「マッド・ハウス」ネタバレ感想と考察【超平和なアパートに入居したハズが…ヤバい集団だった!?】

  • 2022年1月20日
  • 2022年2月12日
  • 映画
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本記事は、映画「マッド・ハウス」のネタバレを含んだ、感想と考察記事です。

鑑賞したことが無い方は、注意して読み進めてください。

マッド・ハウス

2020年、デビッド・マーモー監督によって製作された作品。

ソーシャルアパートメントに入居した一人の女子大生の物語。

上映時間は90分。

 

あらすじ

舞台はアメリカ、ロサンゼルス。

一人の女子大生サラがハリウッドのソーシャルアパートメントに入居する。

最初はアパートの住人たちと仲睦まじく生活していたが、次第に恐ろしい事態に巻き込まれていく…。

出演役者

本作の主人公、サラを演じるのが「ニコール・ブライドン・ブルーム」

アメリカの女優であるが、本作以外に有名な作品へは出演していない。

 

アパートの管理人であるジェリーを演じるのが「テイラー・ニコルズ」

アメリカの中年俳優であるが、本作以外でもアクション作品やクライムサスペンス作品などに出演している。

 

アパートの住人で、サラの隣人であるブライアンを演じるのが「ジャイルズ・マッシー」

オーストラリア出身のイケメン青年俳優、2013年より数本の映画作品に出演している。

ネタバレあらすじ

ネタバレあらすじを読む
舞台はアメリカ、2019年のロサンゼルス。ハリウッドの一角に色々な人の住まうソーシャルアパートメントがあった。

そんなアパートに空き部屋ができ、「見学会」が行われ、大学生のサラがこれに参加する。

そんな彼女が今回の主人公である。

サラは遠いところに実家を持ち、洋服のデザインや制作を生業にしたいと考えハリウッドへ来たが、これがなかなか上手くいかない。

父親に実家に帰るように言われていたが、諦めきれないサラはズルズルと一人暮らしを続けていた。

たくさんの見学者と一緒に部屋を見て回るサラ、そんなサラは部屋の壁に石膏を塗り直した跡を発見する。

それでも部屋自体はとても綺麗で、手厚い歓迎を受けたことからこの部屋を気に入る。

アパートの管理人のジェリーと話した際、「なぜここに住みたいか?」と聞かれるが、「新しい人生を始めたいから」とサラは答える。

オンラインで大学の講義を受けながらもデザインの仕事を成功させようとするサラ、結局上手くいかずに、新しい職場で派遣社員として働き始める。

それでも職場にも恵まれて、同じ職場のリサと出会ったりもするのだった。

そしてサラは、数々の入居者の中から見事に選ばれる。

かくして、このソーシャルアパートメントの入居者の仲間入りを果たす。

他の入居者とのコミュニケーションはとても密なアパートであり、入居した日にサラのパーティなんかも開いてくれるんだ。

サラは前の賃貸の時から「猫」を飼っていたが、今回のアパートが「ペット禁止」であることわかった上で、内緒で猫を連れ込んだりもするのだった。

パーティの最中、怪しいメガネをかけた男性が、怪しい本を持ってサラに近づく。

そして「読むべきだ!」と本を渡そうとしてくる。

サラも怪しいと感じてテキトーにあしらう。

そして隣の部屋のイケメン青年、ブライアンと仲良くなり、恋心が芽生えるのだった。

老婆のイーディを部屋に送って、仲良くなって、彼女からは「イーディと呼んで。」と声をかけてもらったりもした。

そして夜、寝ようとするが、部屋の壁の向こうから配管の音がずっと鳴ってくる。

その音は朝まで続き、彼女を不眠症に落とし込んでしまうほどに酷いものだった。

翌朝、ブライアンに配管のことを聞いても何も答えはわからない。

荷物運びを手伝ってくれようとしたブライアンも、猫のジャイルズが居るから部屋に入れることができない。

「恋路を邪魔した」と猫に苦言を呈すのだった。

次の晩も騒音は続く。

耳栓をして寝ようとしたサラは、部屋の外をイーディが通ったのに気がついて、彼女の部屋まで連れていき、世話をする。

イーディの部屋には、前に怪しいメガネの男性「レスター」がサラに勧めようとした、怪しい本「共同体の力」が置いてあった。

そしてイーディは、レスターは最近、妻を癌でなくした可哀想な男性だと言うのだった。

翌日、サラは部屋で時間を過ごす。

その時、部屋に「ペット禁止」の手紙が投函される。

そこには赤い文字で「アレルギーの住人もいるんだぞ!!」という文字も書かれていた。

