本記事は、映画「ゲーム」のネタバレを含んだ、感想と考察記事です。
鑑賞したことが無い方は、注意して読み進めてください。
「ゲーム」
1997年、デヴィッド・フィンチャー監督によって制作された作品。
一人の投資銀行経営者の男の物語。
上映時間は128分。
あらすじ
舞台はアメリカ、サンフランシスコ。
ここに一人の投資銀行の経営者が居た。
彼は「ニコラス」、時間や効率を何よりも重んじ、時にはかなり冷酷な一面も見せていた。
そんなある日、彼は弟のコンラッドと再開し、「CSRクラブ」なるものに招待される…。
出演役者
本作の主人公ニコラスを演じるのが「マイケル・ダグラス」
ニコラスの弟、コンラッドを演じるのが「ショーン・ペン」
配信コンテンツ
「ゲーム」は今現在、Netflix、U-NEXT、等で配信されている。
ネタバレ感想と考察
ジャンル分けが非常に特殊なサスペンス映画。
どんなサスペンス映画の秀逸な構成とオチであっても、制作したのがあのデヴィッド・フィンチャー監督の作品とあっては、誰もが観る前から高いハードルを設定してしまう。
そんな高いハードルを設定して本作を鑑賞しても、その期待は裏切らない作品となっているのが、この「ゲーム」という作品だろう。
蓋を開けてみれば、展開されるのは限りない「大どんでん返し系」の作品であり、彷彿とさせる空気感は1998年の「トゥルーマンショー」や1995年の「ユージュアル・サスぺクツ」に近い。
また、脚本だけを見てみれば、実は似た映画が2020年にも公開されている。
それが「#フォロー・ミー」だ。
これ以上の内容はネタバレとなってしまうので言及は控えるが、「ゲーム」に似た脚本ながらも、本作よりはサイコに仕上げられた作品となっている。
筆者は世の中のサスペンス映画には2つの手法があると思っている。
一つは物語の構成やオチを主人公と同じ目線で「主観的」に捉えた、「鑑賞者参加型」のサスペンス映画、そしてもう一つが登場人物と「鑑賞者」を隔離し、仕掛けが施される対象が「鑑賞者だけ」となるサスペンス映画である。
そう本作を捉えてみると、今回の作品はニコラスと共に展開を観ていく前者の作品となっている。
また、サスペンス映画でよく展開される「アクションシーン」が本作には登場せず、ホラー感を感じさせる「ピエロ」の登場によって演出されるホラー感も相まって絶妙なバランスの空気感を作り上げたサスペンスだと感じたのだ。
これが本作が特殊なサスペンスである2つの要素であると筆者は考える。
何が何だかわからないうちに面白くなっていく…!!
映画を鑑賞する時に、話を一つひとつ理解しながらでなければ、モヤモヤする鑑賞者の皆さんが居るだろう。
そんな人たちは本作を鑑賞するのが大変だったのでは…とも思う。
今回の作品、映画の冒頭で、言うなれば「CSRの審査に応募した…」ところまでしか、説明できるあらすじが無いのだ…。
しかもその審査は「不合格」…であるのにも関わらず、「ゲーム」は始まり進行していく…。
数珠繋ぎのように様々な事件が起きては止み…を繰り返し、本来の姿形が行方不明になってしまう。
果たしてCSR社は「ゲーム」を仕掛けているのか?誰が味方で、誰が黒幕なのか??
意味不明なゲームに巻き込まれた最初は展開が気になっていくが、なかなか答えにたどり着かない…。
そしていつの間にか、作品の虜になっている…。
そんな不思議な引き込み方をする作品だと感じた。
映画で伝えたかったことは何なのか??
どんな映画にも「作品テーマ」は設定されているものだと思うが、今回はどんなテーマが設定されていたのだろうか?
まずは映画冒頭、主人公ニコラスの境遇であるが、彼は48歳の誕生日を迎えていた。
そして、彼の父親も48歳で自宅から飛び降り自殺をしていたことが核となってくる。
彼自身、経済的には満たされた人間であったが、周りの人付き合いを疎かにしていたことが背景にある。
こんな「自分を慕ってくれる人間たち」の大切さを「ゲーム」に巻き込まれることによって気付かされるのが本作のテーマになると筆者は考える。
ゲームに巻き込まれ始めてから最初の方、CSRの仕掛け人となる「資産家の男性」が、「ヨハネ第9章25節」を引き合いに「ゲーム」の説明をしている。
それは「昔は盲目であったが、今は見える」というセリフだった。
ニコラスはどの部分が「盲目」であったのか?
そしてどのようにして「気がついた」のか?
この作品は「弟による大規模サプライズパーティ」であると同時に、そんな裏テーマを感じさせるような作品だった。