみると、
「社会保険料」という名目で控除されている項目があると思います。
この引かれている「社会保険料」の中に、「健康保険料」が含まれています。
健康保険料は100%給料天引きです。
Q.社会保険はどうやって加入するの?
A.入社と同時に加入されます。
会社員の方は入社時に100%これに加入します。
そして、同じ健康保険でも加入者の立ち位置により「入る組合」が違います。
要するに、「病院の支払いを負担してくれる組合」が働く会社ごとに違います。
◎組合の種類 ・組合健保...一つの会社が単独で、もしくは共同で設立する組合。 単独は700人以上の社員、 共同は3000人以上の社員がいないと設立ができない。 主な加入者は大・中規模企業のサラリーマンとその家族。 ・協会けんぽ...組合健保を設立しない企業のサラリーマンのための健康保険。 全国健康保険協会が運営している。主な被保険者は中小企業のサラリーマンとその家族。 船員とその家族が対象の「船員保険」も運営している。 ・共済組合...主に「公務員」として働く人のための組合。 国家公務員やその家族が対象の「国家公務員共済組合」 地方公務員とその家族が対象の「地方公務員共済組合」 私立学校の職員とその扶養者が対象の「私立学校教職員共済」がある。
勤める会社の名前が入っていることが多いですね!
Q.サポートはいつまで受けれるの?
A.退社後、2年間までは入っていれます。
会社を退職した後には、組合を抜けることになるわけですが、
「健康保険任意継続制度」という制度を使い、そのまま保険に加入し続ける選択もできます。
健康保険任意継続制度
会社を退職した場合でも、以下の条件を満たしている場合、本人の希望で継続加入できる。
・退職日までに継続して2ヵ月以上の被保険者期間があること。
・資格喪失日から20日以内に、「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出すること
※継続した保険は最大2年間まで継続加入できる。
そして退職時はそれらも考慮した上で、健康保険に関して以下の選択を行うことになります。
◎退職時の健康保険の選択 1.任意継続健康保険を使う。 2.国民健康保険に切り替える。 3.家族が加入する健康保険に入る。
そのまま社会保険に加入し続けるか、国民健康保険に切り替えるか、
どちらが保険料が安いかは人により変わるのでよく考えて選択してください。
ここで②の選択をした人が、次の項目「国民健康保険」に加入します!
国民健康保険
国民全員が健康保険に加入しなくてはならない中、国民の役30%の人が加入しているものが、
「国民健康保険」です。
国民健康保険とは? 加入者一人ひとりが個人で加入する、都道府県が運営する保険制度。 社会保険同様に病気やケガをした時などに、金銭的なサポートを受けることができる。 病院にかかった時に、保険証を提示することで支払金額の負担を減らす使い方などが多い。 主に、飲食店等の自営業、一人で仕事を行う個人事業主、フリーターや無職の人が加入している。
Q.国民健康保険はどんなサポートが受けられるの?
A.病院での診療、出産、死亡時などの負担があります。
国民健康保険でのサポート項目は全部で8項目あります。
①病院での診療
病院での診療時、年齢で負担額に差があります。
負担額の早見表は以下の通りとなります。
②入院したときの食事代
入院中の食事代を負担してもらえます。一部を自己負担、残りを国保が負担します。
③急病等での一時、全額自己負担時
下図のような急を要する療養の場合、一時自己負担となりますが、
支給が決まれば、自己負担分を除いた金額が支給されます。
④出産
国保加入者が出産した時、加入者には42万円が支給されます。
国保側が病院に支給額を払い、
加入者が差し引き金額を病院で支払う「直接支払制度」が利用できます。
⑤死亡
国保加入者が死亡した時、葬儀を執り行った方に葬祭費が支給されます。
⑥救急車等で移送
病気やケガなどで歩行が困難な人は、
医師の指示により移送に要した額が支給される場合があります。
⑦交通事故
交通事故などの第三者によりケガをした時、本来は加害者が負担すべき場合でも、
状況により保険証を使った診療を受けることができます。
⑧高額な医療費の発生
1ヶ月の医療費の自己負担額が一定の額を超えた場合、
申請して認められると、限度額を超えた分が高額療養費として後から支給されます。
Q.国民健康保険は毎月いくら払うの?
A.前年度の総所得、年齢により決まります。
国民健康保険の金額についても、前年度の総所得と年齢から見る早見表で決められます。
国民全員が国保加入条件に当てはまるので、
自営業の四人家族の場合、四人分の保険料を払う必要があります。
また、前年度の収入で保険料が決まるので、
退職した人は、仕事をしていなくても収入があった時の計算の保険料を支払うことになります。
計画的に資産運用をしましょう。
Q.国民健康保険はどうやって払うの?
A.色々な支払方法が選択できます。
国民健康保険の納付方法としては、
コンビニ払いや口座振り込み、口座引き落とし、クレジットカードなど、
様々な納付方法があります。
Q.国民健康保険はどうやって加入するの?
A.退職後、市区町村役所で手続きを行います。
会社を退職後、国民健康保険への加入手続きを行う場合、
住んでいる市区町村の役所での手続きとなります。
Q.サポートはいつまで受けれるの?
A.健康保険自体は64歳まで、それ以降は前、後期高齢者医療制度になります。
国民健康保険の加入期間は64歳までとなります。
それ以降は、65歳~74歳の人が前期高齢者医療制度、
75歳以上の人は後期高齢者医療制度への切り替えが必要になります。
◎高齢者医療制度 高齢者医療制度は、65歳~74歳を対象とする「前期高齢者医療制度」、 75歳以上、そして65歳以上で寝たきり等の一定の障害があると認定を受けた方を対象とする 「後期高齢者医療制度」の2つの制度です。 負担金額の軽減(1割)や、運営媒体の変化(連合)があります。
今現在、日本国民1人あたりの生涯医療費は、男性で2,600万円、女性で2,800万円であり、
その医療費の50%は70歳以上で発生しているとの情報もあるようです。
◎国民健康保険の減免について
国民健康保険の保険料を経済的に払うのが困難な方には、保険料の減免という制度があります。
減免条件ですが、所得の減少以外にも、災害被害者などの減免条件がありますが、
市区町村役場ごとに違う条件が設定されています。
住んでいる市区町村の役所の減免条件を確認してみてください。
まとめ
最後に、社会保険と国民健康保険の違いについてまとめを残しておきます。
サポート | いくら払う? | どうやって払う? | どうやって加入? | サポートはいつまで? | |
社会保険 | 医療費負担、その他 | 総支給に応じて | 給料天引き | 入社時に自動的に | 退社後最大2年間 |
国民健康保険 | 医療費負担等、8項目 | 前年度の収入に応じて | 様々 | 退社後、役所で手続き | 64歳まで |
使うことが無いのが最大の幸せであることを忘れずに!
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