手紙の主を追って扉を開けると、何者かの姿はもう無かった…。

そこで隣のブライアンが部屋から出てくる。

そして彼は、サラをパーティに誘う。

19時から始めるので参加してほしいと言われ、サラはこれを承諾する。

パーティを控えたサラは仕事に出かけるが、寝不足でなかなか捗らない。

更には上司の女性のクリスティーナから残業しろと言われる散々な一日となった。

そんなサラを見てか、同僚のリサはサラに共感し、そして夜、リサを連れてアパートに戻り、小さな女子会を始める。

仕事のことで頭がいっぱいで、サラはブライアンにパーティへ誘われていたことをすっかり忘れていたのだった。

アパートでブライアンと顔を合わせたときに、サラは謝って許してもらう。

これによってサラはブライアンにより好感を抱くことになる。

部屋でリサと話をしたサラは、自分の身の上の悩みを打ち明け、リサはサラを励ましてくれる。

リサも帰り、夜に眠ろうとしたサラは、何か部屋の中で聞こえる音に気が付く。

音の方へ行くと、オーブンが起動していた。

オーブンの横には、身に覚えのない「ペット禁止」の張り紙が置いてある。

恐る恐るオーブンの中を開けてみると、飼っていた猫のジャイルズが丸焦げとなっているのだった。

その時、何者かに背後から羽交い絞めにされ、椅子に拘束される。

彼女を襲ったのは他でもないブライアンだった。

ブライアンはサラに注射をしようとするが、サラは逃げて部屋の外へ出る。

別の部屋の住人、黒人女性に助けを呼ぼうするが、エスターもサラを取り押さえる。

そしてサラは、スタンガンを当てられ、注射を打たれてしまう。

目を覚ますと、自分の部屋に監禁状態にされていること気が付く。

家具は全て撤去され、部屋の窓はふさがれ、カメラがとりつけられた部屋にサラは閉じ込められていた。

住人たちはサラに、サラの銀行口座を解約し、会社を辞める手続きも取ったと話す。

更には、サラと近しい関係だった友人にも一方的な理由で絶縁状態とさせているのだった。

「服従すれば報われる」と聞いたサラは、このアパートの住人たちがひとつの共同体として生活していると知る。

従わない場合には体罰を受けると聞いたサラは、レスターの右目と右耳がつぶされているのを見せられる。

レスターが「眼鏡」をかけている理由は、潰された右目を隠すためだったのだった。

管理人のジェリーとブライアンはサラに、壁にあるボタンを見ろと言う。

その方向を見ると壁には丸いボタンがある。

そのボタンが点灯している間は、壁に両手をつけておけとサラは命じられる。

それは両足を開いて中腰で両手を前に伸ばした姿勢で、長時間続けるには負荷がかかり、かなり辛いものだった。

それでもカメラで監視されていたサラは、ポーズを取り続ける。

そして壁からは、陽気な音楽が流れ出す。

ボタンが点灯すると壁に手をついてポーズを取る、ボタンの点灯が終わると、つかの間の休憩をする。

部屋に監禁されたサラは、同じことを繰り返す。

何回目かの休憩のとき、イーディが部屋に入ってくる。

イーディはサラに、頑張って乗り越えられれば自由になると励ます。

そして、同じループを淡々と繰り返すうちに、サラは少しずつ洗脳されていく。

それでも、体力を消耗したサラは、ボタンの灯が消えていないのに手を放してしまう。

サラが手を放すと、ジェリーとブライアンが部屋に入ってきて注意をする。

サラが姿勢を保てないと知ると、ブライアンは、サラの手の甲を壁に固定するために釘打ちするのだった…。

両手を壁に釘で打たれ、サラは絶叫する。

そして、見学会の時に見た石灰の跡は、手の痕であり、釘の跡であることを知るのだった。

サラは幻覚を見たことによって釘から手を引き抜くことに成功するが、それでも「姿勢」の拷問を続けるのだった。

幾度となくループを繰り返したある時、ジェリーがサラの元を訪れ、褒めて優しく介抱する。

部屋から出されると、ジェリーとブライアンはサラに個人的な答えにくい質問をする。

それは、自身の性的な嗜好や初体験のことなどだった。

やがてサラは監視されつつも、住民と一緒に生活を始める。

彼らが理想としているのは、「共同体の力」を著したC・D・エラビーの教えだった。

彼らはその教えにのっとって、住民たちで助け合い支え合って生きる共同体を作り上げていたのだった。

彼らは「サラを助け、自分たちの仲間に入れることで救う」と考え、サラはその教えを聞かされつつ、共同体で暮らし始める。

アパートの玄関は常に施錠されており、カギを持っているのは管理人のジェリーだけ。

彼らは完全なる密閉区間での生活をしているのだった。

