本記事は、映画「MARTYRS(マーターズ)」のネタバレを含んだ、感想と考察記事です。
鑑賞したことが無い方は、注意して読み進めてください。
「MARTYRS(マーターズ)」
2016年、ケヴィン・ゴーツ監督によって制作された作品。
2008年にパスカル・ロジェ監督によって作られたフランス版同名映画のハリウッドリメイクとなるのが本作品である。
2人の少女が監禁される惨劇を描いた物語。
上映時間は83分。
あらすじ
舞台はとある孤児院。
一人の少女リュシーは何者かからの監禁から逃れ、この孤児院に逃げ込んだ。
そして後に親友となる「アンナ」と出会う。
それから月日は経ち、リュシーはとある一般家庭に押し入り、子供含む一家4人をショットガンで殺害する。
リュシーの奇行に震えるアンナであったが、リュシーは「私を監禁していた人間だ!」と言い放つのだった…。
出演役者
本作の主人公リュシーを演じるのが「トローヤン・ベリサリオ」
アメリカの女優であり、映画作品よりはアメリカのTVドラマなどへの出演が目立つ。
サスペンス作品や恋愛作品への出演が多いようだ。
そして本作のもう一人の主人公、アンナを演じるのが「ベイリー・ノーブル」
こちらもアメリカの女優であるが、女優としての映画作品への出演はそう多くはないようだ。
配信コンテンツ
「MARTYRS(マーターズ)」は今現在、Amazonプライム、等で配信されている。
ネタバレ感想と考察
早すぎるリメイク…そのオリジナルさは如何に!?
前述した通り、本作品は2008年に公開されたフランス映画「MARTYRS(マーターズ)」のハリウッドリメイク版である。
こちらのフランス版「マーターズ」であるが、少女が監禁されるインパクトある脚本と、その衝撃的なグロ描写により、当時話題となった作品だった。
そんなダークな作風に今回、あえて切り込んだのが、アメリカのケヴィン・ゴーツ監督である。
過激なグロテスク描写で話題となった2008年のマーターズに比べ、いくらかソフトに仕上げられたリメイク版となったのは、アメリカでの「ハリウッド作品」であることが関係しているのだろう…。
オリジナル版が公開されたのが2008年であることに対して、リメイクとなる本作が公開されたのが2016年。
この間が8年間となるが、リメイク版をリリースするにしては少し早すぎるリメイク版であるとも筆者の私は感じてしまった…。
グロテスクなホラー作品のリメイクは昨今ではよくある展開で、現代のダイナミックなCGや、エモーショナルでオシャレな脚本などが加わることによって、再ブレイクを果たす作品も多いのもまた事実である。
2018年に公開されたアメリカとイタリアの合作映画「SUSPIRIA(サスペリア)」も、1977年の同名映画のリメイクとなる作品として、世に放たれた。
そして、オリジナル版とは脚本も少し変わっている。
今作のリメイク版では2人目の主人公「アンナ」が映画のラストまで生き残り、拷問により死亡したリュシーと寄り添う終わり方となるが、オリジナル版では、この拷問を受け「殉職者」となるのはアンナである。
ここが一番の相違点だろう。
「拷問」の理由は?「マーターズ」って何?
「少女監禁」×「ホラー」というインパクト大な描写ばかりが有名となってしまったが、その脚本を紐解いてみても、かなりダークな世界観を纏った作品となっている。
まず、本作のタイトルにもなっているこの「マーターズ」であるが、訳すとこれは「殉職者」という意味となる。
映画内ではリュシーを初めとする数々の女性が拷問を受けていたが、今回の核となるカルト教団には「極限の苦痛を与えることによって死後の世界が見えるようになる女性がいる」という思想がある。
そして、極限の苦痛によって「死後の世界」が見えるようになった女性が「殉職者(マーターズ)」と呼ばれるわけだ。
しかしながら「殉職者」になるにも適正はあるようで、途中参戦したアンナはそれらの才能が無いと判断され、死者とともに生き埋めにされてしまっている…。
ラストシーン、生き延びたアンナがリュシーの横で「死後の世界」を共有するような終わり方となるが、果たしてアンナも「マーターズ」となったのだろうか…?
真実は鑑賞者に委ねられる終わりとなった。
余談ではあるが、本作ではきな臭いカルト教団が猛威を振るう作品であるわけだが、その手の映画はいつも「少女監禁」がセットとなっているのも不思議で面白い。
2020年に制作された「マッド・ハウス」、2018年に公開された「レベル16」なども、「カルト教団」×「少女監禁」がテーマとなる脚本となっていた。
映画も「パターン化」し始めているのだろうか…。
リメイクとは言っても…やはり観る人を選ぶインパクト!!
前述した通りハリウッドリメイクで、オリジナルよりはマイルド?になった本作ではあるが、それでも尚、目を覆いたくなるようなグロテスク描写は確かに存在している。
「少女監禁」という非常に重いテーマを用いた本作では、「ショットガンで家族を皆殺しにする」と言った描写や、「女性の背中の生皮を剥がす」といったグロテスク描写も鮮明に描かれているのが観るのに気をつけるべき点となるだろう…。
映画の序盤ではリュシーが幻覚に襲われるシーンも多く描かれ、映画冒頭の30分だけを観れば、限りなく「ホラー映画」の一面も兼ね備えている…。
(「ビックリ描写」が苦手な筆者にはキツい…。)
本作がここまでに過激なイメージを世間に与えた理由として、個人的には「映画パッケージ」にも理由があると考えている。
華奢な女性が、裸で、頭に鉄製の「ヘッドギア」を装着し、下半身には「貞操帯」のようなものまで装着している…。
禍々しいことこの上ないパッケージに戦慄した鑑賞者も多いことだろう…。