「ヘイトフル・エイト」ネタバレ感想と考察【山小屋で起こる、奇想天外殺人ミステリー】

本記事は、映画「ヘイトフル・エイト」のネタバレを含んだ、感想と考察記事です。

鑑賞したことが無い方は、注意して読み進めてください。

ヘイトフル・エイト

2015年、クエンティン・タランティーノ監督により制作された作品。

西部を舞台に描かれる、ミステリーサスペンス作品。

上映時間は167分。

あらすじ

舞台はアメリカ、ワイオミング州、西武時代のアメリカではカウボーイや賞金稼ぎが犇めいていた。

真冬の山中、「首吊り人」の異名を持つ賞金稼ぎ「ジョン・ルース」は、賞金首である「デイジー・ドルメグ」を引き連れ、駅馬車でレッドロックへ向かっていた。

途中、同じ賞金稼ぎである「マーキス・ウォーレン」保安官を名乗る元軍人「クリス・マニックス」と共にミニーの山小屋に辿り着く。

先客も含め、8人で一夜を過ごすことになるが、とある事件が起こるのだった。

出演役者

本作の主人公、黒人の賞金稼ぎ「マーキス・ウォーレン」を演じるのが「サミュエル・L・ジャクソン」

 

「首吊り人」の異名を持つ賞金稼ぎ、「ジョン・ルース」を演じるのが「カート・ラッセル」

 

本作のキーマン、賞金首の「デイジー・ドメルグ」演じるのが、「ジェニファー・ジェイソン・リー」

 

元南軍兵士の「クリス・マニックス」を演じるのが「ウォルトン・ゴギンズ」

配信コンテンツ

「ヘイトフル・エイト」は今現在、Amazonプライム、Hulu、等で配信されている。

Amazonプライム

Hulu




ネタバレあらすじ

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舞台はアメリカ、ワイオミング州、西武時代のアメリカではカウボーイや賞金稼ぎが犇めいていた。真冬の山中、「首吊り人」の異名を持つ賞金稼ぎ「ジョン・ルース」は、賞金首である「デイジー・ドルメグ」を引き連れ、駅馬車でレッドロックへ向かっていた。

途中、同じ賞金稼ぎである「マーキス・ウォーレン」保安官を名乗る元軍人「クリス・マニックス」と共にミニーの山小屋に辿り着く。

先客も含め、8人で一夜を過ごすことになるが、元将軍の「サンディ・スミザーズ」とウォーレンが対立する。

スミザースが銃を抜いたその瞬間、早打ちによってスミザーズを殺したウォーレンは、「正当防衛」を叫ぶのだった。

そして夜、コーヒーを飲んだジョンと馬車主の「O.B.」吐血し死亡する。

「コーヒーに誰かが毒を入れた」と話すウォーレンは、残りのメンバー全員に銃を向け、壁に立たせる。

その中で、唯一コーヒーを飲もうとしていた「クリス・マニックス」は犯人から除外される。

犯人が賞金首であるデイジーの仲間であると踏んだウォーレンは、一人一人を値踏みしていくのだった。




確実に犯人である「ボブ」を撃ち殺したウォーレンが次の犯人を捜していると、何者かに床下から発砲される。

股間を打ち抜かれ悶絶するウォーレンの叫び声を皮切りに銃撃戦が始まり、ウォーレンとクリスは負傷し、その二人以外の全員が共謀しデイジーを救い出す計画だったことがわかる。