共同体の教えを勉強したサラは、監視の目を解きたいために「共同体に入りたいか」という問いにイエスと答える。

しかし、嘘発見器を利用した質疑を行っていたジェリーたちは、これを見破ってしまう。

ジェリーは警戒を解かず、もう少し責任ある仕事をサラに任せて様子をみると答える。

その仕事とは、「他の住人の監視作業」だった。

そんなある日、老婆のイーディの具合が突然悪くなる。

住人たちはイーディの部屋を訪れ、なんと別れのあいさつを始める。

戸惑うサラに、ブライアンが説得する。

それはイーディも死を受け入れているのだった。

住人たちは刻々と「安楽死」の準備を始める。

死を受け入れているイーディの顔にはビニール袋がかぶせられ、ボンベから何かのガスを吸わせる…。

イーディの死を見たあと、サラはブライアンから話を聞く。

ブライアンは9年前にここへ入っていて、その当時イーディに担当してもらったと語った。

イラクの戦地から帰国したときに荒れた生活をしていたブライアンは、共同体に入って彼らに救われたと語るのだった。

そしていよいよ、サラも共同体に入る日が訪れる。

儀式を受けたサラは、耳の後ろに焼きゴテを押され、みんなに拍手で受け入れられる。

そしてサラは、眼鏡をかけたレスターとカップルになることを求めらるのだった。

レスターの妻であるジェシカは、半年前に癌で亡くなったのだと聞かされる。

サラはレスターに連れられて、レスターの居室へ行く。

サラの部屋はすでに片づけられて、次の住人が入る部屋になると聞かされた。

 

レスターの部屋にいると、その時急にサラに呼び出しがかかる。

サラの父が、このアパートにやってきたのだった。

サラは父を部屋に案内し、なんとかうまくなだめて追い返そうとする。

サラが父親をなだめれず、行動を起こさせることは、父親が住人に殺されてしまうと知っていたからだった。

そしてサラは、涙を流しながら、父を冷たくあしらい、追い返す。

そしてサラはレスターのところへ戻る。

そこでレスターも自身の境遇をサラに語る。

彼も最初の5年間は逃げようとしていたと話し、それでもジェシカと出会い、ジェシカに支えられて生きていたと言うのだった。

そしてサラは、レスターを受け入れ、手を握るのだった。

それから時は経ち、アパートでは新たな入居者を募集し、見学会が開かれる。

たくさんの人が見学にやってくる中で、サラは見学者の中にリサがいると気がつく。

そしてなんとリサが選ばれ、アパートに入居してくると知るのだった。

彼女もまた、サラと同じような道を歩む。

騒音で睡眠不足になったリサは、やがて銀行口座を解約され仕事も辞めさせられて監禁される。

監禁されたリサはサラよりも強烈に抵抗するのだった。

らちが明かないと考えたジェリーは、サラはリサの説得役に選び、監禁部屋に案内する。

サラはリサを説得しようとするが、リサは反発する。

リサに罰を与えようと考えた管理人のジェリーは、リサの耳にキリを突き付け、鼓膜を破ろうとする。

キリを固定するように頼まれたサラだったが、その時、サラの中で何かが崩れる。

リサを助けようとしたサラはおもむろにジェリーの首にキリを突き刺す。

そして二人でアパートを脱出しようとする。

しかしその直後、リサはジェリーに銃で射殺されてしまう。

これに憤怒したサラは、ジェリーにキリで何度も刺して殺害する。

そして、ジェリーだけが持つ、玄関のカギを奪って、一人で脱出しようとする。

その際に、ジェリーにも手の平に釘の痕と、耳の後ろに焼きゴテがあると気がつく。

それはジェリーが共同体のトップではないことを意味するのだった。

サラはアパートの玄関までたどり着くが、住民たちに止められる。

アパート内へ引きずり込まれようとしたとき、サラを助けたのはレスターだった。

「逃げろ!!」と叫んだレスターは、サラをアパートの外に出すと、銃で自殺する。

そしてアパートの外に出たサラは、愕然とする。

アパートの周囲物件全てに監視カメラが取り付けられ、アパートと同じCDE不動産が所有する物件だった。

アパートを中心とする、住宅地全てで警報が鳴り響く。

サラはそれを聞いて、思わず絶望的な笑みを漏らす。

そして、すぐ真顔に戻ったサラは、こぶしを強く握ると警報鳴り響く道を走り始める。




ネタバレ感想と考察

実はモデルがあった!?カルト教団「シナノン」

さてさて、今回の物語では、意外にも「カルト教団からの脱出」を描いたスリラー作品となっていたが、本作を製作した監督、デビッド・マーモー監督は、実在したカルト教団「シナノン」に着想を得て、本作を作ったとの話があった。

・シナノン
Synanonは1958年にオハイオ州で結成された宗教団体。
グループ規模は約2000人にまで拡大し、主な活動は「依存症に対処するための奇跡の戦略」とされていた。
ここで描かれる「宗教」はとてもメリットの少ないものであったが、今回のベースとなる「シナノン」は、元々は「アルコール中毒患者、その後薬物中毒患者のリハビリを行う活動」を目的として設立された団体であったというから面白い。
そして、決して「強制的」ではなく、その施設の居心地の良さに、社会に復帰せず団体の作り上げたコミュニティに留まることを選んでしまう特殊なカルト教団となっていたのだ。
事実本作でも、そのソーシャルアパートメントの住人たちの温かさに触れて、次第に「居心地の良さ」を体感する主人公サラの姿が大きく描かれていた。
「シナノン」でも、最終的には「脱退しようとする者」への暴力が問題視され、社会問題へと発展していったが、その点においても映画とリンクするような演出があっただろう。
これまでには他の映画でも「カルト」をプロットとして描かれた作品は多く、有名なサイコスリラー映画「ミッドサマー」や、精神病棟を題材としたサイコ映画「エスケーピング・マッドハウス」も独特な雰囲気を纏った作品となっていた。
また、毛色は違うが「レベル16 監禁された少女たち」も「カルト臭」を良く匂わせる面白い作品なので、是非とも観てみてほしい。
予測できちゃった!?本作の伏線たち。
佳境に進むにつれて段々と解き明かされていく物語ではあるが、実にたくさんの伏線が入り混じる作品となっていた。
ここではそんな伏線の数々を話していこう。




・壁の石膏の跡は、「調教」の跡だった。

これは鑑賞者が一番初めに気が付く伏線だろう。
あからさまな伏線であり、これからの物語の暗転を匂わせている演出となっていた。

・パーティ時、小さな女の子が「第一の基本」を注意されている。

洗脳時、経典「共同体の力」の内容として、「四つの基本(無私、心の解放、受容、監視)」を説かれる。
この少女は「無私」を守らずに注意されたと思われる。

・玄関のオートロック、及び監視カメラ。

これは「不審者予防」のためではなく、住人を監視するためのものだった。

・サラが選ばれた理由。

これはあくまでも考察の範疇ではあるが、彼女は見学会の時「新しい人生を歩みたいから」アパートに入居したいと答えている。
「この教団こそが彼女の求めているものである」とジェリーは考えたのだろうか?

・配管による騒音の数々。

これは本物の配管ではなく、録音による音声を意図的にサラに聞かせていた。
その意図はストレスによる「洗脳」のためであった。

・イーディの名前間違えについて。

パーティ時、イーディがサラの名前を「ジェシカ」と間違えるが、これは以前の入居者。
またこれ以外にも、一番の大きな伏線が隠されている。
それは本作のキーマン「レスター」の存在である。
彼の存在意義を次項で考察していこう。




実は洗脳されていなかった!?本作一番のキーキャラクター「レスター」。
映画作中一番の「キーキャラクター」と言ってもいいキャラクターこそが怪しい眼鏡をかけた「レスター」だろう。
彼の存在によって、本作のサイコ感の大幅な上昇、そして映画としての面白さが抽出されていたと言っても過言ではない。
物語の前半、そして中盤、彼の「気持ち悪さ」は他の追随を許さないほどに強烈なものとなっていたが、ラストでそのイメージが覆される。
結果を見れば「洗脳されていなかった」とも考えられるが、それらしき伏線が、実は物語の随所に散りばめられている。
まずは物語前半。
「調教」のために密室に監禁されるサラであるが、そんな彼女に前に現れるレスター。
彼が眼鏡を外し、「潰された右目」を披露することから、彼が教育に「抵抗した」証拠であることが伺える。
そして決定的なのが、やはり物語の終盤。
住人に引きずり込まれるサラを見て、「逃げろ!!」と突き放す。
これを「サラに対する愛だった」と考えることもできるが、やはり一般論で考えると「洗脳されていなかった」と考えるのが妥当だろう。
まさに「自分が脱出することができなかった」ことをサラに託すような行為であり、この行動一つで彼の考えがいくつもわかってくる大変興味深い行動となっていた。
また、彼は物語を通して一貫してサラを見守っていたようにも見える。
物語の所々に彼の姿があり、それは「サラの監視」であったのかは定かになっていない。
物語の一番最初、「共同体の力」をサラに渡す描写は、果たして彼女を洗脳する為だったのだろうか?
もしかしたら、彼女を教団から「救おう」と考えての行動だったのかもしれない…。
余談ではあるが、この手のアパートはアメリカではポピュラーな住居であり、まさに今回の舞台となる「ハリウッド」においては、アメリカの若者の憧れの土地となっている。
それを象徴するかのような映画作品として「アンダー・ザ・シルバーレイク」という作品がある。
本作の舞台と似ている景観で物語が繰り広げられるので、こちらもチェックしてみてほしい。