唯一行動ができたクリスだったが、デイジー側から「ウォーレンを殺せば賞金首を引き渡すこと」提案される。

これに揺れたように見えたクリスだったが、ウォーレンを裏切ることはなく、デイジー以外の全員を殺すのだった。

深手を負ったウォーレンとクリスは、ジョンの遺志を継ぎ、デイジーを「首吊り」にする。

宙吊りになるデイジーの死体の目の前で、二人は眠っていく。

ネタバレ感想と考察

タランティーノならではの世界観が展開される。

これまでに数々の映画を世に放ち、ファンを魅了してきたクエンティン・タランティーノ監督

彼の放った9作目の作品として、本作は注目を集めた。

「ジャンゴ」でも知られるタランティーノ監督の得意とする西武やカウボーイの世界観本作はそんな荒くれ者たちのサスペンスとして見事な仕上がりとなった。

いつ誰が殺されるかわからない空間で、男たちは酒を飲み、笑う。

「これぞアメリカ映画」「これぞタランティーノ監督」と思わず頷きたくなるような作風に仕上がった。

そしてブラックなコメディ要素にミステリー、サスペンス感が加わった、斬新な作風こそが本作の魅力だろう。

本作の監督タランティーノは、キル・ビルシリーズや、レザボア・ドッグスパルプ・フィクションなど、独自の路線を貫いてきた監督だった。

そんな彼の世界観全開の作品として仕上がったが、今回描かれたのが「密室ミステリー」という世界観だ。

これは彼の出世作として知られる「レザボア・ドッグス」でも描かれ、こちらは「5人のマフィアによる宝石強盗」という内容を、アジトとなる倉庫で描いている作品となった。

それに対し本作の内容は、ミステリーやサスペンス呼ぶには少し泥臭いような「犯人探し」映画となる。

吹き飛ぶ頭わざとらしい血糊役者としての演技、そうして血みどろに迫っていく物語はタランティーノらしくもあり、彼の「ミステリー映画」に対する表現方法の一つであることが面白かったのだ。

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映画における「静と動」の使い方

今作で描かれる舞台は「西武のガンマン」いつでも拳銃と隣合わせの描写が続くが、映画の「静と動」の使い方とても面白い映画に感じた。

前半では銃弾の一発も発砲されることはなく物語は進み、後半パートのタネ明かしでは、山小屋が血みどろに染まる。

まるで別の映画を観ているかのような描写の変わり方から、「タランティーノらしさ」を感じると共に、西武の荒くれ者たちの世界観を引き立たせる要因にも感じていた。




全ては後半の惨劇のために…。

今作の上映時間、映画の中ではかなり長い部類の作品であり、上映時間は3時間近くにも及ぶ作品である。

前半部分の冗談交じりに繰り広げられる、ダラダラとしたトークから、物語は一気に佳境を迎えることとなる。

本作の面白いところは、前半で作り上げた世界観、各キャラクターの雰囲気、しいては映画の作風そのものを、殺すことなく物語に転換を加えているところだと感じた。

前半の「会話劇」としての映画は、キャラクターの設定や境遇がそのままに後半のバイオレンス性溢れ、アクションに生きる造りとなっているのが、本作の面白いところなのだ。

「チャプター」でわけられたストーリー構成

また今作では、物語が「チャプター」で区切られるという面白い構成の映画になっている。

全てで第6章にも及び、物語は各章に応じたナレーションによって進行する。

これはタランティーノ監督がよく使う手法として、数々の作品に織り込まれている。

タランティーノ監督を映画界のトップに押し上げた「パルプ・フィクション」でも、5人のキャラクターによってチャプターごとのストーリーとして描かれている。

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このチャプターによってストーリーの構成が透明化され、わかりやすくなると共に、「物語感」を強く感じることができるのだ。

ちなみにこの手法、ラース・フォン・トリアー監督の作品、「ドッグヴィル」に似たような構成でもある。

そしてこのドッグヴィルも3時間を超える作品であるのがまた面白い。

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各キャラクターの個性が光る

3時間近くの映画が終始一つの部屋の中で展開される中、物語の登場人物それぞれの個性も光る作品であるのが、本作の特徴の一つだろう。

死刑囚、そして賞金稼ぎ、保安官、死刑執行人、さすらいのカウボーイなど、それぞれの個性の強さが霧となり本作の真犯人がわからなくなるというこれまでとは違うミステリー映画の観せ方がされる作品なのである。

ずっと物語の中心に居続けたジョン・ルースの突然の死、そしてその隣にいつも寄り添っていたウォーレンが成り代わり、主導権を握っていたにも関わらず、撃たれる。

最後には、敵対していた二人に友情が芽生える。

クセの強いキャラクターが集まる中、その変化していく人間関係こそが本作のミステリーの本質であり、真骨頂に感じた作品だった。